妄想タイム


正門くんの熱が下がったのに、今度は私の身体は微熱を帯びていた

言われてみれば熱っぽい程度なのに、彼は慌てて冷凍庫を開けて、どの冷凍食品で私の頭を冷やそうかと悩んでいる

ガタガタと冷凍庫を閉めて持ってきてくれた

『ゼリーも持ってきて貰える?』と、たまには甘えてみようと思い

『ゼリー食べさせてほしい』とお願いしてみると

【エエよ、甘えてくれて嬉しい】

『私は甘え方とか知らないから、こういうときにしか思いつかなくて』

【素直に今の気持ちをを伝えてくれた訳やろ?】

うん

【はい、アーンしてください】

アーン

【そうやって素直になってる顔を見られて、幸せです】

『そういうもの、か』


ゼリーを食べてから二人で夕方まで寝たら、互いに体調も楽になり、正門くんを駅まで送っていくことにした

その道中で…

【今さっきすれ違った人、めっちゃ○○さんのこと見てた気ぃしたんやけど】


彼が私の右耳に寄り、小声でそう教えてくれた


『今の男の人ね、すれ違いざまにギャッと目を合わせてきてビックリした、なんだったんだろ?』


【え!アイツ目合わせてきたん?】


繋いでいた私の手が折れそうなぐらい、興奮してる正門くん


『痛い、痛い、うん、なんか合っちゃった』


【合っちゃった、ちゃうでしょ!怒らんから言うて!ホンマは知り合いとか?】


私のスマホの通知を見てしまったせいなのか、嫉妬深さを積極的に出してきている


『いやー、全く知らない人だったよ』


【ホンマにホンマ?】


彼は振り返ってまでして、ぶつくさ言いながらその男性を睨もうとしてた


とっくに見えなくなってるのに



続く