ヤシカのハーフ 17です。
これで完了と判断してからの最終チェックを行う度に不具合が発生してしまい、なかなかテスト撮影まで到達できずにダラダラと長引かせてしまい
申し訳ありません。
再びこのような状態になっております。
というのも一昨日組上げて昨日の昼間にファインダー内の露出計の針の位置を確認しながらシャッター羽根の開き具合も確認していたら、露出計の針が1/500秒を示しているのに実際のシャッタースピードが1/30秒くらいになっているのに気付きました!
どうしてこうなるの?????
ということで昨日またもや分解する事になりました。
今回はあまりにも理解できない現象のため予備の部品取り(三台目)も同時に分解して各部の動作を比較検討しながらやっていきます。
マニュアル時は普通に動いているのでAUTO時つまりEE機構のなにかがおかしいのだろうと思われます。
まずシャッター羽根の開度の制御はどうなっているのかを見ていきます。
絞りリングの位置をAUTOにすると赤←のレバーがフリーとなり露出計のEE機構に連動して上下します。光量が少ない程レバーは上に動きます。
レバー右端が逆三角形になっていてこの一辺にシャッター羽根と直接繋がってるレバーのピンが当たって止まることによってシャッター羽根の開閉が制御されています。
高速時はピンがレバーの三角部の頂点近くに当たっています。
このようにレバーが上がるとピンが当たる部分が三角部の頂点から下方へ移動してシャッター羽根の開度が大きくなります。
そしてレバーが上がりきるとピンは三角部の下端に当たるようになってシャッター羽根が全開となり1/30秒となります。
このように露出計のEE機構は完全に連動しているのでEE機構が1/500秒の状態で1/30秒になるなんて構造上ありえないはずです。
部品取り=オリジナル状態のレバーとピンの関係は矢印の通り隙間がそれなりにあり三角部の頂点がピンより上の位置にあります。
しかし問題の個体はレバーとピンの隙間が殆どなく、三角部の頂点がピンの中心線の下にあります。
試しにこの状態でシャッターをチャージして押してみたらナ、ナント!
ピンがレバーの頂点を乗り越えてレバーの上辺を水色矢印の方向へ動いてしまいました!
ナルホド!これなら1/500秒で1/30秒の全開になるわけです。
納得です。
ということは.....レバーの位置と角度が悪いという事になりますからオリジナルのように正しい位置と角度にしてあげれば良いという事になります。
しかし原因が解りませんので手の施しようがありません…。
しばし黙考します。
露出計本体の針が曲がったためにズレた?
ASAダイアルの位置がズレて露出計の回転角が変わった?
等々.....。
各部をいじりながらあれやこれやと考えていたら
『アっ、あれが原因かも!!』
と原因になったと考えられる事象を思い出しました!
画像は露出計本体なのですが、赤←のピンの部分が水色←のレバーに上げられていくと水色←レバーから赤←のピンが脱落する事がたまに起きるので前回の組上げ時に露出計本体のボディへの取付位置を左にずらしたんです。
これが三角レバーの位置がズレた原因かもしれない。
実は露出計本体のボディに取り付けるためのネジ穴は画像の様に楕円形になっているんです。
これだと露出計取付の正しい位置がか解らなくなります。
果たして穴の真ん中が良いのか
果たして穴の右端が良いのか
果たして穴の左端がよいのか
合わせマークなど付いていませんから皆目見当がつきません。
ということでこの楕円の穴で露出計本体の位置が左右にズレるのは許容範囲なんだろうと判断して露出計本体を目いっぱい左に=穴の右端に合わせて取り付けたんです。
それでは楕円穴の右端と左端それぞれでネジを締めこんだ場合三角レバーの位置がどうなるか確認してみましょう。
画像は穴の右端(露出計を左へ)にして取り付けた時の三角レバーです。
こちらは左端(露出計を右へ)にして取り付けた時の三角レバーです。
全・然・ち・が・い・ま・す!
コレ許容範囲なんてもんじゃないですよ!
これだけずれたらシャッタースピードも変わってきますよ!
シャッタースピードに影響するからリーマボルトのような正確に位置決めをできる誤差の少ない穴と精密なネジを使うべきではないでしょうか。
それなのにこんな重要な場所をなんでバカ穴(楕円)にしたのでしょうか?
閑話休題
ひょっとしたら各部品の精度や品質を含めた歩留まりの悪さから発生したズレをボディに取り付ける際に修正できるようにしたのかもしれません。
でもそんな事をしたら生産ラインで組み立てる作業員さんの手間が増えるでしょうに…。
ではどこが正しい位置になるのでしょうか?
実は最初に分解した時に2本あるネジのうちの1本を外した時にバカ穴になっていたのに驚き、もう1本のネジを緩める前に参考のために撮影しておきました。
画像の様にボディ側のネジ部が少しだけ高くなっていて段になっています。
この段の端面と露出計本体の右端面を合わせるようにしてネジを締めこみます。
組上げの最後に軍艦を載せるわけですがASAダイアルの取付に癖があります。
中心にある固定ネジをカニ目スパナで締め付けるのですがASAの数値が刻まれた銘板がネジを締め込むと一緒に共回りしてしまいASA数値がズレてしまいます。
ですから矢印の小さな穴にピンセット等を差し込んで共回りを防止します。
こんな感じです。
あと銘板の赤い文字のDINがほぼ直上に来るようにするのが目印にもなります。
もっとも正確なのはダイアルを左に目一杯回してから右に1ノッチ戻します。
この位置がASA400になるので銘板の400の数字をココに合わせます。
これでようやく完成しました。
これでもう三度目です。
ということでシャッタースピードが1/500秒なのに1/30秒になってしまうという不思議な現象の原因は露出計本体の取付位置というこになりました。
しかし…。
なんで露出計の取付穴を楕円形にしたのでしょうか。。。
部品の精度や品質を含む歩留まりの悪さからの最終調整用だったのかもしれませんが、
当時組立てていた工員さんの中には女工さんもいたと思いますが、いったいどのようにして全ての工員さん達を教育指導して同じ品質のものを作り上げていたのでしょうか?
これだと組立てた工員さんによってシャッタースピードが微妙に違ってくると思うのですが…。
設計や構造ではかなり凝りに凝った方法を編み出しているヤシカさんなのに
製造工程に関連する品質管理(QC)には疑問が残ります。
このようなことから分解・組立作業をしていると気分が⤵⤵⤵になってしまうのです。
さぁ、次はいよいよテスト撮影です。
ですが.....いまいち気が乗りません。
散々苦労した露出計のセッティングですがこのような構造では本当に正しい露出になって写ってくれるのかどうか心配であります⤵⤵⤵。