うちの近所に中華レストランがありました。
昼間は飲茶を、夜は大皿の中華料理を出すお店で、夫と私はこのレストランの飲茶が大好きでよく行っていました。
ランチ時は混雑していて、週末などは待たないとテーブルにつけないのが当たり前。
それだけ人気のレストランでした。
私たちの友達もここの飲茶が気に入っていて、時々一緒に行ったりしていました。
ところが、数ヶ月前、突然このレストランの名前が変わっているのを発見!
相変わらず漢字の看板が出ているので、他の中華レストランに居抜かれたもよう。
あの飲茶レストランがなくなってしまうなんて!
すごくびっくりして夫に報告したところ、彼は「ランチタイムは混んでいたけど、夜はお客さん少なかったから仕方ないんじゃない?」
たしかに、夜は閑散としていました。
かつて香港とかシンガポール、マレーシアに住んでいたという友達たちに言わせると、夜はここは味の割りに値段が高いとのこと。
私が心配したのは、ここでワゴンを押していたおばちゃんたちのこと。
飲茶ワゴンを押してテーブルからテーブルをめぐっていたおばちゃんたちの中で、私たちが注目していた人がいました。
その人がなぜ、私たちの目をとらえたかというと、どんどん垢抜けていったから。
おばちゃんをお店で見かけるようになった最初の頃、まるで「昨日、大陸から出てきましたっ」と言わんばかりの外見だったのです。
着ている白いブラウスや黒いスラックスがどこか野暮ったく、髪は大きめロットできつく巻いたパーマヘアでパサパサして見えたし、化粧っ気もほとんどなく。
ところが、そのおばちゃんはどんどん、どんどんキレイになっていくのです。
元々細身で足が長いので、足首に向かって細くなっているシルクジャージーっぽいパンツは彼女にとても似合っていました。
また、髪も少し赤っぽく染めてヘアムースか何かでツヤが出ていました。
眉も細くなってメイクもどこかで習ったのか、すっかり変えた感じ。
人は変わるもんだなあ、と彼女を見ていて思いました。
私たちが行くと、顔を覚えてくれたようで、私たちが好んで取るDim Samを「ほら、あるわよ。どう?」とすすめてくれたりしました。
そんなおばちゃんは、お店がクローズしてしまってどうなってしまったんだろう?と心配していました。
そして、やがてそんなことも忘れかけていたある日。
2年前ぐらいにオープンして連日すごいにぎわいの飲茶レストランに、たまたま夫と行きました。
体育館のように広くて、中華趣味ここに極まれリというような、金色に輝くシャンデリアと赤いじゅうたんのまばゆい店。
いつ行ってもいっぱいで待たなくてはいけないので、私たちは一度もそこで飲茶を食べたことがありませんでした。
1週間ほど前、偶然この店に行ったら3組ほど待てば席につけるとのことだったので、待ってみました。
そして、席に案内され、その広さに圧倒されながらも「香港で行った飲茶レストランみたいだね」と夫と話していました。
あれこれDim Samを取ってウハウハ食べていると、見慣れたおばちゃんがワゴンを押しながら通りかかりました。
そう! あのどんどんキレイになっていたおばちゃんです。
お互いに顔を見るなり認識し合い、「わあ、久しぶりね~」とあいさつ。
おばちゃん、ここでワゴンを押していたのか~。
相変わらずのすらっとした長身で、いきいき働くおばちゃんを見て、次の仕事場が見つかって良かったなあ、と思いました。
また、もうひとり、クローズした飲茶レストランで働いていたおばちゃんもここで変わらずワゴンを押している姿を確認。
どう言ういきさつでここで働けることになったかは分かりませんが、ワゴンを押す仕事をしていたら、次の仕事もやはりワゴン押しの仕事が良いのでしょうか?
もうひとつ、気になるのは黒服たちの行方。
クローズしたレストランでは、黒服のおじさんたちが5,6人働いていました。
彼らの姿は今回見かけませんでした。
やはり、どこかのチャイニーズレストランで仕事を見つけていれば良いのですが・・・。
ちなみに冒頭の飲茶レストランを射抜いたお店は、チャイニーズ・イズラミック(Chainese Islamic)のレストランだそう。
チャイニーズでもイスラム教の人たちがいるんですね。
でも、「四足のものならテーブル以外なんでも食べる」というチャイニーズがイスラム教の料理を出すって一体どんなのなんだろう、と思います。
シーフードと野菜のみで作っているのかなあ?
調べに行くつもりはありませんが、気になる・・。