s数年前に精神科の治療でも多々問題を起こしている埼玉医科大学で多剤
耐性緑膿菌による集団院内感染が問題になり、あらゆる感染症対策にも
なかなか功を奏しなかった件はNHKのクローズアップ現代でも取り
上げられた。
院内感染が呆れるばかりに広がる背景に医療現場にある者が招いた事
態として放置できない問題点が多々あることに気付く。
1まず、感染経験のない菌の検出に際して、手をこまねいて長期間どう
していいかわからず放置していたというごく基本中の基本的とも
いえる怠慢、人命に対する意識の低さが伺える。
2これまでにペニシリンなどの多用からメチシリンに耐性を持つ、
MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌耐性菌)が出現し、
これに対してバンコマイシンや、テイコプラニン、アルベカシン
などが相次いで開発されるものの、アルベカシンバンコマイシン
耐性腸球菌(VRE)、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)
などが次々に出て、菌と人間の追いかけごっこのような現象
をきたしており、当然何種類かの抗生物質が効かないものに対し
ての対策は早急に行う必要があった。
3これに対して埼玉医科大学では感染患者の個室隔離も行わず、
一般病棟で次々と感染を拡大させ ている。免疫力の劣る入院患者
の場合、大部屋などで同室患者からの感染が容易に広がることは
わかりそうなものだがこれが見過ごされている点は極めて遺憾である。
4菌感染の基本は口、鼻などを介するか、糞尿などであるが、
入院患者が多い病院では 手術後の傷口などからも感染は考えられ、
菌が未曾有のものである場合は、これまでの常識的な感染防止
措置以上に患者に接する医療者は勿論、院内の様々な施設での慎重
な感染防止対策が必要である。
3でも述べたように感染患者の隔離には何をさておいても真っ先に
取り組まなければならない最優先事項である。
5上記のように医療に対する常識に欠ける対応、まあそのうち収まる
だろうというような 安易な 考えが重大事項にまで発展した典型
であるが、日本での抗生物質、特にフルオロキノロン、カルバベネム
などの使用が諸外国に比べて、余りにも多いことも問題点の1つに
なるようだ。
内科、外科、皮膚科、耳鼻咽喉科などでも特に抗生物質の安易な使用
は菌自体の免疫力をつけて、これまでの薬剤が効かない、様々な新手
の菌の発生は治療を受ける側は当然、治療者側から見てもマイナスの
要素が大きいが、日々医療に関わる医療者側がその主たる発生源に
なっている のは遺憾の極みである。
疾患の原因菌と、個々の患者にとって有効抗生物質をしっかり血液
検査で定めて、限られた日数のみ投与すべきで、風邪などでも漫然と
定食の副食のごとき抗生物質の処方は戒めるべきであると痛感する
次第である。