2023年12月8日 第1730回例会

 

本日は

元米山記念奨学生 マジド・バルハムさん

            のスピーチがありました。

 

バルハムさんは現在、パレスチナ ヨルダン河西岸地区に住まれています。

岡山中央ロータリークラブからのスピーチの依頼を受けたときには

「現在の状況では笑顔でお話しすることは難しい」と辞退の御意向だったのですが、

「このような状況だからこそ、ありのままの状態を報告してほしい」

とお願いし、了解を得て、今日のスピーチを引き受けていただいたと、当クラブの担当会員の報告があり、バルハムさんのスピーチが始まりました。

 

以下はバルハムさんのスピーチの一部です

「私はヨルダン河西岸地区に住んでいます。

パレスチナ暫定政府が行政を担っていますが、治安の維持はイスラエル軍が行っています。

市内で生活は自由に行えますが、都市間の移動をするには市外へ出るとき、市内へ入るときにイスラエル軍の検問があり、この時に暴力、侮辱などを受けるのが常態となっており、そのうえ、とても時間がかかります。

夜間には外出は出来ません。

明確でない理由により、強制的に連行されたパレスチナ人には取り調べの名目で、暴力、屈辱的な強制などが行わㇾています。

ヨルダン河西岸地区にはハマスはいません。

皆さんは西側の報道を鵜吞みにしないで、広い視野で世界を見てください。」

 

筆者注:パレスチナ問題は根が深く、その歴史は4000年以上前に遡ります。

そのころ、ユダヤ人の祖先はペルシャ湾付近に住んでいましたが、今のパレスチナ付近に集団で移動し、生活していました。

ユダヤ人たちはその後干ばつに襲われエジプトへ移動しました。そのころエジプトは王国があり、ユダヤ人は奴隷として酷使されており苦難の歴史をたどっていました。

預言者モーゼの導きでユダヤ人はパレスチナに戻り、イスラエル王国をつくりました。

その後、バビロニア、エジプト、ローマ帝国などによる支配のもと、厳しい生活を強いられ、そのころから

「我々ユダヤ人がこの苦境から脱するためには、神の教えをもっと忠実に守らなければならない」とするユダヤ教の厳しい戒律が広がりました。

それに対してイエス・キリストが「神の愛を信じること」を説き、当時のユダヤ教徒などからの反発などのため、処刑されました。

その後、西暦610年にムハンマドが生まれ、イスラム教が広まり、ほぼ中東全域に広がりました。

エルサレムはユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地であり、その獲得のため争いの絶えない地域でした。

ヨーロッパやアメリカに広がったユダヤ人たちは金融業を中心に民族の優秀さを示し、次第に富を得るようになってきました。

第2次世界大戦ではユダヤ人はナチスドイツにより大量虐殺を受け、連合国側、特にイギリスは「戦後にパレスチナにユダヤ人の国家を作ることを応援する」としてユダヤ人ロスチャイルド家などの大富豪の戦争支援を取り付けました。

戦後、西側諸国はパレスチナの地にユダヤ人の国「イスラエル」の誕生を承認し、多くのユダヤ人たちがパレスチナへ移住してきました。

そしてその地に住んでいた人々をヨルダン河西岸地区とガザ地区へ追い、イスラエルを建国しました。

その後、何回かの中東戦争がありましたが、イスラエルと中東諸国との対立は根深く、解決の程遠い状況が続いています。

2023年秋のハマスとイスラエルの衝突はまず、ハマス側が一方的にイスラエルを襲い、一般市民を含めた多くの人を殺害したことが発端とされていますが、その前に長い間のイスラエルとパレスチナ側との争いがあったのです。

 

争いの根は深く、我々がコメントしにくい問題ですが、バルハムさんの言われるとおり、西側の報道にだけ頼っていてはいけないのだと思います。

 

バルハムさんはスピーチの最後に

「公平な報道は世界に流れていますが、ほとんどが英語です。いま、それを日本語に翻訳しているものがあります」

と言われていました。