Gold Breath -賭博世界-

Gold Breath -賭博世界-

日本の四大商社と呼ばれた住友商事が蒼欧商事にギャンブルをもって買収されてから、企業戦略においてギャンブルは重要な取引材料となっていった。。。
ギャンブル小説。開幕。

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じゃんけんを7連勝できる必勝法があると仮定すると、自然とひとつの疑問が解消される。

それは入学倍率とじゃんけんの倍率との矛盾だ。

 

じゃんけん7連勝が運に任せた勝負であるならば、7連勝できる確率は約8000分の1だから、受験者が例えば16000人の場合は、勝ち上がることができるのは平均して2名。たまたま運が良くても、多くても10人未満になるだろう。

しかし、一次試験を突破できた人数はそれを毎年の如く上回っている。これは、「じゃんけん必勝法に気づいた奴が勝ち進んでいる」と考えるのが自然じゃないだろうか。

 

学校側が何かしらの理由で仕込んだサクラという線も否定はできないが、おそらくそれはないだろう。

毎年10名前後の卒業生を出しているわけだから、いくらサクラを仕込んだとは言っても、4年間勉強しているとは到底思えない。

つまり、必勝法に気づいた奴と数名の運が良い奴が一次試験を突破していると考えるのが自然。

東峰に入ることができる頭脳があるんだから、おかしな話じゃない。

 

ただ、そんなことはどうでも良い。

大事なのは、その必勝法がいったい何なのかということだ。

 

7連勝じゃんけんで何かおかしなところがあるはずだ…

まず単純なところとしては、じゃんけんの手に規則性があるという点から考えるべきだろうな。

 

過去問からすると、過去の手はこんな感じか。

 

2024年

チョキ パー パー グー パー チョキ パー

 

2023年

チョキ チョキ チョキ グー チョキ チョキ パー

 

2022年

チョキ グー グー グー グー チョキ パー

 

2021年

チョキ チョキ パー パー チョキ チョキ パー

 

2020年

パー チョキ チョキ チョキ チョキ パー チョキ

 

 

うーん…

 

チョキの出現頻度がやけに高いのは気になるけど、規則性があるとは言えないから、

これはたまたまのような気がするな。

 

ただ、一発目がチョキの可能性が高いな。これも偶然なのだろうか。

逆に考えれば、グーが一発目で一度も出てないんだな。

 

さっぱりわかんねえな…

 

適当にグー・チョキ・パーを数字に置き換えてみるか。

 

2024年

1 2 2 0 2 1 2

 

2023年

1 1 1 0 1 1 2

 

2022年

1 0 0 0 0 1 2

 

2021年

1 1 2 2 1 1 2

 

2020年

2 1 1 1 1 2 1

 

 

まあ数字に置き換えても規則性は分かんねえか。

でも、この数字の羅列、なんか見たことがあるんだよな。

何だろう、この違和感…

 

1 2 2 0 2 1 2 …

 

ああっ!!

 

この違和感…

 

0と1の配列…

 

コンピュータの機械言語…0と1の二進数…

 

違和感の正体は、俺が良く見るコンピュータで利用する二進数の配列に似ていたからだな。

 

なるほど、そうなると0と1と2の配列は三進数か…

まだ確信はないが、十進数に直してみるとどうなるんだろうか。

 

2024年

1400

 

2023年

1067

 

2022年

734

 

2021年

1202

 

2020年

1825

 

なんだよ、何も規則性ないじゃんか。

 

2020、2021、…、2024をそのまま三進法にしてくれれば楽なんだけど、それじゃあ前半が全く同じになるからつまんねんよな…

 

ん?待てよ?

 

2021年の問題を十進法にすると、1202って面白いな。

ちょうど逆になってるんだな。

 

 

 

フフ…そういうことだったのね…なんだよまったく…

こりゃ頭が良い奴らは気づくわけだわ…

 

今年は2025年ということは、その解は…

 

パー

 

チョキ

 

グー

 

チョキ

 

グー

 

パー

 

グー

 

これが今年の一次試験で学校側が出す手だ。

 

つまり、これに勝てる手を出すことで、一次試験を突破できるはず。

 

ふうん…帝神大学、おもしれえじゃん。

帝は大阪帝神大学への出願を終えて、入試当日までの時間を過去問研究にあてることにした。

 

大学入試過去問で有名な赤本は健在であり、難関大学に特化した駿台の青本などが市販されているが、それらのラインナップに賭博専攻の過去問は掲載されていない。

 

賭博専攻を受ける者が利用する有名なものとしては、ギャンブル研究社が出版する『紫本』と呼ばれるものだ。

 

各大学ごとに出版されており、筆記試験内容はもちろん、面接対策、ギャンブル試験対策までが書かれており、賭博専攻を受ける者にとってはバイブルのようなものである。

 

賭博専攻を受ける者は、紫本をやり込む以外にも、東峰大学賭博専攻などのOBが主体となって運営する賭博予備校の講習を受けるなどして対策をするのが一般的である。

 

大阪帝神大学の紫本も当然出版されており、帝はとりあえずそれを購入して研究を始めることとした。

 

 

帝「中ノ瀬からは大学のおおまかなことしか聞いてなくて、どういった試験が課されるのかよく分かってないんだよな。とりあえず要項でも見ておくか。。。」

 

 

『帝神大学入学試験概要』(紫本より)

 

帝神大学の入試では、一次試験と二次試験が課され、一次試験を通過した受験生のみ二次試験を受けられる。

一次試験については、毎年じゃんけん7連続勝利が課され、二次試験については、学校指定のオリジナルギャンブルにより受験生同士で対決させる。

一次試験通過の倍率は毎年1000倍ほどであり、合格者については8名が基本である。

 

【倍率】

2024年

受験生  17,851名

一次試験通過者  16名

二次試験通過者  8名

 

2023年

受験生  16,951名

一次試験通過者  15名

二次試験通過者  8名

 

2022年

受験生  19,024名

一次試験通過者  18名

二次試験通過者  8名

 

【出題形式】

2024年

一次試験

じゃんけん 

7戦連続勝利により通過

 

二次試験

Black White Jack

ブラックジャックの三枚版

 

 

2023年

一次試験

じゃんけん

7戦連続勝利により通過

 

二次試験

Card War

カード13枚を利用した戦争バトル

 

 

2022年

一次試験

じゃんけん

7戦連続勝利により通過

 

二次試験

48Dice

48面サイコロによる丁半ゲーム

 

 

帝「初めて調べてみたけど、色々ととんでもないことになってんな。まず、受験生の数が多すぎる。確かに一発逆転狙える大学だけあって、ここをとりあえず受けておけという奴もいれば、何浪もして毎年挑む奴もいるんだろうな。なんかネットで10浪当たり前とかって書いてあるもんな。

そして一次試験が最大の関門というか究極の運ゲーじゃねえか。7戦連続勝利は確率論的には3の7乗分の1で1/2187だろ?これはいくら何でも厳しすぎる。まあ一次試験を運のみで勝ち上がった奴を落とすのが二次試験なんだろうな。

…そもそも運要素以外で勝ち上がる奴なんているのか?

…運要素以外でじゃんけんに7連続で勝利する…そんなことがそもそも可能なんだろうか?

いや、まず間違いなく不可能に近い。こんな試験じゃ、豪運の持ち主を学校が望んでいるということになってくるが、運要素だけで将来的にM&Aをまとめられるのだろうか。大阪帝神のOBの進学先を見ても、パープルや銀永をはじめとする国内屈指の企業へ入っているわけだし、本当に学校側は運が強い奴を求めているのだろうか…

 

ちょっとゴチャゴチャしてきたから、とりあえず今のところ考えておかなければいけない問題点としてはこんな感じか。

 

① 運要素なしで7連続でじゃんけんに勝利することが可能か

② 学校側は運が良い奴を望んでいるのか

 

②はおそらくNOなはずだ。中ノ瀬が言うには、帝神出身のOBは業界内でも名が通っている有名人が多いと聞くし、東峰に入れるレベルがゴロゴロいるらしい。さすがに運要素しか持たない馬鹿は取らねえ。

 

となると、運要素なしでじゃんけんに勝てるのかということだが、②を否定するということは、おのずと①を肯定することにもなる。

 

つまり、②を否定することで、運が良いだけのやつは望んでいない。

確固たる理論のもとに勝ち上がれる奴を望んでいるということになる。

 

なるほどな、そうなってくると必然的に存在するものがひとつある。

 

①の肯定、すなわち、7連続じゃんけん勝利の必勝法の存在だ。

中ノ瀬『蒼欧商事はエネルギー、社会インフラ、鉄鋼などあらゆる事業を展開していて、今や日本のトップ総合商社なのはなんとなく知ってるよね。昔は七菱商事、住都商事、四ツ井物産、野村忠商事の四大商事時代だったんだけど、そこへ急に出てきたのが蒼欧商事。まさに、ギャンブルが合法化してから出てきたんだ。』

帝『なるほど。となると、なぜそこまでデカくなったかは、ギャンブルが関係しているのか。』

中ノ瀬『そのとおり。蒼欧商事はギャンブル界の精鋭を集め、M&Aを繰り返して大きくなった。そしてついに2022年に事件は起こる。』

凪『住都商事の買収。。。』

中ノ瀬『そう、四大商社の一角までもM&Aで買収し、傘下に収めてしまったんだ。』

凪『いや、待てよ。M&Aっていうけどさ、仮にギャンブル勝負するにしても住都が認めるわけねえじゃん。メリットないもん。』

中ノ瀬『普通はそうだろうね。住都が勝負するわけがない。ただ、蒼欧はその時、住都がもっていない宇宙事業を賭けた。』

凪『蒼欧の宇宙事業といったら、NASAも協力している有名なやつじゃん。』

中ノ瀬『住都は喉から手が出るほど欲しかった事業だね。でも、負けを考えるとリスクが高すぎる。ギャンブル勝負をするときは、暗黙の了解で対等な価値あるものを賭けることになっている。蒼欧の宇宙事業と、住都商事では全く釣り合わない。そこでどうしたかと言うと、蒼欧はコイントスを提案した。簡単なギャンブルだよね、表が出るか裏が出るかを賭けるだけ。でもそれでは釣り合わないなら、住友が10回連続で外せば負けということにした。』

帝『つーことは、住都が勝つ確率は1023/1024か。へえ。おもしれえな。まあ間違いなく勝つだろうね。』

中ノ瀬『でも蒼欧は動きが速いんだよね。すでに住都の幹部社員を買収していたわけ。社員の名は釜谷哲朗。今は蒼欧の役員だね。』

凪『蒼欧の役員!?』

中ノ瀬『まあ役員は肩書きだけで、別に能力が高いわけじゃない。真面目なことだけが取り柄のオヤジさ。蒼欧は、そんな釜谷に対し、10倍の報酬を渡して入社させることを条件に買収に成功。住都の幹部社員の報酬は1000万を超えるから、まあ軽く見積もっても年収1億だろうね。更に、釜谷には障害を持つ子どもと妻がいるんだけど、彼らの幸せな生活を約束していた。まあ逆に言えば、裏切ったら分かってるよなという脅しもあったんだろうけど。その釜谷には、とにかくコイントスの練習をさせていたんだ。狙ったものが必ず出るようにするためにね。半年かけて釜谷は、コイントスを必ず狙った面を出せるようになった』

帝『なるほど、だいたい見えてきた。』

中ノ瀬『対戦当日、コインに細工がないことを確認すると、蒼欧から住都よりコイントスをする人を出して欲しい。なるべく変な細工をしないような人をね。あそこにいる人とかどうかと。もちろんそれは釜谷だった。住都は釜谷に対してはただの真面目なサラリーマンぐらいにしか思っていなかったから、まんまと受け入れらた。その後の結果は想像通りだね。住都が10連続でハズし、蒼欧に買収された。』

帝『企業がギャンブルでM&Aするという話とかはよく聞いていたけど、住都買収もそうだったのか。』

中ノ瀬『そう、僕らが知らないところで、ギャンブルでの勝負はかなり根付いている。合法化したとはいえ、悪いイメージを持つ人も多いから、イメージ戦略のためにもあまり表には出さないけどね。蒼欧と肩を並べるギャンブル部隊ってのは、聞いたこともあると思うけど、グランパープル、Gold Breath、銀永だね。』

帝『グランパープルもギャンブルによるM&Aをしていたのは知ってるけど、やっぱその世界じゃ有名なんだな』

中ノ瀬『そして今回のトゥエンティワンの買収。蒼欧は会社のすべてを賭けることになった。負ければ蒼欧がトゥエンティワンの傘下に入るんだけど、まあ東峰賭博科出身で固めてるんだから、負けることはほぼない。でもトゥエンティワンにも秘策はあった。この日のために、中途採用でトップギャンブラーを採用していた。東峰、西都、横浜皇凰、城紋大学出身で、各企業のエースを集結させていた。ただ、唯一の誤算があった。蒼欧とトゥエンティワンのスキルは均衡していたが、蒼欧には東峰出身の怪物、冥 悠鳳(メイ ユウホウ)という中国人がいた。彼は当時、世界ナンバーワンとも言われるギャンブルスキルを持ち、世界を飛び回っていたからね。アップルのマイクロソフト買収の裏にいたのも冥だったと言われている。冥の実力に圧倒されたトゥエンティワンは、敗北により蒼欧の傘下に入ったわけさ』

凪『やべえ、すげえ世界があるんだな。お前がギャンブラー目指すのはなんとなく分かったんだけど、なんで東峰を狙わないんだ?難しいのは分かってるけどさ、蒼欧のギャンブルに関わったりできるんだろ?』

中ノ瀬『そうだね、ギャンブラーとして生きるなら東峰出身というだけでどこでも食べていけると思うよ。でも、僕が興味あるのは、その冥をも凌駕すると言われている、紅内。若手のトップギャンブラーの歩んだ道に興味があるんだ。だから僕は、紅内を生んだ明桜大学に行ってみようと思うよ。』

凪『へえ、色々考えてるんだな。ま、俺たちには遠い世界だ、俺はおとなしく早稲田と名古屋大学でも狙っていくよ。帝もさっさと東工大か慶應受けとけよ』

帝『なあ中ノ瀬、ギャンブル専攻はそんなに難しいのか?』

中ノ瀬『そりゃそうだろうね。賭博科で最も入りやすい新潟の翔越大学でまあ名古屋大学ぐらいじゃないかな。でもそんなとこ入っても、ギャンブルの世界じゃ生きていけないけどね。』

帝『。。。なあ、俺でも受けられるとこないか?』

凪『お前何言ってんだよ!無理無理!てかお前株とかFXはできるかもしれないけど、ギャンブルで生きていくとか無理だって!』

帝『ギャンブルうんぬんとかじゃなくさ、ビジネスがそれにより動くんだろ。投資銀行でクオンツやったところで、住都買収やトゥエンティワン買収には関わることは不可能。だったら、ビジネスの頂点を見るにはギャンブルしかねえじゃん』

凪『お前はバカか。。。いや、わかるよ言っていることは。でもお前センターの点数ゴミじゃねえかよ!入れないって!浪人でもして受けるのか?』

帝『いや、もう勉強はつまんねえからやらないだろうな。。。やっぱウルトラCはないかー』

中ノ瀬『ひとつだけ方法はあるよ』

帝『え、マジ?』

中ノ瀬『大阪に帝神大学っていう賭博に特化したところがある。そこは学科試験を一切課さない、ギャンブルの強い者だけに入学が許されるんだ。』

帝『そうなん?あるじゃねえか!』

中ノ瀬『でも帝神は、全国のギャンブルの猛者が集まる大学、少し頭が良くてギャンブルが強いだけじゃ話にならないよ。勉強さえできれば東峰大学賭博専攻に入ることができるやつがうじゃうじゃいるんだから。下手したら、東峰の入試より厳しいかもしれないよ。』

凪『いくら帝が数学できるからって、お前ぐらいの奴は全国に腐るほどいるんだから、やっぱ無理だって!』

帝『中ノ瀬、良い話をありがとう。帝神受けるわ。』

凪『はあ?お前。。。』

帝『いいじゃん、別に他に行けるとこないんだし、帝神なら足切りもされないんだろ?人生最大の、最後のチャンスじゃねえか。結果がどうあれ、俺が受けられるトップ校は帝神ぐらいしかないんなら、受けるしかねえだろうが』

凪『まあお前が受けるって言うなら応援するけどさ。帝神落ちたらどうすんだよ?』

帝『そんときはコンビニの店員のバイトでもやって、細々と生きるよ。まあでもそんとき考えればいいし、とにかく早く出願しなきゃいけねえんだ、中ノ瀬!ありがとう!』

中ノ瀬『期待してるよ。帝には数学で勝てなかった借りがあるんだから、ギャンブラーとして勝負しようよ』

帝『ああ、そうだな。中ノ瀬も受かるよう頑張れよ!』

中ノ瀬『ありがとう。お互いね。』


こうして帝は、大阪の帝神大学を受けることとなった。

受験まであと2週間、こうして、後に世界のギャンブル界隈に衝撃を与えるギャンブラーの歯車が動き出した。