Locals(ろーかるず) 1994年春 その2
そして中学最後の春休み・・・・
行き先は竜王スキー場・・・大学生っぽいやつらに混じって9人の背伸びした中学生は東京から夜行のツアーバスで一路憧れのスキー場へ!
「ねぇねぇ、なんで君たちは皆で同じ格好しているんだい? 移動教室じゃないんだから・・・・」
買ったばっかりのスキーウェアに身をつつんだ女共からはあきれを通り越して半分軽蔑のまなざし・・・・。
「だから、いやだっていったんだってば・・・・。」って、じゅんじ。
「ゴ、ゴ、ゴレンジャー・・・・(ボソッ)。」って、ターボー。
「五つ子・・・・。」って、けいすけ。
「・・・・・・・変かな?」って、よす。
「え? カッコうぃ~じゃん」って、わんちゃん。
「はいはい・・・って、どーでもいいけど恥ずかしくて一緒に滑れないじゃん!!」って4人一斉に言ってたっけ。
・・・・・・・・・。
「でもさぁ、一緒に来てるのに本当に一緒に滑らないとは・・・。 あいつら冷たくねぇか?」
「まぁまぁまぁ・・・つーか、ゲレンデマジックってやべーな。 全員かわいく見える・・・。 ほら、あの子も、あそこにも、あっちも・・・。 ナンパでもするかぁ~!」
「・・・・わんちゃん、そんな度胸ないっしょ。 親子連れ以外、どーみても俺らが一番年下出し・・・相手してくれないべよ。」
「まぁ、しゃーないっしょ。 楽しむべよ。 いくぞー!!」
寒いゲレンデに日が沈みかけた夕方。
バスの中でもはしゃぎまくっていたので、ほぼ徹夜で一日中スキー。 疲れを知らない中学生と言えどもさすがに全員くたくたでホテルに戻る途中・・・・。
「あれ? あそこにいるのってリナたちじゃねーか?」って、じゅんじ。
「あいつら何やってんだ? おれらを置き去りにして。」って、ターボー。
「・・・・ん? 男といないかい? なんかクリボーみたいな頭したヤツに腕つかまれてんぜ。」って、わんちゃん。
「なんか、ヒナとシオリ嫌がってない? ・・・・あれってナンパされてんじゃねーか?」って、よす。
「おい、やべーって。 いくぞー!!」って、けいすけ。
「おい! キノコ頭したお前だよ! なーにやってんだぁ~、おれらの連れに。」って、わんちゃんが怒鳴る。
「あ~ん。 誰お前たち? なにこのガキども?」(相手のクリボー)
「ガキじゃねーよ。 おっさんたちウザイって。」って、じゅんじがふっかける。
「おい、ほっといていくぞ」ってけいすけがヒナの腕をとって連れ出す。
「待てよ。 俺らが先に声かけてんだろ。 ガキはあっちいってろって。」(相手のニット帽)
「わかんねーおっさんだな~。 おれらの連れだって。 しかも、みんな嫌がってんじゃん。」って相手に近寄りながらもう一回ふっかけるじゅんじ。 ターボーとよすも相手との距離を縮める。
あきらかにデカイ相手たちも前にでる。 一触即発の状態でガンの飛ばしあい。
「・・・・もうやめてって! 私たち一緒に来てるの!」ってレナが半分泣き顔で叫ぶ。
さすがに女の子に泣かれて引き下がる相手とふぅ~っと一安心の俺ら。
女の子たちを無事に助け出した俺らは晩飯後みんなでひとつの部屋で、いつもの教室みたいにトランプして、くっちゃべって、怖い話で盛り上がって・・・・・。 結局、まだまだいつも通りが一番楽しかったんだよね。 スキーウェアで嫌われた女の子たちとも仲直りできて、俺らとしてはすこーしだけかっこいいところも見せれて。
あっという間に車中2泊現地1泊のちょーハードスケジュールな卒業旅行も終わりが近づき・・・・・・帰りのバスでは何にもなかったのに武勇伝で盛り上がる俺ら。
女の子たちは・・・・
「中学生なのにナンパされちゃったね。」
「相手大学生だって言ってたよね~。」
「いくつくらいに見えたんだろーね、あたしたち。」
俺らは、山頂で見た鹿の話とか急な斜面で誰が一番ビビッてたかとか、そんな話をしてて・・・。
「ターボーさぁ、あんとき手出されてたら喧嘩してた?」
「そりゃ、手だされてたらやるしかないっしょ。」
「でも、相手一人ちょーごっついのいたべ? ありゃ勝てねーべ。 クリボーとニット帽は余裕だけど。」
「つーか、おれのこと見た?? 「いくぞ」っていってヒナを連れ出したおれのこと見た?? あの時のおれかっこよかったでしょ? あの時のヒナの目は一生忘れられないね。」
「いやいや、おれの最初の一言が効いたね。 あれが一番かっこよかったに決まってんべ。 皆の羨望のまなざし忘れないね。」
「わんちゃん、あの時まぁじでビビッてたべ? 声とか震えてたもんな~。」
「ビビッてなんかねーって。 止められなきゃまじでやってたね。 ちょーボッコボコでしょ、まじで。」
「誰もとめてねーし!!」
Locals (ろーかるず) 1994年春
もちろん、俺らは昔っから仲良かったよ。
だけど、Localsになったのはあれがきっかけだったんだろーなぁ・・・・。
1993年春
やっと暖かくなってきたけどまだまだ寒くて・・・冬っぽい晴れた日は東京でもうそみたいに空気がきれいで、空なんか底抜けに透き通っていて・・・3階の校舎のまどからは遠くに富士山とかまで見えるんだ。
3月頭の都立高校合格発表が終わって、みんな次の行き先が決まって・・・・学校に何しに来てんだかわからなくなってた日の昼休みにいつものようにターボー、よす、けいすけ、わんちゃん、じゅんじでくっちゃべってたっけ。
近くでは、りな&れな、ひな、しおりの4人がなんか打ち合わせしててさ、急に振り返って言ったんよ。
「ねぇねぇー、みんなで卒業旅行にスキー行かない?」
(ちなみにこの頃スノーボードはまだまだなかったんだ。)
「みんなって誰よ?」
「だから、5人+4人で。」
「まじ?」
みんなで顔みあわせてたっけ。
おれら男共にとって卒業旅行とかは高校卒業の時にするもんだと思い込んでて、なーんもないまま中学卒業かぁ~ってあきらめてたもんだから・・・・この頃って考えること女の方が5歳くらい大人なんだよね。
こーゆー時の男は半分変なこと期待しつつ誰かが「行こうぜ!」って言い出すの待ってんだよね。
「ちょー行く!」ってわんちゃんが言い出してからは全員雪崩のごとく行動開始。
女共は「「ちょー行く」って何?」って半分あきれてるけど男共は全員言いだしっぺのわんちゃんに感謝感謝。
放課後・・・・
「ねぇ、かあちゃん。 一生に一度しかない中学卒業旅行なんだから金出してってばぁ~・・・・お願い!」
たぶん男共は帰宅と同時に全員がおかんにこう言ったんじゃないかな。
なんとか資金調達完了~・・・・で、ひと段落ついて夜にみんなでじゅんじ家に集合。
この頃ってさ、いまと違って中学生は携帯なんか持ってなかったんだよね。 もちろん、ポケベルってのもまだ誰も持ってなかったんだ。 だから、毎回毎回家電の伝言レース。 いま考えるとよく集まれたよな~って。
「つーか、楽しみじゃね?」
「お前なにエロイこと考えてんだ?」
「ちげ~って、おれらだけで旅行だぜ。 しかも女の子たちもいるんじゃんよ。 俺ぜってーひなに告ろう。」
「つーか、お前1年前に振られてるし・・・。」
「今度こそはOKっしょ。」
「まじ、ねぇーし、ありえねーし。 しつこいと嫌われんぜ。」
「待った、待った。 皆さぁ~スキーウェアとか持ってんの?」
こーゆーこと言うのは決まってじゅんじ。
「・・・・・いや。 向こうで借りれるんじゃないの?」
「お前・・・・移動教室じゃないんだから全員同じウェアはないだんべよ・・・・。 おれは持ってるからいいけど。」
「でた。 また、お前だけ・・・・。」
「「でた。」じゃねーよ、みんな一緒のウェアとかぜってー嫌だかんな!」
Locals(ろーかるず)
今はみんな何してんだろうな。
引っ越して連絡取れなくなったヤツもいるし、結婚してめっきり会えなくなったヤツも、喧嘩してあれっきりなんてヤツも・・・・。
でも、あの頃はこれが大人になるってことだなんてまったく考えてなかったよな。 毎日が笑えて、毎日がくだらなくて、それなりに悩んで、たまに泣いて、全部が本気だったんだ・・・・。
誰にでもある懐かしい場所、あの頃の思い出、友達・・・・・・俺のローカルズ(地元)はこんなだったんだ。
ローカルズ紹介:
男共
ターボー:
男からも女からも人気あるヤツっているじゃん、そんな感じのヤツ。 めんどくさがりでぶきっちょなヤツだけどさっぱりした性格で喧嘩つえーのよ。 洋服のセンスもいいんだなー。
よす:
中学んときは髪型がズッチャリでさー、高校入ってからは金髪ロンゲになってたっけか。 わりともの静かなやつだけど二人でいても間が気にならないタイプ。 キレるとあぶないんだコイツ。 酒強い。
けいすけ:
熱いんだよね、遊びも友情もファッションも女も・・・いろいろと。 なんか知んないけどどっかからか楽しいこと見つけてくるんだよね。 曲がったこと嫌いな一直線な感じ。 夜通し夢語るならこいつとだね。
わんちゃん:
あほ。 トランプマン。 どっか抜けてる憎めないやつ。 こいつがいると笑いが耐えないんよ。 流されやすい性格だけに聞き上手。
じゅんじ:
ローカルズのまとめ役。 なんかやるときは作戦から実行までやるんよ、軍師みたいなやつ。 たまーにむちゃくちゃするけど基本まじめちゃん。
女共
りな&れな:
双子姉妹。 あったま良くてきれいで、ふたりそっくり。 りなは友情に熱くてたまにちょーB型。 れなはちょっと天然でマイペース。 二人とも芯が強い。
ひな:
元気、笑顔・・・・・天真爛漫。 こいつはいっつも笑ってて、周りも笑う。 かわいいからけっこうもてるんよ。
しおり:
クールビューティー・・・だけど酒飲むとおもしろくなる。 あんまり顔に出さないけどいろいろ考えてる感じ。 たまに思い切ったことしちゃうね。
