欲の代償
痛い。夏のビーチなどで「焼けるような熱さ」などと表現される事もあるが、あんなのは
どう考えたってインチキである。本当に火に炙られれば、熱いではなく、痛いのだ。
脱出する機会は、実は何度か存在した。
火災警報は煙が蔓延するずっと前に耳にしたし、煙が近づいてきても、まだ床を張って移動
できたし、なによりも火の手は遠かった。
結論から言えば、欲をだしたのがいけなかった。
パーティー会場のすぐそばにはかなりの現金が集まっていたし、流石に大部分はすでに
金庫にでもしまわれていたであろうが、それでもまだまだ途中入場してくる客はいたし、バー
カウンターはキャッシュで動いていたから、内部にはそれなりの現金が割りと無造作に
保管されている。
客は真っ先に、従業員も我先にと避難を開始した。もう少し、もう少しだけ粘っていれば
数か月分の給料に相当する現金が手に入る。カウンターの中で人目をやりすごしつつ
ひとけがなくなるまで粘った。
が、確かに札束は手に入ったものの、すでに非常階段にも火が回り、飛んできた火の粉で
大部分の紙幣は半分以上が消失したし、なによりも着ていたウェイター服自体用を為さなく
なっている。衣服から露出している部分はかなりのやけどになっており、恐らく顔も見られた
物ではなくなっていると思う。
地上まで恐らく残り10数メートルあたりまでは降りてきたが、飛び降りようにも窓際は猛烈な
炎に囲まれ、階下に尾率通路もすでに様々な残骸で塞がれてしまっている。
命あっての物種。いや、まったくそのとおり。吸いすぎた煙のおかげか、朦朧とする頭の
なかで、痛みに勝った思いは、それだった。
どう考えたってインチキである。本当に火に炙られれば、熱いではなく、痛いのだ。
脱出する機会は、実は何度か存在した。
火災警報は煙が蔓延するずっと前に耳にしたし、煙が近づいてきても、まだ床を張って移動
できたし、なによりも火の手は遠かった。
結論から言えば、欲をだしたのがいけなかった。
パーティー会場のすぐそばにはかなりの現金が集まっていたし、流石に大部分はすでに
金庫にでもしまわれていたであろうが、それでもまだまだ途中入場してくる客はいたし、バー
カウンターはキャッシュで動いていたから、内部にはそれなりの現金が割りと無造作に
保管されている。
客は真っ先に、従業員も我先にと避難を開始した。もう少し、もう少しだけ粘っていれば
数か月分の給料に相当する現金が手に入る。カウンターの中で人目をやりすごしつつ
ひとけがなくなるまで粘った。
が、確かに札束は手に入ったものの、すでに非常階段にも火が回り、飛んできた火の粉で
大部分の紙幣は半分以上が消失したし、なによりも着ていたウェイター服自体用を為さなく
なっている。衣服から露出している部分はかなりのやけどになっており、恐らく顔も見られた
物ではなくなっていると思う。
地上まで恐らく残り10数メートルあたりまでは降りてきたが、飛び降りようにも窓際は猛烈な
炎に囲まれ、階下に尾率通路もすでに様々な残骸で塞がれてしまっている。
命あっての物種。いや、まったくそのとおり。吸いすぎた煙のおかげか、朦朧とする頭の
なかで、痛みに勝った思いは、それだった。
インターミッション
善人はたった一つの悪行で全てを失い、悪人はたった一つの善行で名声を得る。
どこかで、中学生ぐらいの頃に耳にした言葉です。極論、やっかみ半分の言葉だとは
思いますが、なかなかどうして、的を得た言葉であるなと年を追うごとに思います。
自身、決して善人ではなく、悪人の部類に入るのですが、それでも割りと頑張ってやって
いる時に、普段さしたる成果も見せずに偶々功を得、その反面軽いポカで必要以上に-
と、自分では思う際に-責められると、つい脳裏に浮かぶ言葉でして。
世の中、確かに生まれながらにして善人、ずっと善行を積んで生きてきている人間など
居ないのですが、それでも「いや、俺も昔は結構札付きでね」とそんな会話を耳にすると
その影で泣いて来た人は、今どうしているのだろうと思います。
ま、ちょっとした愚痴です。
十数年ぶりに、たまたま町で当時とんでもなく嫌だった奴に会い、その時に気も無いのに
メシになど誘われれば、そりゃ、笑顔で「寝言は寝て言え」といってやりたくもなるでしょう。
相手が子連れだろうが、何であっても。
で、そーゆーことすると、悪者になるのはこっち、という。
いやいや、世の中むずかしいですね。
どこかで、中学生ぐらいの頃に耳にした言葉です。極論、やっかみ半分の言葉だとは
思いますが、なかなかどうして、的を得た言葉であるなと年を追うごとに思います。
自身、決して善人ではなく、悪人の部類に入るのですが、それでも割りと頑張ってやって
いる時に、普段さしたる成果も見せずに偶々功を得、その反面軽いポカで必要以上に-
と、自分では思う際に-責められると、つい脳裏に浮かぶ言葉でして。
世の中、確かに生まれながらにして善人、ずっと善行を積んで生きてきている人間など
居ないのですが、それでも「いや、俺も昔は結構札付きでね」とそんな会話を耳にすると
その影で泣いて来た人は、今どうしているのだろうと思います。
ま、ちょっとした愚痴です。
十数年ぶりに、たまたま町で当時とんでもなく嫌だった奴に会い、その時に気も無いのに
メシになど誘われれば、そりゃ、笑顔で「寝言は寝て言え」といってやりたくもなるでしょう。
相手が子連れだろうが、何であっても。
で、そーゆーことすると、悪者になるのはこっち、という。
いやいや、世の中むずかしいですね。
3rdボール
「今時珍しいトラックだよな。ほとんど制限速度だぜ、あれ」
「そうね。でも、軽だと安心できるけど」
「う・・・わかったわかった、今度はちゃんと普通車買うからさ」
「あら?別にこの車がいやとかそういうわけじゃないのよ」
正直な所、私の給料は、かなり安い。家のローン返済も考えればそうそうと車の
買い替えには資金は裂けないが、女房は女ながらに結構車に煩い。私自身は所詮
車、走ってくれればそれでいい、見てくれや居住性などは2の次である。
「ただ、やっぱりあなたも来年は課長になるんでしょ?」
「まぁ、予定ではな。」
「だとしたら何時までも軽じゃちょっと格好がね。ロイヤルサルーンとは言わないけど
それなりの車に乗ってないと、部下に笑われちゃうわよ」
「別にそこまで見てないと思うけどなぁ・・・」
「何か言いました?」
「あ、いや、別に。なんでもない」
おまけに結構勝気だったりする。そこに惹かれての結婚だったが、尻にしかれている
といわれると、正直反論できない。それでも惚れた弱みの何とやら。無茶な要求はして
来ないし、自身、確かに少し思うところはある。
「OK、来週にでも一度見に行ってみるか」
「うふ、それじゃ美容室は今週中にいっておくわね」
「おいおい、車見に行くだけで、そんなこと気にしなくてもいいだろうに」
「女はね、いつでも買い物の時はめかしこむものよ」
「はいはい・・・って、うわ!!前!!!!」
「え?ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ」
たしかに、ちょっと会話に気をとられて注意力散漫だったのは認める。事故なんてのは
こういったときに起こる、よくある話し出し、実際そうなんだろう。
でも、だからといって、斜線を跨って塞ぐように横転しているトラックなんて、どうすればいい?
「そうね。でも、軽だと安心できるけど」
「う・・・わかったわかった、今度はちゃんと普通車買うからさ」
「あら?別にこの車がいやとかそういうわけじゃないのよ」
正直な所、私の給料は、かなり安い。家のローン返済も考えればそうそうと車の
買い替えには資金は裂けないが、女房は女ながらに結構車に煩い。私自身は所詮
車、走ってくれればそれでいい、見てくれや居住性などは2の次である。
「ただ、やっぱりあなたも来年は課長になるんでしょ?」
「まぁ、予定ではな。」
「だとしたら何時までも軽じゃちょっと格好がね。ロイヤルサルーンとは言わないけど
それなりの車に乗ってないと、部下に笑われちゃうわよ」
「別にそこまで見てないと思うけどなぁ・・・」
「何か言いました?」
「あ、いや、別に。なんでもない」
おまけに結構勝気だったりする。そこに惹かれての結婚だったが、尻にしかれている
といわれると、正直反論できない。それでも惚れた弱みの何とやら。無茶な要求はして
来ないし、自身、確かに少し思うところはある。
「OK、来週にでも一度見に行ってみるか」
「うふ、それじゃ美容室は今週中にいっておくわね」
「おいおい、車見に行くだけで、そんなこと気にしなくてもいいだろうに」
「女はね、いつでも買い物の時はめかしこむものよ」
「はいはい・・・って、うわ!!前!!!!」
「え?ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ」
たしかに、ちょっと会話に気をとられて注意力散漫だったのは認める。事故なんてのは
こういったときに起こる、よくある話し出し、実際そうなんだろう。
でも、だからといって、斜線を跨って塞ぐように横転しているトラックなんて、どうすればいい?
