お昼過ぎになって一人暮らしの自宅マンションに着くと
あまり眠れていないせいか、ゆいにくすぐられて暴れたせいか
何とも言えない気怠さに見舞われそのまま寝室のベッドに倒れこんでしまった。
それにしてもゆいの責めはくすぐったかった…
指先が私の敏感な鎖骨をスーッと撫でるだけでゾクゾクし、笑い声が漏れてしまう。
その感覚を思い出すと不思議なことに下腹部がキュッとなり、身体が熱くなる…
ゆいの指、言葉責めする時の声。
私の敏感な身体。
いろいろ思い出し気付くと私は自分で自分を慰めていた。
「はぁっ…っ❤︎」
まいさん、ここが弱いんですね?
じゃあもっとこちょこちょしてあげますね
まいさん笑ってるってことは嬉しいんだ!
じゃあもっとたくさんくすぐっちゃいますね
さっきからまいさん謝ってばっか!
何か悪いことしたんですか?
じゃあ自白するまでずーっとくすぐりますよ
かわいい声ですねー
もっといっぱい聞かせてください
まいさん本当は私にくすぐられて喜んでますよね?
ゆいに言われた言葉や責められた場所をひとつひとつ思い出し、自分を虐める。
まいさん…くすぐられて感じてるんですか?
その言葉を思い出したと同時に私は果てた。
そして久しぶりの心地よい眠りに吸い込まれていく。
あれから半年が経ち、ゆいは付き合っていた彼氏との結婚が決まり今は仕事の引き継ぎ業務と結婚式準備に大忙しだ。
それまでは月に一度か二度は飲んだ後にホテルに泊まってくすぐりプレイを楽しんでいた。
くすぐりプレイ…と言っても毎回私がゆいにくすぐってもらう役回りなのだけど…
初めて長時間くすぐられたあの日以来、
私はくすぐられることの気持ちよさ、
くすぐったいけどもっとして欲しい…
そんな感覚の虜になってしまったのだ。
くすぐりプレイを誘う日はゆいに渡す資料に貼る付箋をピンクにする。
そんな社内恋愛の真似事のようなことも今となってはいい思い出だ。
そんな楽しみが今はなくなり、元の仕事ばかりの生活に戻ってしまった。
ゆいとの時間がなくなり、物足りなさを感じる日々。
いっそあの刺激を知らなければあのまま仕事に邁進できたのに…とさえ思う。
ただ、そうも言ってられない。
もう数週間経てば新しい年度が始まり、
今回の人事異動で私は別のプロジェクトのリーダーを任されたのだ。
今日は会議がてら新しい事務所にいる新しい上司へ挨拶に来た。
ボーッとしている場合ではない。
コンコン…
会議室のドアをノックし、一礼をして中に入るとそこには入社当時私の教育係をしていた先輩が座っていた。
仕事が出来て自分にも他人にも厳しい彼は当時の私の憧れだった。
「ふ、藤ヶ谷さん?!」
「おー!まい、久々だな!随分仕事覚えたみたいだなー。再来週から期待してるからなー!」
「プロジェクトに呼んでくれたのってもしかして…」
「うん。オレ!
もう一度お前と仕事がしたくって…」
そう言って少し照れたように笑う藤ヶ谷さんの仕草に胸の奥の方がキュッとなる。
もうすぐ春本番!
前を向いてまた新しい私に会いに行こう!
The end…❤︎