S.61.11.28入会 職業:外科医 医療法人芳貴会 えばらクリニック院長 S.17.11.10生
「医者の不養生」と言う諺があるが、最近医者になって3回目の入院生活を送る羽目になった。
30歳で腎臓結石、40歳で急性肝障害、今回は脊柱管狭窄症によるものである。不摂生をしたとは思わないが、図らずも、医者でありながら患者の立場になってしまった。
患者になって先ず思ったことは、元の身体に戻れるか、社会復帰が可能か、いろいろと脳裏をかすめたが、全てを信じて治療に専念することにした。
病名は腰部傍椎間関節囊胞である。腰から右下肢への神経痛、痺れがひどく歩くことができない。XPでは愕然とする程の椎体形、MRIで素人目にも判るほどの硬膜圧迫像が確認できた。
そのときの感想は“まさか”という思いと、これはもう手術しかないという決断を迫られた。幸い優秀な医療スタッフに巡り合い、迷うことなく囊胞摘出術を受け、2週間の加療であの激痛から逃れることができた。
入院中さまざまな想いが交錯したが、普通に歩けることの喜び、健康のありがたさを十分すぎるほど感じた。後期高齢者の仲間入りが近いが、次はどんな試練を味わうことになるであろうか。できれば手術は御免こうむりたいが、その時にはまた“お願いします”と言うかも知れない。
悔いない人生と思われれば何も怖いものはなさそうである。