『災難に逢う時節には 災難に逢うがよく候』

解説

自然体で生きる良寛さんらしい言葉だ。災難にあうときにはあったほうがいいといういい方が面白い。人間は誰しも襲い来る災難の予感がすれば、それから避けようとする。無理な手段を講じてあがく。
しかし良寛はそんなことをしてもつまらない、災難は来るのなら黙って災難にあったほうがかえって人間らしいと説く。
鍋島直茂(佐賀藩の始祖)が同じようなことをいっている。「家が潰れるときには美しく潰れたほうがいい。潰すまいとしてあがくとかえって見苦しい」と。良寛のいうのも同じだ。災難をよけようとして醜くあがけば、かえって見苦しい。それよりも堂々と受けとめて、その災難と取っ組み合うか、あるいは倒すかすれば、かえって美名をあげることができるということだ。
難事を避けようとして眼の色を変えて七転八倒するよりも、眼を輝かせて、さあ来いと危難を受けとめるほうがよほど勇気があるということだろう。

何か心に響いた。