乳がんと知ったとき、
家族にも友達にも同僚にも…誰にも頼らずに
乗り越えようと思っていました。
「何があっても私は平気。このくらいなんでも無い。」
これまでもいくつもの困難を乗り越えて来たのだから、
今回も大丈夫…って、思っていました。
でも、乳がんは、そうはさせてくれませんでした。
検査を受けていく中で、
これまで一つだったはずのしこりが、もう一つ見つかったのです。
当時の主治医も私も、
冷静を装うのに必死だったと思います。
「PET検査(全身のガンを調べる検査)までしたのに、なぜ…?」
病院の会計も忘れてしまうくらい気が動転し、
病院を出た途端、行き交う人の目を気にせず、
大声で泣き叫んだことを今でも覚えています。
「病気は、大切なことを教えてくれるメッセージ」
ずっと、ずっと、そう思っていたので、
泣きじゃくりながらも、左胸に手を当てて聞いて見ました。
「なんで、今になってもう一つのしこりが出て来たの?
お願い、教えて…。あなたは私に何を伝えようとしてくれているの?」
…すると、その時、「茨城」の文字がハッキリと頭に浮かんだのです。
茨城は、私の故郷です。
「そうだ、もう一人で頑張らなくっていいんだ、親を頼るんだ、
もういいんだ…もう無理なんだ…」
この時初めて、人生でギブアップすることを覚えました。
この時初めて、人生には一人では乗り越えられないものがあることを理解しました。
翌日、会社にも両親にも全てを話し、
1週間後には休職に入り、実家での生活を始めました。
このしこりは、後に良性と判断され、
不思議なことに、その後、跡形もなく消えてしまったのです。
もしあの時、体からのメッセージに耳を傾けなかったら、
もしあの時、誰かに頼ることを選ばなかったら、
しこりは、悪性化していたんじゃないかってさえ、思います。
病気は、何かを伝えるのに必死です。
体を傷つけてまでも、命を削ってまでも、
大切な何かを伝えるのに、あの手この手を使って、
メッセージを送って来ます。
「病気はメッセージ」とは、
こういうことかと、深く理解した出来事でした。
今日も最後まで読んでくれて、
ありがとう。