あるBARの物語
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:星降る雨空


俺は分からなくなっていた。


最近彼女とうまくいかない。

なんていうか、ちょっとしたズレというか、うまくかみ合っていないというか…。

今こうやって一緒に食事をしていても何を考えているのか分からない。

付き合い始めたのは少し気になる存在であった彼女からの猛アプローチがあったからで、つまり俺はそれに押されたのだ。

いろいろと彼女のことを知れば知るほど惹かれていったし、今では前よりも好きだ。

好きというよりも、これは愛なんじゃないかって思う。

でも、この微妙なズレが俺は気になるのだ。

もしかしたら彼女の気持ちが離れていってしまっているんじゃないかと。

だから夕食をすませた後、つきあい始めた頃に二人で行ったバーに誘った。










最近彼が冷たい気がする。

もしかして私の存在を必要としなくなってしまったのかしら?

確かに最初はかなり一方的に彼に迫ったけど、付き合い始めて二年間とても楽しく過ごせたと思う。

なのになぜ、こんなことになってしまったのかしら。

こうやって一緒に食事をしていても彼は黙ったままだし。

もっと言えば上の空っていうか、心此処にあらずっていう感じだし。

はぁ…どうしたらいいのかしら。

黙々と食事をしていたら、この後あのバーに行かないかと言われた。

もしかして別れ話かしら。

私は笑顔を取り繕い「そうね、久しぶりに行きましょう」と答えた。










二人でタクシーに乗り込み移動中も沈黙が続く。

「さっきのお店、美味しかったわね」

彼女が沈黙を破る。

俺はそうだねとだけ答えた。

色々考えていたせいで味なんて分からなかった。

心なしか彼女の顔が寂しそうなのは気のせいだろうか。

やはり別れを考えているのか?

そんな考えが頭を過ぎり彼女の顔をちゃんと見れなかった。










バーに着くと「懐かしいわね」と彼女が呟く。

俺は黙って店に入った。

店内は以前と変わらず薄暗く、それでいて温かな光に包まれていた。

カウンターに並んで座り彼女はマルガリータを、俺はジャックダニエルを注文した。

「初めて来たときと同じものを注文してるわ」と隣でくすくすと彼女が笑う。

お前もだろうと言うと「そうね」と答える。

しばらくの沈黙の後、カクテルグラスを握りしめながら彼女が口を開く。

「もしかして、私のこと、嫌いになった?」

その問いに驚いて彼女の顔を見ると微かに目が潤んでいるのがわかる。

そんなこと…と言おうとすると、先ほどまでカクテルグラスにあった彼女の小さな手が俺の手に重ねられた。

「あなたにしてみたら迷惑な話かもしれないけれど、私、あなたが私を必要としなくなっても側にいたいの」

彼女は目を伏せて小さな声で言葉を繋ぐ。

俺は突然のことに彼女を見つめることしかできない。

「最近、あなたと私の関係が少し変だって気付いてるわ。でも私はあなたのこと、以前と変わらず好きなのよ」

彼女の手に力がこもる。

「私のこの気持ちも、感情も、あなたがいるから生まれるの。これは私のものでありながら、あなたのものでもあるのよ」

ゆっくりと彼女は俺の顔に目を向ける。

「どうしてまたこの場所に連れてきてくれたのかは分からないけれど、私はこれからもあなたと一緒にいたいと思っているの」

俺は胸が熱くなるのと同時に、彼女も俺と一緒で不安を感じていたのだと知った。

俺は彼女の手を握って「変なこと考えるなよ」と笑った。

とても彼女らしく、そしてプロポーズにも取れる言葉だった。

不器用な男と愛をくれる女。

俺は絶対にこの手を離したくないと思った。

「もう一杯飲んだら、帰ろうか」

そう言うと彼女は微笑み静かに頷いた。




$あるBARの物語




お酒MAGIC





制服着用は二割り増し。

旅の出会いは五割り増し。

そのぐらい異性がステキに見えるらしい。






それじゃあ、酔ってるときは何割り増し?





目が覚めると頭は重く、身体は気だるく、最悪な朝だった。

昨夜は例の如く飲み過ぎたのだ。



昨日のことを思い出す。


夕方に仕事を終わらせて、そのあと合コンがあって…そうだった、相手連中を見るなりやる気がなくなって飲みに走ったんだった。

お酒強いねーなんて言われて「オメーはさっきから全然飲んでねーなーコノヤロー」とか言ってたっけ…


言ってたっけっていうより確実に言ったな。

うん。



ベッドから起きあがることなく昨夜の出来事がじわじわと鮮明になってくる。

それからカラオケに行こうってなって…私は歌いもせず酒ばかり飲んでたなぁ。で、たまにあれを歌ってくれだとか、これを歌ってくれだとか頼んどいて「オメー下手だなコノヤロー」って途中で消しちゃったりしたっけ…


いやいや、したっけじゃなくてしたんだよ。


私の隣に座ったばっかりにそんなリクエストをされてた…えーっと…ナニ君だっけ?思い出せないや。


とりあえず何とか君には悪いことをしたなぁ。


申し訳ない。


今こうやって心の中で謝るよ。



それから…うわー。

曖昧。

超曖昧。

それからどうした?私。



あ!カラオケ屋さんのフロント近くにUFOキャッチャーがあって欲しくもないのにそれで遊んで、うまく取れないことに腹が立って「落ちろー!」とか言いながらガンガン叩いてたらお店の人に怒られたっけ。


思い出せば思い出すほど呆然となる。

もう大人だぞ、私。



床に目をやると何のキャラクターなのかわからないぬいぐるみが鞄から顔をのぞかせている。


なんだあれ。

あれが欲しくては私は年甲斐もなくUFOキャッチャーに夢中になっていたのか?


で、その後は…

えーっと…

タクシーに乗って帰宅?

違うなぁ。

もう一軒行ったな。

バーだ。

近くのバーに行った。

何を喋ったかは覚えてないけど確かイケメンが居た気がする。

何を話した?あー、ダメだ。

残念ながら思い出せない。



こうしているうちにも時間は刻々と過ぎ、気付けば夕方になっていた。

起きたときの頭の重さはいくらかは楽になったし、シャワーでも浴びて飲みに行こうと準備に取りかかる。



「二日酔いにはむかい酒だコノヤロー」




バーに行くと「昨日はだいぶ酔ってたね」とマスター。

やっぱり?と言いながらカウンターに腰掛ける。

店内にはポツポツとお客さんが居たけど見知った顔は居ないようだった。

何か迷惑をかけなかったかと聞いたけど、別にと適当な返事が返ってくる。


よしよし。

それならよかった。



頼んだお酒がグラスに注がれ口を付けると隣から声をかけられた。

グラスを口に付けたまま目線をそちらにやると「昨日はどうも」と言われた。


え?誰?


マスターに目を向けると「昨日喋ってたよ」と言われた。

その見知らぬ男にも「昨日は楽しかったです」と言われた。


アレ?例のイケメンか?

でもイケメンではないぞ。


妙な作り笑いをして再びマスターに目を向けると悪戯っぽい顔で「昨日散々ステキとか言ってたよ」と言われた。


コイツが例のイケメンだったとは…


「…昨日はひどく酔ってたみたいだね」

それしか言葉は出てこなかった。




制服着用は二割り増し。

旅の出会いは五割り増し。

酔っているときは倍増しのようだった。




$あるBARの物語




幽霊作家

僕は困っていた。




どうしたものか。




考えがまとまらない。




と言うよりかは何も浮かんでこない。




何でこんな「あるBARの物語」なんて小説ブログを一週間に一回更新なんて設定で始めてしまったのだろうと多少の後悔もあった。





ネタが浮かばない。





どこかにネタになるような事が落ちていたらいいのに。





思いついたことを忘れないうちに書き留めておけるように持ち歩いているメモ帳も全く出番がない。





深いため息がでる。





そんなときに店のドアが開いた気がした。










いらっしゃい…





あれ?誰もいないや、気のせいか。



これはアレだな。



考えようとするからダメなんだな。



こういうことは、ふとした時に浮かぶものなんだよな。










すると携帯電話のメール音が鳴った。





相手は、僕のブログの半分を書いてくれてる人からのメールだった。




いわゆるゴーストライターってやつだ。





メールを開くと新しい短編小説が書かれてあった。





























今回の小説はあなたが書いた小説ですか?



はい。そうです。





$あるBARの物語
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