香水瓶の影法師 第二夜
彼はガラブリア売り。靴墨を塗ったような焦げ茶色の肌、太い腕、汚れた爪のついた分厚い手、濃い眉、濃い髭、濃い髪、窪んだ眼窩の底に暗く光る、狡そうな、逞しそうな瞳。私に向かって語りかけられる、大きな声、わけの分からない言葉、派手な身振り。
彼の瞳は、暑さと埃とで、ねとつくような、どろどろした空気をかき混ぜる。
一枚のガラブリアが、私の目の前に広げられた。真っ白な綿の、切り込みの入った衿と袖口の周りに細かい装飾刺しゅうの施された。白は、太陽の光と、埃を湛えて、心なしか黄金色に輝いて見えた。
ふっと、呼吸が楽になった錯覚を覚える。
ひらり、ひらり。一枚、また一枚。ブルー、パープル、サファイア、チョコレート、ガーネット、クリーム。
まるで、数知れぬ、種々の鳥の羽が、空から舞い降りる中に、佇むかのように。
私は無意識に腕を伸ばし、ひときわ美しい、そこだけ沈んだような暗赤紫色の襞に、指を触れたその時、手首に暑苦しい湿度と痛みを感じたのは、埃と汗のしみ込んだ、木の皮の如き掌で、みっちりと掴みとられていたのだった。
彼の手に握られた私の五本の指は、あたかも、力なく折り取られた野の草のように、ぐったりと萎れていた。









