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俺の心は

皆の思ってるほど

ぐちゃぐちゃで複雑だ

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「そういえば、心優さんは明日から高校生ですよね」


紫亜が聞いてきた。


「そーいや、お前まだ中3なんだっけか?」


空臥が心優の頭をポンポンと軽く叩きながら言ってくる。


心優は空臥の手を払い除けながら


「そうだよ!っていうか空臥!私のこと子供扱いしてるでしょ」


「心優ちゃんはこんなに可愛いのにね~、空臥の目って一体何が映ってんのかね」


「駿斗、殺すぞ」


空臥が冷たい目を向けて駿斗に言う。


「ねえ、二人とも喧嘩なら外でやってよ」


黙ってお菓子を食べていた颯真の口が開いた。


「二人とも迷惑、僕の時間の邪魔」


そう言われると二人は黙る。


颯真のおやつの時間を邪魔すると色々と厄介だからだ


「心優。明日のために今日中にできる仕事やるんでしょ?」


「へ?あ、うん」


心優は突然の質問できょとんとしながらも颯真の問いに答えた。



「じゃあ、帰り送る」


数秒間の間があった。


「いや、いいよ原井さんに送ってもらうから」


「でも、原井さんは今日用事でもういませんよ?」


紫亜の言葉に続いて空臥も言う。


「まあ、心優の家を知っているのは颯真だけだしな送ってもらえよ」


「でも、今日遅いから待たせるし」


「だったら尚更だよ!皆心優ちゃんの事心配なんだよ?」


皆に言われて心優も折れたのか


「お願いします…」


心優は颯真にぺこっと頭を下げた。


「待ってる」


颯真は一言だけそういった。



――――――


颯真side



――車の中



「結構待たせてごめんね」


助手席に座っている心優が呟く。


「別に、あんま待ってない」


そこで会話はなくなる。


別に気まずいとかそういう空気はない。



心優とは小さい頃からずっと一緒だった。


単に、僕と心優が従妹だったからというだけ。


心優の家は四大貴族のひとつ。


そんな心優と従妹なわけだから僕も一応上級貴族。


そして僕も紛れもなく吸血鬼だ。


皆は僕たちが吸血鬼だなんて知らない。


だから、心優の家も僕の家も知る筈がないんだ。



暫くして心優の家の前まで来た。


「ついたよ」


心優が車から降りる。


「颯ちゃん、寄ってく?」


「いや、今日はいい」


心優は"そっか"といって少しシュンとする。


「また来る」


心優はその一言で


「うん、じゃあまたね」


そう言って笑顔になり心優は家の中へと行ってしまった。



相変わらず、不思議な行動だな…


普通の子なら見送りくらいするだろうと思いながらも


颯真は自分の家に帰るのだった。