正体は決して明かさない。



それが私の掟。






「自分、真面目な話、一か月ちょっと前まで、バッチバチの裏の人間だったんで」。



「一見しただけでそんなの判るわ?

 随分粗相もしてきたみたいね?


 な~に?25歳のこのあたしをそれで脅そうって言いたいわけ?」




 「このクソガキ、なんなんだ・・・


 ちっ、こっちの調子が狂っちまう」






「お生憎様!」














・・・・・・・だって、私、一体誰に囲われてると思ってるの?



「元」なんて人間に用は無い。


上にまで登り詰められなかった人間に興味も無い。












私は、自分のパパの事は決して口にしない。


それがパパの愛人になってから、自分の中で決めたルールだった。



だって不必要に心配かけたくないんだもの。


愛してるから。


パパはいつも穏やかで優しいから。











私が面倒くさい事に巻き込まれている時にだけ、ケータイが催促する。



そういう時だけ、私に命令口調になる。






「そんなのどうでも良いから、さっさと家に帰れ」ってね♪










パパは怒らないから。


特に自分の女には。



だから、余計にパパからの指示には逆らえない。




私はうま~いこと、パパに飼われてるの。














自由気ままなネコのフリをしてるだけの、






所詮は従順な飼い犬でしかない。

















でもいいの。




私が世界で一番愛してて大切なのはパパだから、全く苦痛ではなかった♪








パパは私に苦痛を与えない。










毎月使いきれない程の札束を投げてよこすような人なのに・・・・・・















不思議な魅力を持った人。













それが私の「パパ」だった。





























皆様、GWは満喫されましたか?


私はというと…


クールリフトっていうリフトアップと、
鼻先を少しだけ尖らせるプチ整形の為…

加えて先月からの風邪の悪化で
ほとんど毎日寝ておりました♪





あっ、実写版 峰不二子ともあろうこの私が、

いつもはとっても計算高いのに



なんということ…_| ̄|○









振られました。







ずっと憧れていたのは事実。
元々依頼人と代理人だった関係。



事件解決後、その弁護士をうま~く誘導して、

結果的にお付き合いする事になったの♪♪







世間一般では考えられないけれど、


私のこの美貌とスタイルに加えて、
知的でどんな話題も卒なくこなす頭の良さ、
上品さ、愛嬌、話題の振り方、仕草、気遣い、甘え上手…


うーん、挙げ出したらキリがないわね♪



ま、そんな私が、お付き合いする事になった瞬間、
珍しくも思わず舞い上がってしまったの。






そして結果的に、振られちゃったってわけ。








私の人生、モテ期ってものもなければ、
(だって常にモテるから。)

振られた事も、今まで無かったの。






だからショックというより、
私のプライドが音を立てて崩れた瞬間だったわ?









ま、でもいいの!



逃がした魚がどれだけ大きかったか、
気付かせてあげるんだから♡







それにね、いくら元依頼人と弁護士であっても、

普通は付き合わないもの。

医者と患者ならまだしも・・・・・・




私の誘惑に笑っちゃうくらいまんまとハマって、
思慮の甘い浅はかな弁護士だった。






落ちるか落ちないか試していたのに、
こんなにあっさり落ちちゃうなんて、逆にガッカリだわ?



いくら芸能人以上に美人の女が現れたって、
元は事件に巻き込まれた依頼人よ?



もっとずっとお固い人かと思っていたのに
残念だわ?




弁護士としての能力も然程高くはなかったから、結婚相手としてはやっぱりムリね!






ま、形的にはこの私をフったお詫びとして、
イケメンで有能な彼のブレーンを最低数人は紹介させるつもり♡





結果的に、実利があればそれで良いのよ






うふふ♪







 早速友達に紹介してもらい、私は郊外の小さなキャバクラで働き始めた。


当時は大学生。

これは私の中ではアルバイトという感覚でしかなかった。




ズブの素人の私は、時給2000円からのスタート。

其れでも当時の私にとって、それは高価な金額だった。




すぐに仲の良い友達は出来たが、接客に慣れるまでは数か月を要した。

何せ今まで「男の人」と目も合わせられなかったのだから・・・


毎日、出勤までの時間。


念入りにメイクをして、髪の毛をクルクル巻きながら・・・

「今日は何を話そうか?」と必死に話題を探していた。


そんな、超新人時代。





いつどんな所にも「新人好き」な男はいる。

「俺がこの子を応援して守ってやらなくては」という、男性心理をくすぶるのであろう。


かくいう私も、毎日と言っていいほど

ご熱心にお店に通ってくれる固定客を着実に掴んでいった。







当時のその店のナンバーワンは、矢田亜希子似の22歳、ミサト。

彼女は根っからのシャネラーだった。




私の田舎には、ブランド店なんて勿論無い。

あるのはイトーヨーカドーとしまむらくらいだったから、これが私とブランドの出会いだった。









 「愛人」というものを、私は生業としている。

いつから其れを自覚したのか定かではないが、如何せん、現在はそうなのである。





小さな田舎町で頗るマジメに生きてきた私。

生真面目という言葉の方が、しっくりとくるかもしれない。



小中高と、成績はずっとトップで、母は根っからの教育ママ。

大学生になるまで、恥ずかしくて男の子と喋る事すら出来ない、ごく普通の少女だった。


ううん、今の時代では珍しい程、初心な少女だったんだ。


パッと見は、一生懸命「今時のギャル」を装ってはいたのだけど・・・





 そんな私に変化があったのは、大学2年生の時。

同じ学部の子が、当時流行りだした「キャバクラ」で働いていた。



赤文字系のファッション雑誌にも「キャバクラ事情」なんて特集が組まれるようになり、

その職業がもてはやされ始めた時期。


私はとりわけお金に困っていたわけではなかった。






けれど、





「実は働いてみたことがあるコ多数♪」


「平均時給3000~6000円♪」


「ドレスを着て楽しくお喋りするだけ♪」




なーんて文字が誌面に躍る。






そんな「キラキラした世界」は、18年間マジメに生きてきた田舎町には無かったから・・・








見てみたかったの。










私が夜の世界に足を踏み入れた理由は、ただ其れだけだった。