ヤシカのハーフ17です。

購入者様より修理の依頼があり返品されてきました。

 

 

昨日はこの個体を修理した時の過去投稿記事を読み直しながら部品取りのジャンク品を分解してみて改めて構造とその動き方を学んでいました。

 

本日は別の部品取り機を分解してより詳細に作動システムを見ていきます。

 

 

まずAUTOの状態ですと黄矢印のアームが露出計の測光値に応じて上下します。

するとシャッターを開閉する水色矢印がアームの赤矢印の部分に当たる事によって

シャッター/絞り羽根の開閉度をコントロールします。

アームが上に上がれば上がるほどに絞りF値が小さくなりシャッタースピードが遅くなります。

 

 

次にB(開放)にセットするとアームは緑色矢印によってロックされ上に上がることが出来なくなります。

するとシャッターを開閉する水色矢印がアームの赤入り矢印の部分を乗り越えて左方向に進みます。

 

 

そしてシャッターボタンを押すと黄色矢印の爪が下りてシャッターを開閉する水色矢印をロックしてシャッター/絞り羽根が開放されます。

シャッターボタンを戻すと黄色矢印の爪が上がってシャッター/絞り羽根が閉じます。

 

以上の動きから『B(開放)時にシャッター/絞り羽根が閉じる速度が遅い』という症状はシャッター/絞り羽根を閉じさせるリターンスプリングに問題があるのではないかと推測されます。つまりリターンスプリングが弱っているとか…。

しかしリターンスプリングを強化するのには後記するように問題があります。

 

 

そしてマニュアル時のF値1.7の時の各部の動きは基本的にB(開放)時と同じですが、

黄色矢印の爪が下りません。このためシャッター/絞り羽根はロックされて開放される事無く閉じます。

 

以上の動きから『マニュアル時のF値1.7の時にB(開放)時と同じ動きをする』という症状はこの爪の動きに問題があることが考えられます。

 

 

考察が終わったので実機を分解してみました。

そしてマニュアルF1.7の動きをチェックしてみるとどうやら黄色矢印の爪が上がりきらずにシャッター/絞り羽根をロックしてしまい開放になってしまうようです。

それも色々と弄っていたら毎回ではなく10回に1回程度になりました。

ですからあとほんのもう少しだけ黄色矢印の爪が上がってくれれば良いだけなんですが…。

 

 

更に動きを考察してみるとどうも赤色矢印のレバーが怪しそうでした。

そこで部品取り機の方からこのレバーを移植してみましたが多少良くなった程度で根本は変わりません…。

 

 

本体から取り外して較べてみました。

左が実機

右が部品取り機のです。

実機の方には何か付いています。

 

 

良く見てみると紙のようなものが接着剤で取り付けられていました!

爪を上がらさせるためのスペーサー(シム)として取り付けられたようです。

私の見立てではこの実機は過去に分解された形跡が無い様に思われたので

仮に過去に誰かが分解・修理をしたとしても原因を究明する事が出来たとしてもこのような方法で調整しないのではないかと思うのですが…。

まさか工場集荷前にこのような調整を受けたのでしょうか?

謎というよりミステリーみたいなもんです。

 

 

という事で私はこれに倣いアームと紙の間にエポキシ接着剤を盛る事でスペーサーの厚みを増やすことにしました。

エポキシ接着剤なら紙よりも耐久性があるでしょうから何とかなると思いました。

 

ここはかなり重要な部分なので完全に硬化させるため一晩放置するので本日はここまでとなります。