こんにちは。
韓国で両顎手術・輪郭手術を専門とする病院、
リフェイス口腔顎顔面外科の専門医、キム・ドソプと申します。
今回は両顎手術の副作用の発生頻度についてお話をさせて頂きたいと思います
発生頻度別の整理
■ ほとんどの人に起こる/すぐ良くなる
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息苦しさ、鼻づまり、出血(鼻血)、めまい、痛み、腫れ
■ 一部(約50%)に起こる/時間がたてば自然に改善
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顎関節の痛み・音、耳の詰まり感、感覚低下
■ 一部(約10%)に起こる/適切に対処すれば改善
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炎症(感染)、左右差、咬み合わせの異常、初期の後戻り、発音の異常、表情の異常、小鼻の広がり
■ 一部(約5%)に起こる/対処が難しく追加処置が必要なことも
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たるみ、後期の後戻り、異常感覚の痛み、睡眠時無呼吸、歯の変色
■ 発生はまれ/救急対応が必要で致命的になり得る
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手術中の大量出血、手術中の呼吸困難、悪性高熱
1)「ほとんどの人に起こるが、すぐ良くなる」症状
(息苦しさ・鼻づまり・鼻血・めまい・痛み・腫れ)
ここに挙げたものは「副作用・合併症」というより、術後に誰にでも起こり得る“随伴症状”と考えるのが適切です。
どれだけ丁寧に治療しても起こり得る症状であり、多くは術後2週間ほどの回復過程で自然に消えていきます。
もちろん病院や術者によって、症状が軽く済むこともあれば強く出ることもありますが、基本的に致命的な危険に至ることはほとんどないので、これらの症状だけで過度に心配する必要はありません。
息苦しさ/鼻づまり
息苦しさは重要に感じるかもしれませんが、「まったく呼吸できなくなる」わけではなく、鼻が2〜3日詰まることで苦しく感じることが多いです。
そのため、口呼吸を積極的に行う必要があります。
ただし、焦って呼吸を速くしすぎると浅い呼吸を繰り返して**過換気(過呼吸)**につながることもあるので、心理的に焦らないことが大切です。
出血(鼻血)
出血は主に鼻血として出ることがあり、1週間程度続くこともあります。
ただし、鼻から出血しているのではなく、上顎を手術した部位に溜まっていた血が鼻から排出されている場合が多いので、大量に勢いよく出るのでなければ心配はいりません。
「そのうち止まるだろう」と考えるのがよいですが、大量に出る場合は必ず病院へ連絡してください。
痛み
痛みは、術後に傷や骨が刺激されたときに起こり得ます。
痛みを減らすには、顎に力を入れず、できるだけ軽く動かすことが大切です。
術後は強い鎮痛薬が使われるため、実際には痛みが少ないことも多く、患者さんに「すごく痛かったですか?」と聞くと、**「思ったより痛くなくて驚いた」**と言われることがよくあります。
腫れ
腫れも手術後に自然に出て、時間とともに引いていくものです。
腫れが強いと顔が重くなり、呼吸もしんどくなるため、腫れを最小限にする工夫は重要です。
ただし、術中に腫れが少なくなるよう配慮することが最も重要で、術後にテーピングをたくさん貼っても、出る腫れは出ます。
むしろ貼りすぎると圧迫が強くなって、逆に苦しくなることもあります。
2)「約50%」:時間がたてば改善しやすい症状
(顎関節症状・耳の詰まり感・感覚低下)
顎関節の痛み/音
両顎手術により顎関節に影響が出て、術後数週間は関節がこわばったり音が出たりすることがあります。
改善には数週間かかり、関節が落ち着く位置に適応すると不快感は減ります。
術後1か月ほどは口が開きにくいことがありますが、その後はむしろ口を開ける練習や顎のリハビリが必要になります。
非対称があったケースでは、関節位置が変化して痛みや音が続くこともあります。音だけで痛みがなければ日常生活に支障は少ないことも多いですが、痛みが続く場合は関節治療が必要になることがあります。
耳の詰まり感
耳の詰まり感は術後によく見られる症状で、多くは一時的です。
上顎手術の影響で、耳につながる「耳管(ユースタキオ管)」の通気が悪くなると起こることがあります。
唾を飲む・耳抜きの動作などで改善することもあり、何もしなくても時間とともに改善します。
また耳の奥の重だるさは顎関節の腫れが原因のこともあり、関節が安定すると改善します。
感覚低下
感覚低下は複数の部位に起こります。
切開部周辺、上下の歯ぐき、口蓋(上あごの内側)、上唇、鼻周囲、下唇などです。
基本的には時間とともに回復することが多く、神経が損傷した場合でも回復に伴い改善するケースがあるため、必要以上に心配しすぎないことが大切です。
3)「約10%」:対処すれば改善しやすい症状
(感染・左右差・咬み合わせ・初期後戻り・発音・表情・小鼻の広がり)
炎症(感染)
傷が口の中にあり食べ物に触れるため、清潔管理が不十分だと感染することがあります。
術後は小さめの歯ブラシで丁寧に磨き、食後に何度かうがいをして食べ物が残らないようにします。
また抗生剤に過敏反応があると効果が十分でないこともあり、下痢などが出た場合は病院に伝える必要があります。
それでも感染が起こることはあり、急に腫れが増したり熱が出たり痛みが強くなったりします。
感染した場合は治療を追加しますが、多くは適切に治療すれば大きな問題なく治ります。
左右差(非対称)
顔の左右差は誰にでもあり、程度の差があるだけです。
両顎手術後も左右差が残ることは多く、これは元々の皮膚・筋肉・目・鼻・頬骨・頭の形などの左右差が影響します。
手術で動かせるのは上顎・下顎骨の一部で、骨を固定する部分を残したり神経を守ったりすると触れられない領域もあります。
改善が不十分な場合、後日プレート除去のタイミングで追加修正が必要になることもあります。
咬み合わせの異常
術後は噛みにくいことが一般的です。
顎関節が安定するまで1〜2か月かかること、術後1か月ほどは噛む動きで手術部位がずれるリスクがあること、筋力が戻るまで力が入りにくいこと、術前矯正が不十分だと術後すぐ噛み合わせが不安定なことなどが理由です。
ただし重度でなければ、多くは矯正治療で改善できます。
初期再発
体は常に変化するため、術後に顎が変化して(下顎前突・無顎が)多少戻ることがあります。
医師は後戻りが起きにくい計画で手術しますが、後戻りは術式だけでなく、術後の癖や筋肉の使い方にも強く左右されます。
舌の癖や顎関節の状態は影響が大きいので、医療者の指示に従って改善が必要です。
術後2〜3か月以内の初期に起こる後戻りであれば、比較的修正しやすく、多くは下顎側の再調整で対応可能です。
発音の違和感
手術の失敗というより、術後に発音練習が足りないことで起こることが多いです。
両顎手術では口蓋、歯の位置、下顎骨、舌の位置が変わるため、舌が新しい位置に適応できず発音が漏れたり不自然になったりします。
多くは練習で改善でき、術後1〜2か月は集中的に発音練習をするのが望ましいです。
表情の違和感
筋肉が骨に適応する位置を誤ったり、痛みが怖くて表情を作らない期間が長いと筋肉が固まって起こることがあります。
多くは表情練習で改善可能です。
術後2週間くらいから練習を始め、1〜2か月ほど続けるのが重要です。
小鼻の広がり
両顎手術でよく見られる副作用の一つで、手術で筋肉を骨から剥がす必要があるため避けにくい部分です。
ただし、広がりを最小化するために手術中に小鼻周囲の筋肉や軟骨を糸で寄せる処置を行います(alar cinch suture)。
計画と術式によっては「広がる」どころか、むしろより良く見えるケースもあります。
つまり「必ず広がる」と決めつけるより、医師の技量により最小化できたり、改善する場合もあると理解するのがよいでしょう。
4)「約5%」:対処が難しく追加処置が必要なことがある症状
(たるみ・後期後戻り・神経痛・睡眠時無呼吸)
たるみ
風船の空気が抜けるとしぼんで垂れるように、顔も骨の大きさが小さくなると、皮膚・脂肪が余ってたるむことがあります。
皮膚の弾力には個人差があり、術式によっても差が出ます。
軟部組織の回復には最低2〜3か月かかるため、たるみは術後すぐではなく数か月後に再評価すべきです。
強い場合、リフトや脂肪吸引など追加施術を行うことがあります。
後期の後戻り
術後6か月以上経ってから後戻りすることもあり、1〜2年後に起こるケースもあります。
初期の後戻りとは原因が異なることが多く、「結果が維持できず変化した」という意味で合併症の一つと考えられます。
ただし6か月以上経つと骨はほぼ安定しているため、手術のミスというより、顎関節の問題や生活習慣が影響して起こることがあります。
完全に元に戻るわけではなく「少し噛み合わない」程度のことも多いですが、程度が強い場合は矯正歯科や手術病院で相談し、重度なら再手術を検討することもあります。
異常感覚の痛み(神経痛)
長く悩みやすいのは下唇の感覚異常です。
多くは6か月以上で日常生活に支障がない程度まで回復しますが、一部では神経が回復する過程で**神経痛(神経障害性疼痛)**が出ることがあります。
いつ誰に起こるか予測が難しいのが問題です。
症状としては過敏(焼けるような痛み)が多く、歯磨きや食事で唇・歯ぐきが強く痛むことがあります。
早期に薬物治療を行うと軽快することが多いので、出た場合は放置せず必ず手術した病院に相談することが推奨されます。必要に応じて大学病院の神経内科などに紹介されることもあります。
睡眠時無呼吸
一般的には多くありませんが、計画上、顔を小さくしすぎようとして上顎を過度に短縮したり後方へ入れたり、下顎を過度に後退させるとリスクが上がります。
そのため、睡眠時無呼吸は一定程度、手術計画と関係すると考えられます。
(筆者は予防のために鼻の手術を併用することもあるが、一般のクリニックでは難しい場合がある)
また手術と無関係に、術後に咀嚼が改善して体重が増えたり、皮膚の弾力が弱く横になると気道が狭くなることで起こる場合もあります。
いびきがひどくなる、日中の疲労が増える、普段も息苦しいなどがあれば、手術病院へ相談してください。
5)「非常にまれ」だが危険な合併症(救急対応が必要)
(悪性高熱・手術中大量出血・麻酔中の無呼吸)
悪性高熱
全身麻酔では筋弛緩薬を使用しますが、これに過敏反応が出る場合があります。
突然、四肢の筋肉が硬直し高熱が出る非常に危険な状態で、速やかな冷却と**ダントロレン(dantrolene)**投与が必要です。
バイタルを監視し、緊急で大学病院へ搬送して追加処置を受けます。
事前に調べるには筋生検や遺伝子検査が必要で、家族歴がある場合は特に注意が必要です。頻度は極めて低いものの、一度起こると致命的になり得ます。
手術中の大量出血
一般的にはまれですが、術者の熟練度が低い場合、血友病などの既往がある場合、全身疾患の薬で止血が遅くなる場合などに起こり得ます。
発生すれば緊急事態なので、速やかな止血と輸血、必要なら上級病院への搬送が必要です。
予防のためには経験豊富な医師を選び、術前に既往歴や服薬を正直に申告することが重要です。
全身麻酔中の無呼吸
両顎手術中に起こることは非常にまれで、通常は気管挿管で気道が確保されているため呼吸は維持されます。
麻酔機器の故障、麻酔科専門医不在など、特殊な状況でない限り起こりにくいと考えられます。
むしろ全身麻酔ではなく鎮静(睡眠麻酔)で行う輪郭手術などの方が、気道確保が弱くリスクが高くなる可能性があります。
まとめ(結論)
両顎手術の副作用を心配する方が多いため整理しましたが、結論としては、
まれに起こる重い合併症は過度に心配する必要はほとんどありません。
多くは最初に挙げた“よくある症状”が出る程度で、比較的早く回復するため、両顎手術は安全性の高い手術と考えられます。
手術についてご不明な点がございましたら、
いつでもお気軽にお問い合わせください。
誠心誠意、丁寧にご回答いたします。
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