セコニックのL-98 マイクロリーダーという単体露出計です。

 

 

随分古い露出計ですが受光部がセレンではなくcds素子なので動作・精度共にまだまだ充分使えると思います。

 

 

右が同じセコニックのL-188という露出計です。

L-188の重量が50gなのに対し

L-98は120gとかなり重いです。

 

 

重たい理由がコレです。

L-188はケース部が上下共に樹脂製なのですが、L-98の上面は真鍮製です。

 

L-188があるのに何故L-98を入手したのかというと露出計には露出の測光範囲となる受光角度というのがあります。

L-188の入射角度(測光範囲)は60度となっています。

60度という入射角度を35mmサイズカメラのレンズ距離に換算すると

35mmの広角レンズが63度程度とのことなのでこれに該当するでしょう。

しかし標準レンズとなる50mmとなると入社角度は47度程度となっているので60度ではちょっと角度が大きすぎるかと思います。

 

 

因みにこちらのミノルタのスポットメーターになると入射角度はなんと1度です。

ですからハーフサイズカメラやレンジファインダーカメラ等の露出計の精度をチェックするのに使うのはちょっと辛いかと思います。

 

 

という事でセコニックのホームぺージから歴代の露出計の取扱説明書を見て調べた結果L-98の入射角度が40度となっていたのでコレが値段的にもよろしかろうという事になりました。

 

 

ですが最初に入手した個体は電池室の蓋がコインドライバーを使っても緩まず、

ピンバイスで穴を開けてカニ目レンチで開けようとしてもダメでした。

ヤッパリ電池室蓋を開けて中まで見える画像が載っている個体を入手しないとだめですね。

安かろう悪かろうの典型的な失敗パターンでした。

 

 

元々1.35Vの水銀電池を電源にしていたのですから電圧が1.55Vのアルカリ電池を使うとなれば補正が必要になるだろうからと分解をします。

上蓋は三本のネジで固定されています。

二本のネジはゴムプラグのような物で隠されていて一本のネジは銘板の下にありました。

 

 

上部のカバーが外れるとメーター盤が二本のネジで取り付けられています。

 

 

メーター盤を止めるネジの穴が経年劣化で割れていたのでエポキシ接着剤で補強します。

 

 

メーター盤を外すと電池室のマイナス電極が見えるようになりました。

ですが物凄く腐食していて触れてもいないのに電線が取れてしまいました。

画像は電極の腐食を除去して新しい電線をハンダ付けした状態です。

結局カメラ同様にこの露出計も電気系の修理をしなければならいなんですねぇ…。

何も手を加えなくてもそのまま使えるような個体は無いんでしょうか…。

ハァ~⤵⤵⤵…。

 

 

マイナス電極に繋がる電線の反対側もひどく腐蝕していたのでこちらも改めてハンダ付けしました。

 

 

電極の配線を新しくしたにもかかわらず針が全く反応しなくなりました。

不思議に思い針の付近を調べていたら針に関わりの有るがるひげゼンマイが電極から外れていました。

改めてハンダ付けしました。

 

 

この可変抵抗器を調整して1.55Vの電池を使えるようにします。

ですがいくら設定を変えても反応しません。

それに露出計の針は動きますが、バッテリーチェックボタンを押しても針が反応しません。

何かがおかしいですね。

可変抵抗器の上の電極部分が外れているようなので改めてハンダ付けしたのですがそれでも可変抵抗器がグラつきます。

 

 

ということで可変抵抗器を取り外して基板をチェックしたら左の電極のハンダ部分が酸化被膜に覆われています。

これじゃぁハンダ付けできないわ。

 

 

可変抵抗器の電極部も酸化被膜に覆われていたのでヤスリで磨きました。

 

 

基板の電極部も磨いてハンダを盛り付けました。

 

 

可変抵抗器の電極にもハンダを盛り付けます。

 

 

可変抵抗器が基板にしっかりとくっつきました。

ココまでやってきて配線を全て追いかけて電気の流れを考えてみたのですが、どうやらこの可変抵抗器はバッテリーチェックの針の位置の設定用であって露出計の針の設定には無関係であることが判明しました。

 

 

エポキシ接着剤が硬化したのでメーター盤を二本のネジで取り付けます。

 

 

三本ネジで上蓋をしっかりと取り付けてcds素子に余計な光が入らないようにします。

これでようやくこの露出計の精度をチェックできます。

結果なんですが

電圧が1.25Vの電池を使ってL-188がF11の時にF16を指しミノルタのスポットメーターは同じF16を指し示しました。

電圧が1.49Vの電池だとF22とF32の中間を指し示しました。

この事から関東カメラさんの電池アダプターを使って1.35Vにして使うのが良いと思われます。

 

 

バッテリーチェックの方は1.25Vの電池でこの様に示しました。

赤い針が青い部分と重なっていれば電池はO.K.ということになります。

 

 

コレで一通り完了したので二本のネジの上にプラグを一本のネジの上には銘板を貼り付けます。

はみ出した接着剤は半渇きになったら取り除きます。

 

 

コレで完了です。

このマイクロリーダーという露出計を使ってみた感想なんですがちょっと癖があるみたいです。

こういった露出計は基本的に被写体に対して水平にして測光するのでしょうが、その角度がちょっとでも上または下にズレると±1.0程度の数値が変わってしまいます。

L-188より敏感に反応するのみたいですね。

今後はテスト撮影の際はこの二つを随伴させて露出のチェックしていきます。

 

単体の露出計を使う機会というのはホボ無いと思いますが、いざ使ってみると操作も簡単でかなり便利でなかなか手放せない存在になります。

なによりも露出計が壊れているカメラでも無問題で撮影ができます。

使い慣れてしまえば露出計が付いていない年代のレンジファインダーカメラでもさ杖できますから。

 

正確に動作する露出計を一個は持っていると良いかと思います。

LR-188は使用する電池がSR(LR)44となっているので一層使い易いと思います。