酒屋の嬢ちゃんよもやま日記 -103ページ目

酒屋の嬢ちゃんよもやま日記

主に、富山県で『太刀山』を醸す吉江酒造の出来事とか、お酒の事とか。

中の人は名古屋でトリマーやっとります。

10月に帰省した時のお話キラキラ


晩酌中、何の流れだったか、

お酒の【秋あがり】の話になりました。

【秋あがり】とは、寒い冬の時期に造られたお酒が、秋くらいになると円熟して角が取れまろやかになり、品質が向上する、って事なのですが。

(最近は、【秋あがり】って商品を出してるとこもありますが、
あくまでこの言葉は酒質の事であり、製造方法の事ではございませぬ。)

酒質が向上するから【上がる】。
逆に、下がるお酒もあるそうで(笑)
【秋落ち】って言うそうです(´;ω;`)



私『新酒の新酒らしい荒っぽさと言うか、フレッシュさもいいけど、
夏越えたくらいのうちの純米酒をお燗して飲むのがめちゃくちゃ大好きなんだよね~ラブ


な~んて話をしてて。

そしたら父が、

『いい風になったな~と思っとった酒でも、ある時期に【あれっ?】てなる事がある。それを【下がる】と言うんやけど。』

父的には、山田錦(酒米。)はそんな事無いけど、
五百万石は『あらら?何か変な風になったな~』となる事がよくあったそうです(笑)

(因みに太刀山、大吟醸は山田錦、
純米吟醸や純米酒は富山の五百万石という酒米を使ってます。)


父『ま、今のうちの酒が下がる事はそうそう無いけどな。』


…そう豪語する父、素敵です(笑)


一人で造ると決め、誰も教えてくれない中、試行錯誤を繰り返し、
今の酒を造るに至った父の経験値は、私みたいな素人では計り知れないものがあるんだろうなー。
そんな父に従事して20年酒造ってる兄も匠のレベル。


兄『俺らは【杜氏】じゃないから。』

蔵元である酒屋の親父がやり始めた酒造り。続いてあんちゃんも参入。

一般的な杜氏のカテゴリーからは外れるんだよ、と言いながらも、自分達の仕事に自信と誇りを持ってる。

すごいカッコいい。

もー、
すごいカッコいい(〃∇〃)


肩書きなんて、いらないよね。
今、この酒造ってるのは彼等だ、ってのが
重要。


太刀山、【ひやおろし】とか、【秋あがり】とか、季節商品は出しておりません。
でも、中身は自然といい塩梅になってます(笑)

新酒と今のお酒、同じ商品でも全然違うから!

季節ごとに個人で楽しんでくださいませ!(ツウだね~♪)




んで、その流れかな?
お兄ちゃんが言い出した。

『今年はいい酒が【できました】とか、いい酒が【造れました】とか、いい酒が【仕込めました】ってのは傲慢だよなー』

って。

『いい酒に【なりました】なんだよ。』 


って。


古来より、お酒は神様に奉納するもの。
神様に由来するもの。

(興味ある人は【さ】の神様を調べてね!
さけ、さくら、さおとめ、…【さ】のつく言葉、地名は全て神様にあやかったものなのです。
万物に神様が宿ると考える、日本ならではの自然信仰ですね。)


お酒造りは、自然の力を借りて行うもの。
人間の力だけでどうこう出来るものじゃない。


お酒造りに伴う発酵技術は、人知の計り知れないブブンが多くて、
ある程度はコントロールできても、思い通りにいかない事が多い。
まぁ、ぶっちゃけ、生き物(微生物)相手ですし、
それに温度、湿度、水質、米質、時間…いろんな要素が作用してくる。


だから、【いい酒ができた】ではなく、【いい酒になった】なんですって。

勿論、手は尽くしますが、
あくまで自分達は、介添えなのだそうな。


今日、父と兄は京都の松尾大社(お酒の神様が鎮座してる。)までお参りにいっております。
造りに入る前の、毎年の恒例行事です。


さあ!今年も始まります!
3月まで続く過酷な造り。



今期の太刀山も、美味しくなりますように!!