ら・鮮・快・談

ら・鮮・快・談

村地鮮(むらち・せん)による、自然観察・文学逍遙・野宿紀行・哲学考察などのカオスに満ちた未定型雑記。つまり、あちらからのもらい物に目を凝らし、耳をすませ、あれこれ考えてみた雑記です。

「よごよごよごよご」


ありなしの風を感じてねこじゃらし

よごよごよごよごどの穂も動く                        河野 裕子



「ねこじゃらし」を題材とした短歌を探していて、

河野裕子の歌を見つけた。

戦後の女性短歌トップランナーとして活躍した河野。(晩年は乳がんと闘病し、その境涯を多く歌に詠んだ。2010年8月に死去)

寡聞にして知らないが、河野がオノマトペを駆使した歌を

詠っているのはなかなか無いのではないか。

(誰か知っていたら教えてほしい)

あるかないかのような風を感じて、ねこじゃらしが

「よごよごよごよご」と、

どの穂も動くという場面を詠っている。



「よごよご」が2回繰り返されている。それによって、「どの穂もうごく」が生き生きしてくる。



元々、思い思いの向きにしなったり垂れたりしている穂が、微かな風を感じてそれぞれがそれぞれの向きに動いている。

河野がとらえ詠った風景が、まるで生き生きとして眼前に見えてくるようだ。

ちなみに、「オノマトペ辞典」というものがあるのだが、

「よごよご」は載っていない。

素敵な歌に出会った。