第一項 きっかけ
「転勤!?」
私は思わず声を上げた。
「転勤」私の人生設計には「無いはずの選択肢」
夫のマサヒロはいわゆるサラリーマン、勤め先は日本全国に支店のある会社。
基本的にほとんど転勤の無い会社だとマサヒロから聞いていた。
しかし「異例の転勤」
東京本社で夫の同期の人が急病で離職。
その後の人事を誰にしようかとなったとき、幸か不幸か社内で評価されている夫に白羽の矢がたったらしい。
「普段くじ運が悪い癖にこんなときだけ『アタリ』を引くのか?」
そんな愚痴のひとつも言いたいところだが、「評価されたうえの本社へ転勤」いわば「栄転」である。
しかし「良かったね栄転じゃない!さあ東京に行きましょう!」とは言えなかった。
夫もそれを理解していた、いや理解してくれていると思い私は言った。
「この家どうするの?」
結婚して2年、私の妊娠を機にちょうど金利も安く住宅ローン金利も安いという追い風をうけ借家住まいから3年前にマンションを購入した。
子供も生まれ元気に育ち、この町で小学校に行くものと思っていた。
そして住宅ローンも着々と返していく。
どうやらこの予定は「絵に書いたモチ」となりそうである。
「東京に行くとなれば当たり前だけどこの家を売るか貸すかしないと」
私は続けた。
「そうなれば、早速不動産屋さんに言っていろいろ話を聞かないといけないわね。」
夫は言った
「ごめん、とりあえず引継ぎとかいろいろあってとても時間ないよ。この家のこと任せてもいいかな?」
まさかの返事に私はまた声を上げた
「えー!そんなの私家なんか売ったりしたことないわよ」
「大丈夫だよ、とりあえず不動産屋さんに電話してみたら。売るか貸すかってこともあるし。」
一生に何度とない大事なことなのに、この軽さ。
B型人間である夫はいいかもしればいけど、A型人間の私にとっては気が気ではない。
その夜は一応夫とああでもないこうでもないと話した。
しかし無意味な時間だけが過ぎた、不動産売買の素人である私たち夫婦では的確な答えは出てこない。
当たり前である。
ベッドに入っても目がさえて眠れない。
売るとすれば、一生に何度とないこと。
どうせやるなら絶対後悔したくない。
眠れない間、以前家を売ったことのある数人のママ友達の話を思い出していた。
「もっと高く売れるはずだった」
「不動産屋さんが頼りなくて不安だった」
「いつ売れるのか、どこまで値下げすればいいのか先行き見えず怖かった。」
『家を売ってよかった』という話はあまり聞いたことが無かった。
そんなことを思い出しているうちに、トモコのことを思い出した。
トモコは、去年マンションを売った。
お金のことはよく分からないけどトモコだけが「売ってよかった」と言っていた。
『明日不動産屋さんに電話するまえに一度トモコに話を聞いてみよう。』
そこまで考えたところで、目を閉じた。
思い返せばこの決断が、私のマンション売却の結果を大きく変えた。
そして『タナカさん』との出会いのきっかけだった。
私は思わず声を上げた。
「転勤」私の人生設計には「無いはずの選択肢」
夫のマサヒロはいわゆるサラリーマン、勤め先は日本全国に支店のある会社。
基本的にほとんど転勤の無い会社だとマサヒロから聞いていた。
しかし「異例の転勤」
東京本社で夫の同期の人が急病で離職。
その後の人事を誰にしようかとなったとき、幸か不幸か社内で評価されている夫に白羽の矢がたったらしい。
「普段くじ運が悪い癖にこんなときだけ『アタリ』を引くのか?」
そんな愚痴のひとつも言いたいところだが、「評価されたうえの本社へ転勤」いわば「栄転」である。
しかし「良かったね栄転じゃない!さあ東京に行きましょう!」とは言えなかった。
夫もそれを理解していた、いや理解してくれていると思い私は言った。
「この家どうするの?」
結婚して2年、私の妊娠を機にちょうど金利も安く住宅ローン金利も安いという追い風をうけ借家住まいから3年前にマンションを購入した。
子供も生まれ元気に育ち、この町で小学校に行くものと思っていた。
そして住宅ローンも着々と返していく。
どうやらこの予定は「絵に書いたモチ」となりそうである。
「東京に行くとなれば当たり前だけどこの家を売るか貸すかしないと」
私は続けた。
「そうなれば、早速不動産屋さんに言っていろいろ話を聞かないといけないわね。」
夫は言った
「ごめん、とりあえず引継ぎとかいろいろあってとても時間ないよ。この家のこと任せてもいいかな?」
まさかの返事に私はまた声を上げた
「えー!そんなの私家なんか売ったりしたことないわよ」
「大丈夫だよ、とりあえず不動産屋さんに電話してみたら。売るか貸すかってこともあるし。」
一生に何度とない大事なことなのに、この軽さ。
B型人間である夫はいいかもしればいけど、A型人間の私にとっては気が気ではない。
その夜は一応夫とああでもないこうでもないと話した。
しかし無意味な時間だけが過ぎた、不動産売買の素人である私たち夫婦では的確な答えは出てこない。
当たり前である。
ベッドに入っても目がさえて眠れない。
売るとすれば、一生に何度とないこと。
どうせやるなら絶対後悔したくない。
眠れない間、以前家を売ったことのある数人のママ友達の話を思い出していた。
「もっと高く売れるはずだった」
「不動産屋さんが頼りなくて不安だった」
「いつ売れるのか、どこまで値下げすればいいのか先行き見えず怖かった。」
『家を売ってよかった』という話はあまり聞いたことが無かった。
そんなことを思い出しているうちに、トモコのことを思い出した。
トモコは、去年マンションを売った。
お金のことはよく分からないけどトモコだけが「売ってよかった」と言っていた。
『明日不動産屋さんに電話するまえに一度トモコに話を聞いてみよう。』
そこまで考えたところで、目を閉じた。
思い返せばこの決断が、私のマンション売却の結果を大きく変えた。
そして『タナカさん』との出会いのきっかけだった。
