キャノンの Demi です。
今回全バラして清掃&動作確認して組み上げました。
比較的に安価で入手できるDemiですが、多数の個体がセレンが死んでしまって露出計が動かなくなっていたり
モルトの加水分解が原因でボディが腐食してしまっている個体が多いです。
あまり良くない、雑魚のような扱いを受けている感(あくまで私感)がありますが
実際に撮影してみるとしっかりと写ります。
まるで1960年代の(高価な)写ルンですみたいな感じでしょうか。
Demiはネットオークション等でで二束三文でわらわらと大量に出品されている感があります。
しかしこの個体はちょっと変わっていて、いわゆる「初期型」と呼ばれる個体なんです。
初期型はボディの外側の銀色の部分である外装と軍艦がアルミでは無く真鍮製なんです。
画像は軍艦の塗装を剝がして地金の真鍮を露出させました。
ちょっと判りにくいですが後期型のアルミ製はこのようにアルマイト処理をされているのですが、初期型は真鍮に光沢の無いクロムメッキが施されているようでセレンの枠は光沢のあるクロムメッキ仕上げが施されています。
底部はどちらもアルミダイキャスト製です。
後面の左下側に製造番号が刻印されているのですが最初の番号が「1」から始まり2番目も「1」なのでかなり初期ロットの個体ではないかと思います。
私が見た限りでは真鍮製のDemiはこの製造番号の最初が1~4で始まる番号があるようです。
こちらが後期型となるアルミ製のモデルの後面ですがゾーンフォーカスの表記が変更されており、製造番号は「CO., INC」の文字の上に移動しています。
これらの画像では判りにくいですが初期型の真鍮&クロームメッキの方が遥かに重厚な質感があって高級感があります。
真鍮→アルミへの材質変更は大量生産品によくある「コストダウン」かとも思われますが、それだけが理由とは思えない部分があります。
それは...。
初期型の真鍮製Demiは重たいんです。
後期のアルミ製Demiの重量は実測で346gです。
初期の真鍮Demiは423gです。
423g - 346g = 77g も重たいんです。
コンパクトカメラで80g近く重いというのはとてつもないハンデである意味致命傷だと私は思います。
皆様がお持ちのスマホが現在20g重くなっただけでとても不便に感じると思います。
動画を長時間視聴すると手の疲労感からその違いを認識できると思います。
故にキャノンはコストダウンもあるでしょうが「とにかく軽量化したかった」のではないかとおもいます。
約80gの軽量化は外装を真鍮→アルミに換装しただけで実現できるとは思えないので他の部分でも軽量化の努力をしているのではないでしょうか。
また、Demiには COLOR Demi(カラーデミ)というのが有まして赤・青・白の三色が
存在しました。革とストラップとボディケースがそれぞれの色となり軍艦等の黒色の部分とレンズキャップが灰色になっています。因みにストラップとボディケースは当時オプション扱いだったそうです。
赤はちょくちょく出てきますが青はなかなか出てきません。白はめったに見ません。
レンズキャップ・ストラップ・ケースが揃っていて露出計まで稼働する個体は少ないと思います。
雑魚の様に扱われている感がある(あくまで私感)Demiですが
このように解析していくとそれなりに深いものがあると思います。
それではテスト撮影の結果です。
フィルムはKodak ColorPlus ASA200です。
電池はセレンなので不要です。
まずは自宅窓からの撮影です。
ちょっと露出オーバーな感じがしますが...。
描写はこんな感じでしょう。
逆光気味でフレアが出てしまいました。
左が適正露出、右が+1位です(Demiの機構構造上、正確に設定できない)
日陰の部分がどう写るか試しました。
色が濃いような気がします。
まぁ~可もなく不可もなくという感じでしょうか。
いかにも昭和時代というようなの写りですね。
これを拡大して画像を見てみたのですがまぁまぁでした。
やはり重たいというのはかなりのハンデであって撮影中は常に重さを感じ取り回しや持ち運びに不便を感じました。
映り(写り)の方はまぁまぁな感じで個人的には「良く映っている方だな」という感じでいかにも「昭和40年代の写真」と思えば好感が持てる感じです。
数か月前にDemi Cでテスト撮影をした時は今回より遥かに写りも描写もシャープだったのですが何が違ったのでしょう?基本的には同じだと思うのですが...。
殆どの画像が露出アンダー気味だったのでカメラのASA感度設定を一段階下げて(今回はASA200だったのでASA100にする)とよかったかもかもしれません。
この辺の設定変更は試写をしてカメラ個体ごとに微調整してあげるべきですね。
最後にいろんな方々が指摘されているのですがDemiのファインダーの構造の精密さがあります。元々小さなファインダー本体の中に小さな三角プリズムが2つ重なって組み込まれているんです。「ナゼにこんな手間をかけているの?」と修理の旅に毎回不思議に思っています。ただこの構造が仇となってしまってファインダー曇ってしまった場合は分解清掃してもほぼ改善されません。プリズム以外のレンズの材質が劣化してしまっているようです。
キャノンDemiでもここまで手をかけてやると愛着が沸きとても可愛く思えます。