監督:谷口正晃

出演:仲里依紗 中尾明慶 

原作:筒井康隆

@シネスイッチ銀座


日本人で知らない人はいないんじゃないかってくらい、何度も映像化されている名作。

小学校のとき、連ドラでやっていたのが淡い記憶に残っているけれど、実は原作版ってあんまり知らなくて、ちゃんと知っていて、大好きなのが細田守監督のアニメ版。

今回のヒロイン仲里依紗ちゃんが主人公の声を務めています。


さて今回。 2010年谷口版「時をかける少女」


<ネタバレ有>


今回の主人公、あかりはとにかくパワフル!! 元気いっぱいで積極的でキュートなのです。

対照的に、お母さんのためにタイムリープした世界で出逢う80年代の青年、涼太は奥ゆかしい。黙って雨の中迎えに来たり。コタツにあかりを寝かせて自分は毛布に包まったり。おでこにキスをしたり。

だけど、家族と向き合いながら夢をかなえようと決意したあと、あかりの頭をくしゃくしゃと撫でて去っていく姿が、頼もしい!!(笑) 



お母さんの初恋の人を探しながら、ちょっとずつ距離を縮めていくふたり。思い出をフィルムに焼きつけておこうとするふたり。

けれど、それを引き裂くかのように待ち受けている事故。

必死に引き止めようと走り出すあかり。

変えられない歴史に必死に抗う姿が、まっすぐで涙が止まらなかった。

好きな人が何も知らずに死地に向かっていくせつなさが、心にぐっさりと刺さる。

くず折れたあかりに、自分達の姿を重ね、プレゼントを残す深町一夫の優しさも胸を打つ。


ちょっと惜しかったのは、冒頭に出てくるバスの転落事故の話が絶対ラストに掛かってくる!って明白なこと。

物語を作るうえで、伏線以外のストーリーは基本的にないので、過去の事件だし、こんな唐突なサイドストーリーは絶対関係あるなーって心に止めて置いたら、やっぱり、、、と(笑)

でも、引き止められないとは思わなかったな~。


細田版では、主人公が何度もタイムリープを繰り返して、失われるはずの命が救われたりして未来に向かっていくので(きっと今までのもちょっと未来が思い通りに変わるハズ!)、まったく思い通りにならない展開が、リアリティがあってよかった。とはいえ、ものすごい悲しいけど。可哀相過ぎる!!!


今回は、原作とリンクする部分が大いにあるので、一度は読んでおかなくちゃな、と思いました。原作知ってたらきっと倍は楽しいと思います。