「お父さんのこと恨んでくれていいから。」




私が、父親の口からはじめて離婚するのを聞いたとき、言われた言葉だ。




子どもはいくつになっても、親から言われる言葉には、他人から言われる言葉と違い、記憶に根強く残ることが多いのではないだろうか。
子どもの頃に言われた言葉が、性格にも影響することがある。


特に悪い言葉(人格否定や存在否定、権利を奪うような言葉)
は無意識の中で、子どもの成長にとても多大な影響を及ぼす。



幸い私は、この言葉を聞いたとき

予想を超え、理解の範疇を超え、頭のキャパオーバーを起こし
何を言っているのかわからなかった。


私の父は、優しく、子どもに対して怒ったり怒鳴ったりすることがない人だ。
18年間一緒に住んでいて、私の記憶にあるうちでは、”一度も”ない。
これは、異常なのかもしれないけれど
私から見たら、父は優しい人だった。

(母や他人には怒鳴ったりしている光景はとても見てきたが…)






私の家の離婚理由は、

”父が結婚する”からだった。

つまり付き合ってる方がいて、その人と結婚するからだと言うのだ。


それを聞いた瞬間、
私は心の中で、”じゃあ子ども(私たち)はいらないんだな。”とすぐ思った。
母についていくのが私にとっては自然な流れだったから、親権のことで揉めることはなかったし、
父も、子ども3人ともみんな母の方へ行くようにはっきりと言葉と態度で示していた。



そんなひどいことを言われても
私は、父に見捨てられた、とも思わなかったし
恨むなんてありえない、と 恨むことももちろん思わなかった。

父はそんな人じゃない(と思っていた)からだ。



ただ、そんな言葉を吐き捨てるように言った父のことは、未だ忘れることができない。


そんな言葉を言われたことは、忘れようと思っても、残念ながら一生忘れられない。


私は18歳だった故、少し物事を引いてみることができていた。
しかし、もう少し小さい年齢の子どもが
父からそのような言葉を聞いたらどうなるだろうか。


それを考えると、こわい。



言葉の力はものすごい威力を発揮する。
特に親の言葉は。

たとえ冗談でも、本気だったとしても
子を持つ親は言ってはいけないことばがある。


それだけは、親の方には覚えておいてほしい。



親を恨むとか、怒りの感情も、何を言われても私にはなかった。
それは、何年も一緒にいた親子関係で培われてきた私の性格が原因だったからだと、今では思っている。

今になって思うのは、少しは反抗すればよかったのかなと。
しかし、私には反抗する力が全くなかった。