先月のおはなし。。。
友人に誘われて、「ノルウェイの森」を映画館で観ました。
たぶん本で読んだのは、今から20年くらい前で高校生の時。
当時は赤と緑の2冊に洗練された都会的な雰囲気を感じて。
そして、お洒落なトートバッグを片手にCDショップに行き、Miles DavisのKind of Blueを選んでいるようなステータスを感じて。
あとは、「村上春樹」ってなんかお洒落だな~なんて。
…とこんな感じだから、読んだといっても内容なんか全く覚えているわけもなく。
そんな、限りなく「はじめまして」に近い再会をしてきました。
アメリカ人が表現する言葉を日本ナイズするわけでなく、そのまま日本語に置き換えたような村上春樹の独特な言い廻しと、劇中の中で象徴的に使われるビートルズの曲「ノルウェイの森」。
そして叙情性の溢れる映像はどこかノスタルジックな気持ちにさせる。
そして、サブタイトルになっている
「深く愛すること。強く生きること。」を感じる。
村上春樹の著書では、人がしばしば亡くなる。
それも死への過程や、要因が充分に前置きされないままそれは突然訪れる。
そのことは恐らく作者の意図的なものであり、「死」とは常に身近にあるもので決してドラマティックなものでないことを教えてくれる。
この物語ではそこに「愛」が大きく関連づけられる。
深い愛をもって何にも流されず、献身的で迷わずその愛を貫こうとする強い気持ちと、それが「ブツリ」と断絶されることによる果てしなく大きな喪失感。
漆黒の穴の奥に落とされたような、そして世界の果てに独り取り残されたような大きな絶望感を主人公は感じることになる。
人が生きていきながら大きな愛を紡いでいくことと、それを失う大きな絶望とは極めて身近で、背中合わせなのだということを教えてくれる。
しかし人とは果てしなく大きな絶望や喪失感を感じたとしても、また誰かを
愛していく。
誰かを愛することは「強く生きていく」ということなのだということも教えてくれる。
物語では、主人公を取り巻く登場人物は、それぞれが線では繋がっていないが、主人公を中心とした円の内側にいる。
その登場人物らと主人公との関わりのなかには、静と動、力強い屈強さと繊細な優しさ、永遠を求める愛と刹那的な愛、そして生と死。。。
背反的なものが全て大きな円のなかで混沌としている。
しかし、そのことが意図するものが分かってくると、一見ミスマッチにも思える叙情性の溢れる風景と、この映画のもつテーマについて合点がいく。
そう、すべては自然なことなんだということが分かってくる。