なんとなく月雲のアナホを主人公にしたような。
話的には月雲+クラシコ・イタリアーノ
演出の原点は「あかねさす」のような気がする。
やはり上田先生は柴田先生の後継者だ。

とにかく軸がいっぱいある。
過去から未来の時間軸
星と土の縦軸/支配者と被支配者
江戸と九州という中心と周辺
そもそも住む世界が違う子どもが交わった悲劇ですな。

たとえ話だと、
九州の山奥の貧しい田舎に神童が現れ、東大に行きました。
卒業して国土交通省に入り、ダム開発を担当しました。
全国の地方で強引にダムを建てまくりました。
そして、大臣の娘と結婚しました。
あるとき、自分の町がダムの開発地域になりました。
反対派の代表が親友でした。
強制執行して親友を逮捕しました。
でも、故郷の豊かな人間関係や自然を破壊することを潔しとせず、
開発を拒否して東北地方振興局に左遷になりました。
ああ、子ども時代にみんなで星空を見たころはよかったみたいな。

星逢一夜で気づいたこと。

実は星は紀之介しかみてない。
源太と泉は星を見ている紀之介といるのが好き。
この人なら、いい殿様になれる・・・
そして、紀之介が見ていた星は夜空の星ではなく、
理であり、目指すべき理想。
星をみてロマンに浸るのではなく、科学的思考を身に着けた。

星は場所によって見え方が変わる。
三日月と江戸で見た星=理想は違ってたんだ。
それを吉宗が本当の星を見ているかといい、
そのあと、三日月藩の一揆のことを話す。
三日月で見た星を忘れていないか・・・

星逢が月雲と表裏の関係にあることは既に指摘したけど
雨の扱いが月雲と真逆ですね。
月雲の雨は恵みの雨であり、慈悲の雨であり、キナシの雨
星逢の雨は悲しみの雨であり、冷徹の雨であり、晴興の雨

パンフにわざわざ昔の一揆は今回のお芝居のような暴動に近いものは
ほとんどないと断っている。
深く読めば、月雲の本当の主題と同じ。
語られる歴史=文字の歴史は勝者の歴史。
だとすれば、三日月藩の一揆は暴動でなく、話し合いで解決したと伝わり、それが今に残る一揆だけど実は・・・といえなくもない。

上田久美子、恐るべし!