今日から6月。

まるで真夏のような太陽。

肌がジリジリ焼ける音がする。
スカートから顔を出した膝小僧がヒリヒリ泣いて、
手首と首筋と足首が赤く腫れた。
今年初めての蚊に刺され。

雛鳥が巣立った後の部屋を
ようやく片付け始めた。

こども仕様のキャラクターグッツ。
マラソン大会の一等賞の賞状。
ピアノの発表会の写真。
保育園のころ母の日に書いてくれた
「まま、おしごとがんばってね」
と、書かれた手紙。
90センチサイズのキティちゃんのエプロン。

どう片付けていいかわからず
冬の終わりにココから出て行ってから
そのままの部屋で暮らしていた。

だからか…


時間を持て余し、
心に空いた穴を風が
スースー通り過ぎるのを
ただ黙ってみていた。

一緒に暮らした場所から
1人いなくなったら
風が吹くのは当たり前だ。

同じ景色に、いるはずの人がいないんだから。

永遠の別れじゃあるまいし…
なのに、この言葉ならない……
この空虚感。

あきらかに季節は変わった。

6月1日、衣替え。
今日は準備の日。
明日から、はじまる夏仕様の親鳥。

眩し過ぎる青空に
負けそうになる気持ちも衣替え。

ひとりの夏がはじまります。