ふとしたことで目にした、懐かしい「ビクトル・ハラ」の名前。
今年は、南米チリの国民的な歌手と慕われた「ビクトル・ハラ」が、クーデターで誕生した軍事政権によって虐殺されて40周年を迎えるという。
もちろん、生前の彼のことを僕は知らない。
彼の名を知ったのは、学生時代、「ケサラ」という歌の歌詞でだ。
「いつも思い出すのは 自由のために死を選んだ グエン・バン・チョイ ジョー・ヒル ビクトル・ハラを 決して忘れはしないさ」
「決して忘れはしないさ」と言いながら、実はそんなによく知りもしなかったのだが(^_^;)
この「ケサラ」という歌は、サビの部分は、「ケサラ、ケサラ、ケサラ 僕たちの人生は 平和と自由もとめて 生きていけばいいのさ」というもの。
平和と自由をもとめたがために、命を落とさざるを得なかった人たち。
そして、自らの生き方を貫くために、命を賭けて闘った人たちとして、「ビクトル・ハラ」の名は、忘れることはなかった。
南米で初めて生まれた人民連合政権を音楽で励ましたビクトル・ハラは、軍によって拉致され、4日間もの拷問を受けた末にチリスタジアムで絶命した。
その直前、将校に「歌えるものなら歌ってみろ」と言われた彼は、その責め苦にも関わらずスタジアムに響く声で「ベンセレーモス」を歌ったという。
「ベンセレーモス」…(我々は勝利する)。人民連合の歌だという。
そう。この歌もよく歌った。
祖国の大地深く 叫びがわき起こる 夜明けが告げられて チリ人民は歌う
勇敢な戦士を 我等は思い起こし 祖国を裏切るより 我らは死を選ぶ
ベンセレモス ベンセレモス 鎖をたち切ろう
ベンセレモス ベンセレモス 苦しみをのりこえよう
祖国の労働者よ 祖国の婦人もまた 学生よ農民よ 我らともに進もう
血塗られた祖国を いつくししみ守り 銃剣の前に 我等は胸をはる
ベンセレモス ベンセレモス 鎖をたち切ろう
ベンセレモス ベンセレモス 苦しみをのりこえよう
ベンセレモス ベンセレモス 鎖をたち切ろう
ベンセレモス ベンセレモス 苦しみをのりこえよう
今は当たり前のように感じている、自由とか平和。
チリでは軍政がその後17年も続いた。
一度歴史を逆行させてしまうと、再び歯車を回すには、とてつもない時間や労力、たたかいが必要となる。
憲法を変え、軍隊を創設したこの国を待ちうけているのは、そんな厳しい未来だ。
舌足らずな口調で、勇ましい言葉を発するだけの彼奴の姿をニュースで目にしながら、僕は思いを新たにした。

