べつに多くは求めていない。


壊そうとは思っていない。



ただ覗かせないで欲しい。


見たくない。



現実は求めていない。


空想だけが好き。



むやみに話さないで欲しい。


凝り固まった記憶を刺激しないでよ。



同郷の男の人は嫌い。


話し方が父親とよく似てるから。



一番やわらかい記憶を呼び覚まさないで欲しい。


忘れることなんてできないんだから。



わたしの希望はかなわないんだから。


そっとしておいて。



思い出すには優しすぎて。


思い出すにはあたたかすぎて。



わたしが壊れるから。

暗くなるのは夜だけ。


夜は暗くなるのを許してくれる。



昼は明るい。


昼は厳しく批難する。


「今はそんな時間じゃないんですけど」


「文句があるなら部屋を暗くして寝れば」



雨は大好き。


昼でも暗い。


空から降り注ぐ大量の水は涙という同調をくれる。



共感は心地いい。


天気がどうこうしてくれるわけじゃない。


自分にどれだけどうちょうしてくれるかだけ。


共感は常習性の強いクスリ。

どこかのコーヒーショップでアルバイトしていたときよく耳にして口にしていた言葉。


「サードプレイス」



家でもなく仕事場でもない、自分の落ち着ける場所。


そんな場所になろうというのが理念。



もちろん、わたしではなくコーヒーショップの。



はじめてそれを聞いたとき。


素直にあこがれた。


なんかいいなぁ。


そんな場所あったら素敵だよねと。



探し求めているけど。


未だにわたしのサードプレイスは見つからない。



サードプレイスに対する思い入れが強すぎるのか?


ハードルが高すぎるのか?


見つけても自分で手放すのか?


自分で壊すのか?



四番目の推測が濃厚。