455.トキメキの1970年代.レイスリー.ZERO.15 | マリンタワー フィリピーナと僕といつも母さん byレイスリー
新学期になるとワタクシに変化が起こった、いや実際にはワタクシの周りに変化があった、微妙な関係になっていた堀口がワタクシに何も言わずに中国文学科から国文学科に移っていた、学科が変わった事によってだんだん堀口とは会う機会が少なくなっていき自然消滅してしまった。



そしてサユリとも徐々に会う度合いが少なくなっていった、元々、女性よりギャンブルを選んでしまうワタクシの性格が女性たちを満足させる事が出来なかったのだろう、たまに渋谷で映画を見てCISCOで輸入レコードを買い、道玄坂のホテルに行くのが決まったデートコースで、ほとんどは雀荘に入り浸りのワタクシでは女性たちは呆れてしまったのだろう、勝手な言い分だがワタクシに取っては堀口やサユリよりもギャンブルの方が魅力的だったし楽しかった、そして心底惚れていなかったという事だろう。


人が人に惚れる、「愛して愛して愛しちゃったのよ」、そんな歌のような事はギャンブルに嵌まっていたワタクシには無縁のように思われた、しかし、ないと思われた事が起こってしまうのが世の中だ、ある日、いつものように授業が終わり学食で仲間と一緒にカツカレーを食べた、席を外しトイレに向かおうとすると1人の髪の長い女性が駆け足でやってきて横を通り過ぎて行った、彼女の通り過ぎた後には仄かに天使のようないい匂い(天使ってどんな匂いでしょうね~)がしていて、ついクンクンと残り香を嗅いでしまった、振り替えるとワタクシたちの向かいの席に友達数人と待ち合わせていたようでニッコリしながら友人たちと話し始めた、フラフラしながら席に戻ったワタクシ。


初めて味わった衝撃、「灯台元暗し、こんなところにカジキマグロ級の美人がいるなんて、世の中とは思えない美しさじゃないの~」ワタクシは彼女にその瞬間に目も心も奪われてしまった、「こ、これが、ひょっとして世間様で言う初恋ちゅうものなのか~」美人には目がなく常に四方八方キョロキョロするのが特技のワタクシがこともあろうに何と2年半の間こんな美人を見逃していたとは一生の不覚だった、ずっと彼女の方を見ると変に思われるのでチラリ、チラリと見るとその笑顔は厳かでエレガントで清楚で美しく優しくやはり天使様のような御方だったのだ。


かつてワタクシが付き合った女性たちを全ての点において凌駕している彼女にワタクシは完全に惚れてしまった、
ベンキー「レイスリー、どうしたの、どこ見てんのよ?」


ワタクシ「ベンキー、俺も便器になりたくなってきたよ~」


ベンキー「えっ、何言ってるの?」

するとワタクシがチラリチラリとよく見るので彼女もチラリとこちらを見始めた、いつもならアイ.コンタクトで心と心の会話を行うワタクシだが、この時は目と目が合うと 恥ずかしくて視線を外してしまった、いつもと同じパターンに持ち込む事が出来ない「これが恋なのか?これが愛なのか?、ここはどこ?ワタクシは誰?」惚れると男は弱いものだ、やがて授業の時間がやってきて彼女とその仲間はシャナリシャナリ去っていき呆然と見送るのみ、ワタクシの頭の中では永ちゃんの‘時間よとまれ,が流れていた「幻でかまわなーい、時間よーとまれ~」しかし、彼女はもう学食にはいない、
ワタクシ「ハ~~~ッ、イタタタタ、胸が痛い、なんじゃコリャー!!!」子供の頃よく畑の肥料に使う肥溜めにはよく落ちたが今度は初めての恋の病に落ちてしまったワタクシ、もしベテランフィリピーナが横にいたなら「それが愛なの~」と言っていただろう。


次の日から雀荘ではなく昼間になると知らず知らずのうちに学食に必ず顔を出すようになっていた、彼女が姿を表すと何故か胸がズッキュンドックンと高鳴った、時々目が合うが目を反らしてしまう、毎日毎日こんな事を繰り返す、当然、彼女との距離は縮まるわけがない、「ハ~」「ハ~~~」「ハ~~~~~~~ッ」出るのはため息と時々オナラが出るばかりだ、しかしワタクシはこの時将来に関わる大事な問題があった、実はワタクシは教職員を目指していたのだった、読者の皆さんは「どうせ、こんな奴が教師になってもエロ教師になるに決まってるだろ~」と決めつけてらっしゃるに違いないが、実は大当たりだ、女子高の教師になるのがワタクシの夢だった、のではなく、以前にも書いたが映画「バングラデシュ」の影響で貧しい人達には教育こそが将来を生きていくのに大切なものだと信じていたからだ。


平和な日本に置いても富めるから貧しいからと分け隔てして人を見るのではなく優しく思いやりを持った人間になるように少しでも子供たちと接したかった、その為には教師になるのがいいのではと心に夢と希望を持って職業としようと経験もなく無知で綺麗事しか知らない若いワタクシ思ったのだが、教員になる為に必要な教科の単位が一つだけ1.2年で落とし続けてしまった、3年で取らなければ4年の教育実習にも行けなくなってしまう、最後という事で出席を取るこの授業をワタクシは真面目に受けていた。


そんな真面目に勉学に励もうと思っていた最中に‘麗しの君,が現れてワタクシは勉強どころではかい、おまけにあれほど狂っていた麻雀もやらなりつつあった、そして地元の大川をはじめとする仲間たちは就職の内定をもらっていた、大川は製薬会社に他の連中は銀行や有名メーカーへと行くらしい、一浪したワタクシなので就職は一年先だが不安な気持ちになっていた、「これでいいのか?」バガボンのパパに「これでいいのだ」と言ってほしかったが、残念ながらバガボンのパパはいなかった、そんな折り、いつものように学食で‘麗しの君,が現れるのを待っていると一人の男が近づいてきた、
男「レイスリーハ~ン、こんなとこにおりはったんでっかー、探しましたでー!!!」
関西弁のその男とは...



次回に続きます、いつもご訪問頂きまして誠に有り難う御座います。