キャノンのデミEE17です。
今回はまず現状での無限遠のピントが合っているかを確認します。
ズレていれば再調整を行います。
まずは前玉です。
この様に通常の光の下では綺麗に見えても…。
青色のLED灯を当てるとクモリが見えるようになります。
デミEE17は前玉に問題を抱えている個体が非常に多いです。
その症状は
① レンズ表面に傷がある
② レンズ表面外周部に腐食のような痕があってザラザラしている
③ 青LED灯を当てると発見できるクモリ
といった感じです。
①については多少のキズであれば撮影に影響はありません。(見栄えはあまり良くなくなるので購入者が欲しがるかどうかは別ですが)
②についても外周部であればフイルムの範囲外になるので撮影には影響ありません。(これまた見栄えはあまり良くなくなるので購入者が欲しがるかどうかは別ですが)
③についても通常の光では見えないレベルなので撮影には影響ありませんでした。(目視にだけによる判断は不可)
ただ、この画像のレンズはあまりにもクモリが酷すぎます。
この後、再び通常の光で点検してみてもしっかりと確認できました。
これでは駄目です。
という事でアレコレと部品取りの中から探したら画像のようなレンズがありました。
この程度だと通常の光では確認できません。
前玉をこのような状態で仮付けし
レリーズボタンが使えるように軍艦とシャッターボタンも仮付けします。
ピントスクリーンをフィルム室に貼り付けます。
それで計測した結果がこの画像なのですが…。
ゾーンフォーカス式のハーフサイズカメラでは無限遠のピントが合っていないというのは私の最近の経験ではよくある事なのですが…、ここまでズレているのは初めてです。
果たして私の計測方法が間違っているのではないでしょうか。
自信が無くなってきました。
とりあえず現在の無限遠の位置をケガキ針で印を付けておきます。
ですが結果的には全く意味がありませんでした。
フォーカスリングとヘリコイドリングを締結している三本のイモネジを緩めます。
この二カ所と
この一カ所です。
これでヘリコイドリングが自由になりますので今回はヘリコイドリングを現在の無限遠の先になる方向に回してみました。
その結果ここまでピントが合ってきました。
バッチリ合ったとも言えますがもう少し追い込めそうな気もします。
近距離の方向へ逆回転させるとボケますのでもう少し無限遠の先に回したい感じなのですが、残念ながらこれ以上は回転しませんでした。
ということで無限遠のピントの再調整はこの状態で終了という事になります。
調整前と較べるとかなり違うと思いますが…。
次に露出計の精度を確認します。
電池を使うので底蓋を取付けます。
が、その前にASAダイアルの穴の周囲にモルトのカスがこびり付いているので除去します。新たに貼り直すことはしません。
この状態まで組み付けて制度を測ります。
結果はやはり正確ではありません。かなり難があります。
電源をOFFにしても指針がF2.8の下あたりで止まってしまうので市場の位置まで指針が下がりません。無理やり下げたら案の定露出がアンダーを表示するようになりました。
また、cds素子の端子がグラグラしていて通電したりしなかったりします。
これでゃ話にならないので露出計を交換します。
交換した露出計にはネジの取付穴が二カ所しかありません。
初期型なのかどうかはハッキリと判りませんが二本のネジで固定される露出計はちょくちょく見られます。
さて交換した露出計の精度なんですが、使用した電池の電圧が1.56Vとかなり高かったので明暗の様々な条件で可変抵抗器の設定を変化させてセコニックL-188露出計と比較してドンピシャ~0.250オーバーの値になるように設定しました。
とても良い感じになりました。
ファインダーは分解して内面をクリーニングしたおかげでここまで綺麗になりました。
内部に関する部分の作業は完了したので、あとは側を取り付けるだけです。
裏蓋のファインダー部には丸いモルトが有るのですがこの個体にはモルトが付いていた痕がありません。
こちら側にもモルトの痕はありません。
という事は工場出荷時からモルトが付いていなかった事になります。
後期型にはモルトを付けなかったのでしょうか?
今回はこの状態でテスト撮影を行おうと思います。
最後に革を貼り付けてタイマーレバーを取付けたら完成です。
時間がまだ早いのでこれからテスト撮影に行ってきます。
しかし…。
無限遠のピントがナゼあんなに合っていなかったのでしょか?
ゾーンフォーカスのハーフサイズカメラは無限遠のピントが合っていない物が多いですがあそこまでズレているのは今迄ありませんでした。
ハーフサイズカメラで無限遠の距離で遠景の撮影をすることは殆どなのではなかったのではないかと思われるので、意図的にずらしていたのかもしれません。
今回の無限遠のピントの再調整が間違っていたらテスト撮影の結果に出てくると思います。