白井政彰（４期生）

　MBAにはある目的があって入学したのですが、それとは別に教授会で議論をするチカラを身につける必要がありました。と申しましても、MBAの先生方との議論というわけではなく、当時職員として勤務していたある大学の「教授会」という意思決定システムで自分が起案した施策を採択してもらうために必要なチカラという意味です。

　どのような組織でも提案事項には効果予測や意義が問われますが、問題はそこではなく、意思決定システムの構成メンバーにありました。何かしないといけないのはわかっているが、批評だけして自分では動かない人、今までのやり方を変えたくない人、自分では決められずに日和見を決め込む人などです。ただ、相手は専門分野でそれなりに研究成果を残している人たちです。様々な視点から主張の綻びを見つけるプロですから、周到な準備で臨んでものらりくらりとかわされてしまいます。プロに負けない議論をするためには、様々な視点を予測して更なる準備をしなければならないのですが、視野を広げるというただそれだけの事が思うようにできません。

　ところで、文科省の教職員研修でロジカルシンキングを学ぶ機会があり、キーワードとして何度も「広げて畳む」という言葉が出てきました。つまり、広げるとは議論を展開し深堀することで、畳むとはそれが何について述べられているのかということです。実は最近になってようやく、「畳み方」がわかると、新たな視点に気づけるようになることがわかりました。その甲斐あって、代表を務めるNPO法人が行政と協働することが決まりはじめました。

　在学中から手に入れたかった「畳み方」のコツに気づかせてくれたのは、様々な勉強会での恩師はじめ先生方のご指導や、校友からの助言の数々でした。今回はそのご恩返しとして現役院生のみなさんにヒントをお伝えしようと、このお話しをさせていただきました。もしご参考になれば幸いです。

それでは皆さん、良いご研究を。

ロジカルシンキングのキモ、「広げて畳む」 4期 白井政彰

ロジカルシンキングのキモ、「広げて畳む」　4期　白井政彰