ジムは、40歳で再婚した。

相手は、20歳のカントリーガールである。

カントリーガールというと、田舎娘と思うだろうが、アメリカでは生活様式が様々なので、勘違いしないで欲しい。

実家が農業でも、その差には天と地の違いがある。

やっとその日暮らしの出来る農家から、大邸宅に住み高級新車を乗り回す恵まれた農家まで色々ある。

企業のような農家の娘を、カントリーガールとは呼ばない。

学校も行ったり行かなかったり、中学卒業程度の家庭や、兄弟の子守りのために学校を休まされるような子、文化生活の少ない家庭で育った子。

そう言っても、型破りの娘もいるので、そういう家で生まれ育っても、カントリーガールばかりではない。

ジムの新妻カーラは、カントリーガールである。

実家の生活を受け継ぎ、それを実行していく。

彼女が17歳の時、家に電気を取り入れて、電気代を払わずに、電気を止められたという話だ。

両親とも文盲で、請求書は燃やしていたらしい。

その話をジムがして、仕事仲間を笑わせていた。

私たちは、地方の航空会社の2番勤の仕事で、午後３時半から11時半までの勤務時間だ。

「彼女、処女だったんだよ」　

「ジム、信じてんの？」

「そうだよ。近所に相手がいないんだ」

「甘いよ、甘い。兄弟とか親類がいるだろう」

「そういう人達はいるよ」

「あの辺りは、初めての男が兄貴だったり、叔父さんなんだよ」

「そりゃ、言い過ぎだよ、ハリー。ジムの新婚に水をさす気？」

まさかとは思うが、真実は私にはわからない。

離婚して落ち込んでいたジムが、元気でニコニコしているのを身近に見るのは嬉しかった。

ジムもカントリーボーイだが、航空会社に勤めているし、200頭の牛と山の別荘に、500エーカーの牧場を持っているので、カーラのカントリーガールとは違う。

別れたジェーンはタバコ会社の案内嬢で、美人で愛嬌もスタイルも良く、ジムとは釣り合わない女だが、そういう女は周りが放っておかない。

彼女の浮気から離婚になったのだが、家の中はモデルハウスのように磨きあげていて、ジムは土足では入れない。

洗濯場で着替えて、初めて部屋に入れてもらえたという。

職場は、ジムの話で持ちきりだ。

次回へ続く

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