先日から読んでいた東野圭吾の小説『虚ろな十字架』読み終わりました。
前にも書きましたがテーマは「死刑制度廃止論」です。
あまり詳しく書くとネタばれになってしまうので書きませんが現在の死刑制度について本当に考えさせられます。
私は若いころは死刑制度は何が何でも絶対に堅持するべきと思っていたほうでしたが年と共に少しづつ変わってきていました。
そのきっかけになったのが2001年に起きた附属池田小学校事件でした。
犯人は8人ものかけがえのない幼い命を奪ったうえ、その後の裁判でも遺族に対して散々悪態をつき、死刑判決後も早期の刑の執行を望んでいたといいます。そして被害者にも遺族にも一切謝罪すること無くその希望通り、異例の早さで刑が執行されました。
私はこの時ほど「死刑制度」というものの無力さを感じたことはありません。本当に死刑というものに、よくいわれる犯罪抑止効果があるのかという事に疑問を持った瞬間でした。
この小説を読んでまた少し考えが変わってきました。遺族の言葉としてこんな一節があります。
「よく、『死んで償う』という言葉が使われるが、遺族にしてみれば犯人の死など『償い』でも何でもない。それは悲しみを乗り越えていくための単なる通過点だ。しかも、そこを通り過ぎたからといって、その先の道筋が見えてくるわけではない。自分たちが何を乗り越え、どこへ向かえば幸せになれるのか、全くわからないままだ。ところがその数少ない通過点さえ奪われたら、遺族は一体どうすればいいのか。死刑廃止とは、そういうことなのである。」
う~ん。やっぱり難しい問題です。
皆さんも読んでみてください。是非おすすめの小説です。