焼肉を食べる時に、たれに「にんにく」を入れる人がいます。おろしたにんにく。

焼肉は供する時点で「もみだれ」(カルビ系と内臓系で二種類)を付けていますが、その時にちょっとだけおろしニンニクを入れています。テーブルに置いている「つけたれ」(いわゆる焼肉のたれ)には入っていません。で、食べる時にお客さんの好みで「おろしにんにく下さい」と言うので出すと、それをつけたれに入れて、にんにく味を強化してお食べになるわけです。


狭い店なんでお客さんの会話は割合と聞こえてくるもので、加えて「何か追加が来るんじゃないか?」とか「火力の調節に戸惑っているかな?」などとお客さんの動向を気にする意味でも僕の耳はダンボになっています。別に覗き見的な興味で客の会話を聞いてはいません。こちらは食事を楽しんでもらうのが目的なんで、行き届かせる為に役に立ちそうな単語のみ拾います。


「にんにくって緑色のがあると?」

「変わっとるねぇ」


どうやらおろしにんにくの緑色が気になっている様子です。客は30代半ばの男2女2の4人です。その問いに対して、誰も何の反応もしていない様子。こちらに聞いてくるかと思いましたがそれもない。わざわざ行く必要もないかと放っておきましたが、しばらくしてまた聞こえます。

「緑色のは味が違うと?」


にんにくまみれで食べてるのは一人だけのようで、食べてるその人に聞いているんだけど彼は答えない。ちょうどビールの追加があったんで、その時に僕は言いました。


「にんにくの緑が気になりますか?」

「・・・そう。こがんと初めて見たぁ」

「おろした最初は白かったんですよ?」

「えぇ?それがこがんなると?」

「はい、だんだん色が変わってこんな風になります」

「へぇ、知らんやったぁ!?」


すると、にんにくを食べてる客が口を開きます。

「そうそう。だんだんこがんなるっちゃんね(こうなるんだもんね)?そいけんどがーんもなかと(だからなーんでもないんだよ)」

「添加物が何も入ってないからこうなるんですよ?」

納得のご様子でした。彼が何で答えなかったのか?たぶん、自分では「そうなんでは?」と思いつつも、「ひょっとしたら最初から緑の品種があるのかもしれない」と思って、いわゆる知ったかぶりはすべきでないと考えたんでしょうね?

うちで使っているおろしにんにくは、生のにんにくを母がミキサーでガリガリやって瓶詰めして使っています。もちろん保存料だとかの添加物(よくわからんが)は一切入れてないから次第に色が変わるのです。最初は白いというか、にんにくそのままの薄黄色ですが、次第に緑を帯び始め、ほぼ完全なる緑になったら終わりです。それ以上濃くはなりません。まぁ鮮度という意味では「おろしたて」ではないわけですが、冷蔵庫にて保存していますので何ともありません。母に聞いたら、「う~ん、3日経ったらもう緑やったろ?」


中国の食品に関する問題はまだ何にも片付いてはいないようです。ただ、例えば虫が食ったキャベツを嫌うとか、曲がったキュウリを避けるとか、そのような、「見映え」をあまりにも重視する傾向がこの問題を呼んだとも言えるのかもしれません。確かに見た目がきれいなモノの方が、みずみずしく爽やかで健康的で、衛生的に見えるでしょう。ただ、野菜が作られている現場であるところの畑を思い起こせば、そこは言うまでもなく泥にまみれています。気候やその時々の状況によっては虫だってやって来ます。中国の問題からこちら、消費者は(他にも偽装なんかあるけど、特に)食品に対する眼が厳しくなっているはずですが、何と言うか、原点に戻るべきではと思いますね。

考えてみたらわかります。虫が一切ついていないキャベツ(を含めた葉モノ野菜)には、それが絶対とは言えないにしても、農薬の使用が疑われますよね?農薬でガードされてるから虫が食べないのです。逆に言えば、「虫も食べないアブナイ野菜を」我々は嬉々として食べてる可能性があります。


母はしょせん素人ですからちゃんとやり方があるのかもしれませんが、「農薬なしでは野菜作りきらんよ。植えてすぐの時には絶対農薬まかんば虫に食われて死ぬもん!」「最初から最後まで完全無農薬ってホントに出来るっちゃろかぁ?」と母が言ってました。


農薬は、人体に危害を及ぼさない程度には使わざるを得ないんだと思います。そこのところが、中国では線引き出来ていないのでしょう。どこまでが「大丈夫」で、どこからが「これ以上使うのはまずい」という部分です。


にんにくは食品添加物の話なんでちょっとずれましたが、中国の食品を思い起こしましたんで。