今日の本はこちら指差し

 

人にはどれだけの土地がいるか

 

 

 

ロシアのある村にパホームという農夫がいて、

奥さんと一緒に毎日、夜明けから畑仕事に勤しんでいたところに、

ある日、町で暮らす奥さんの姉が、田舎暮らしや畑仕事をディスりに来ます。

生活に十分満足していたパホーム夫婦は、初めはそんなことないと言い返すのですが、

今耕している土地が借地であることを指摘され、ぐうの音も出ません。

それを契機に、自分の土地を持ちたいと願うようになるパホームの背後には、

その欲望に付け入ろうとする悪魔おばけの存在があんぐりあんぐり

 

そんなこととはつゆ知らず、その後、とんとん拍子に土地を手に入れていくパホーム。

その土地の広さは、これまでの借地の2倍から、その3倍、さらに10倍!!

それでもまだ飽き足らず、さらにさらにその10倍の土地が手に入るという情報を聞きつけ、

7日間もかけてバシキールという場所にたどり着きます。

お土産のお礼に、好きなだけ土地を譲ろうというあり得ないバシキール人の申し出アセアセ

 

1日かけて歩き回った分の土地を譲るという取り決めを交わし、

できるだけ広い土地を手に入れるべく、暗いうちから出発するパホーム。

なのですが!

この手の話、もちろんハッピーな結末を迎えるはずなどございません不安不安

 

欲張りすぎたために時間が足りなくなり、必死に戻るために体力を使いすぎ、

ついに力尽きて死んでしまうのですガーンガーン

 

という物語です真顔

 

実に分かりやすく、欲に溺れると結局全てを失い、本末転倒になりますよ、

ということを教えてくれます拍手

 

もともとは、

「町のくらしなんて、すこしもいいとは思わないわ。」

「自分で土地をたがやして作物をつくる生活ほど、やりがいがあるものはないぞ。」

などと語り、十分幸せだったことがうかがえます。


それでも人間はいとも簡単に欲に憑りつかれてしまうのですね。

しかもその欲望から、その人の背後にある弱さ危うさまでが露呈してきます。

 

他人を出し抜いて自分がいちばん得をしたいという卑しさ

お姉さんを見返したいという虚栄心

土地に囲いを作って、他人の侵入を断固許さない狭量さ

 

「パホームは広い土地を持つようになりました。

 でも、彼の心は前よりもずっとせまくなってしまいました。」

 

とか、うまいこと言ってる場合ではありません泣き笑い

 

悪魔はあくまで誘惑しただけ。

なのに最終的には、既にもとの何倍もの広大な土地を持っているにもかかわらず、

「もっと広い土地があったら、今よりもずっといいくらしができるのになあ…。」

と、満たされることのない欲望はとどまるところを知りません。

 

しかもこのお話、パホームが死んでハイ終わり、ではなく、

最上の皮肉でもって幕が閉じられます。

ぜひ本書の中でご確認ください。

 

足るを知るという言葉があります。

老子の教えに由来するのだとか。

現在の状態は足りているということを知り、必要以上に求めすぎてはならないということです。
欲望は無限であり、決して満たされることはないのです。

 

逆に、欲を捨てても満足することができれば、たとえ貧しくても心は豊かでいられるのです愛

 

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