昔から都市伝説的な噂はあった。
終電を過ぎた後、やってくる一本の電車がある。
それに乗ると恐ろしい目に遭い、死ぬのが怖くなるって。
僕はそんなの信じてはいない。
時間通りにしか走ってないと思っていたから…。
でもね?
ある日の夜、終電を乗り損ねた僕は見ちゃったんだ。
タクシーに乗り込む時に駅に一本の電車が入ってくるのを。
その時は酔っていたから回送電車か何かかと思ってそのままタクシーに乗り込んで帰ってしまったんだ。
自宅に着いたのは深夜の一時。
もうささっとやることやって布団に入ったらばたんきゅうだったからあまりはっきりとは覚えていない。
翌朝会社に行った時、同僚とちょっとした怪談話になった時ふと思い出して話したんだ。そしたら先輩が面白がってしきりに何時頃だったかを聞いてくる。まさか乗る〜なんて言わないよなと思いながらも少し期待している自分がいた。
だってこの先輩あんまり好きじゃないから。
煩いし、人の恋話にしつこい程聞いてくる。だから同僚も皆彼にだけは言わないでいる事を知ってからはなにも喋らない。
だからついつい喋っちゃったんだ。
昨日の事を。
面白がった先輩は何度も確認し張り切って乗るぞー!なんて言っていたが大丈夫か?
少し不安になったが、昨日の今日また出くわすとは限らない。だから仕事が始まったらこのことは忘れてしまっていた。
まさかほんとに一人で乗るなんて思わなかったよ。
翌朝同僚の1人がこんな話を言っていた。
昨日の夜、「最終電車の後に電車が来たら乗るから写真…撮っといて。」って。
その写真を見せてもらった。
確かに先輩の後ろに電車が写っている。
その写真を見た時ゾクッとしたよ。
だって先輩の後ろのガラスに黒い影が映り込んでいたから。
「あの〜、ホントに先輩一人で乗ってっちゃったんですか?」
「あ〜、うん。止めたんだけどね。いうこと聞かなくって…仕方がないから乗せちゃった。まぁ、最終電車だから終点まで行って降ろされると思うけどね。迎えに来て〜なんて言ってきたりなんかして。」
その時タイミングよく電話が鳴った。
発信元は…先輩だ。
「先輩、どうしたんすか?もう駅着いて下されちゃいましたか?」
「バッ、バカか!この電車、やべーよ。終点に着いたら止まると思ったのに止まらないんだ。どこ向かってるのかさっぱりわからん。」
「電光掲示板はないんですか?」
「あっ、あったわ。何何?………。」
「せ、…先輩?」
「あの世駅って何だよ!どこ向かってんだよ!車掌捕まえてふざけた事のせんなって文句言ってやる!」
「先輩、窓の外はどうなってますか?街の景色は見れませんか?」
「ああ、何にも見えない。真っ暗闇だ。明かりひとつもない。」
これはまずいんじゃないかと皆が思い始めていた頃、先輩からの電話にノイズが入るようになった。
「先輩。ちゃんと聞こえてますか?」
「…あ、ちゃ……こ…て…。ツーッ、ツーッ。」
「ヤバくない?」
「ヤバイよ。ホントに。どうしたらいいんだ?」
みんな頭を抱え込んでしまった。でもいい案も思いつかない。悩む。
「発信元GPSなんかで追えないかな?電波が出てたら分かるんじゃないか?」
「パソコンがないとダメだよ。」
「ノートパソコンなら持ってるぞ!」
同僚の一人が鞄からノートパソコンを出して見せた。
「どうやるんだ?警察でもあるまいし、分かんないぞ?」
「そ、そうだ。検索かけたら?ヒットしないか?」
「やってみるよ。」
そう言ってノートパソコンをいじり出した同僚は必死になって調べ方を検索する。するとようやくそれらしいものにヒットした。
その方法通りにしていったら先輩の携帯番号を入力するページになり入力したら【該当番号は表示されません。】とでた。なんで?再度やり直してみたが結果は同じだった。もしかして異次元の世界に行っちまったのか?皆の顔が真っ青になる。僕も真っ青だ。元々の言い出しっぺは僕だからまさかこんなことになるなんて思いもしなかった。
その日はもうどうすることもできないので、とりあえず警察に行方不明の届けを出した。でも家族じゃないから受理はされなかったけどね。
そしたらさ、朝一の電車に先輩が乗って帰ってきたのを同僚から聞いた。慌ててみんなで先輩のもとに行ったよ。ほんとに無事だったんだ…。
良かったと皆が安堵の顔になる。
けど先輩の顔色は悪い。
「先輩、どうかしましたか?」
「お前か…、お前のせいで俺は俺は…。ガクガク。」
先輩が怯えている。あの電車でなにがあったのかは知らない。ただ聞かない方がいい気がしたのは事実。
だからこの話はもうおしまいにしようということになった。
誰一人として異論を唱える者はいなかった。
先輩は結局どこへ行ったのだろうか?…。謎だ。
終電を過ぎた後、やってくる一本の電車がある。
それに乗ると恐ろしい目に遭い、死ぬのが怖くなるって。
僕はそんなの信じてはいない。
時間通りにしか走ってないと思っていたから…。
でもね?
ある日の夜、終電を乗り損ねた僕は見ちゃったんだ。
タクシーに乗り込む時に駅に一本の電車が入ってくるのを。
その時は酔っていたから回送電車か何かかと思ってそのままタクシーに乗り込んで帰ってしまったんだ。
自宅に着いたのは深夜の一時。
もうささっとやることやって布団に入ったらばたんきゅうだったからあまりはっきりとは覚えていない。
翌朝会社に行った時、同僚とちょっとした怪談話になった時ふと思い出して話したんだ。そしたら先輩が面白がってしきりに何時頃だったかを聞いてくる。まさか乗る〜なんて言わないよなと思いながらも少し期待している自分がいた。
だってこの先輩あんまり好きじゃないから。
煩いし、人の恋話にしつこい程聞いてくる。だから同僚も皆彼にだけは言わないでいる事を知ってからはなにも喋らない。
だからついつい喋っちゃったんだ。
昨日の事を。
面白がった先輩は何度も確認し張り切って乗るぞー!なんて言っていたが大丈夫か?
少し不安になったが、昨日の今日また出くわすとは限らない。だから仕事が始まったらこのことは忘れてしまっていた。
まさかほんとに一人で乗るなんて思わなかったよ。
翌朝同僚の1人がこんな話を言っていた。
昨日の夜、「最終電車の後に電車が来たら乗るから写真…撮っといて。」って。
その写真を見せてもらった。
確かに先輩の後ろに電車が写っている。
その写真を見た時ゾクッとしたよ。
だって先輩の後ろのガラスに黒い影が映り込んでいたから。
「あの〜、ホントに先輩一人で乗ってっちゃったんですか?」
「あ〜、うん。止めたんだけどね。いうこと聞かなくって…仕方がないから乗せちゃった。まぁ、最終電車だから終点まで行って降ろされると思うけどね。迎えに来て〜なんて言ってきたりなんかして。」
その時タイミングよく電話が鳴った。
発信元は…先輩だ。
「先輩、どうしたんすか?もう駅着いて下されちゃいましたか?」
「バッ、バカか!この電車、やべーよ。終点に着いたら止まると思ったのに止まらないんだ。どこ向かってるのかさっぱりわからん。」
「電光掲示板はないんですか?」
「あっ、あったわ。何何?………。」
「せ、…先輩?」
「あの世駅って何だよ!どこ向かってんだよ!車掌捕まえてふざけた事のせんなって文句言ってやる!」
「先輩、窓の外はどうなってますか?街の景色は見れませんか?」
「ああ、何にも見えない。真っ暗闇だ。明かりひとつもない。」
これはまずいんじゃないかと皆が思い始めていた頃、先輩からの電話にノイズが入るようになった。
「先輩。ちゃんと聞こえてますか?」
「…あ、ちゃ……こ…て…。ツーッ、ツーッ。」
「ヤバくない?」
「ヤバイよ。ホントに。どうしたらいいんだ?」
みんな頭を抱え込んでしまった。でもいい案も思いつかない。悩む。
「発信元GPSなんかで追えないかな?電波が出てたら分かるんじゃないか?」
「パソコンがないとダメだよ。」
「ノートパソコンなら持ってるぞ!」
同僚の一人が鞄からノートパソコンを出して見せた。
「どうやるんだ?警察でもあるまいし、分かんないぞ?」
「そ、そうだ。検索かけたら?ヒットしないか?」
「やってみるよ。」
そう言ってノートパソコンをいじり出した同僚は必死になって調べ方を検索する。するとようやくそれらしいものにヒットした。
その方法通りにしていったら先輩の携帯番号を入力するページになり入力したら【該当番号は表示されません。】とでた。なんで?再度やり直してみたが結果は同じだった。もしかして異次元の世界に行っちまったのか?皆の顔が真っ青になる。僕も真っ青だ。元々の言い出しっぺは僕だからまさかこんなことになるなんて思いもしなかった。
その日はもうどうすることもできないので、とりあえず警察に行方不明の届けを出した。でも家族じゃないから受理はされなかったけどね。
そしたらさ、朝一の電車に先輩が乗って帰ってきたのを同僚から聞いた。慌ててみんなで先輩のもとに行ったよ。ほんとに無事だったんだ…。
良かったと皆が安堵の顔になる。
けど先輩の顔色は悪い。
「先輩、どうかしましたか?」
「お前か…、お前のせいで俺は俺は…。ガクガク。」
先輩が怯えている。あの電車でなにがあったのかは知らない。ただ聞かない方がいい気がしたのは事実。
だからこの話はもうおしまいにしようということになった。
誰一人として異論を唱える者はいなかった。
先輩は結局どこへ行ったのだろうか?…。謎だ。