教育現場にいる大人は、
子どものエゲツない発言に
心を揺さぶられます。
教育現場にいる大人とは、
親、教師、不登校支援者などです。
エゲツない発言とは何か
というと、
ズバリ、お金です。
例えば、まなポートでも
サービスを受けている子どもが、
「このサービスは無料にしろ」
と言ったり、
「お金をやるからルールを変えろ」
と言ったり。
私も、当初は、とても驚きました。
「子どもって、こんなこと言うの?」と。
だって、まるで
海外のロビイストのようではないですか。
そこで、なぜ子どもが、
こんなにもお金を絶対視するのか
考えてみました。
最初に思ったのは、
親の影響?です。
仮にそうだとして、親はなぜ、
お金を絶対視するのか?
私は、そこが分からずに
モヤモヤしていました。
そんな中、最近出会った本に
答えがありました。
それがこちらです。
小室直樹 著
「痛快!憲法学」
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この本によると、
日本は、「急性アノミー」に陥っています。
アノミーとは、社会の病気です。
この説を唱えたのは、
フランスの社会学者デュルケムです。
社会がアノミーに陥ると、
人は連帯を失い、
無気力・無秩序になります。
私見ですが、
学級崩壊もその一例でしょう。
不登校についても、
原因の43.6%が無気力
とされています。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1349956.htm
そもそも、我々の社会は
権威を必要とします。
なぜなら、
権威は規範を定めるからです。
権威の例としては、
キリスト教社会における神です。
「絶対なる神のもとに人は平等である」
という教えは
キリスト教の根本にあります。
だから、キリスト教社会では
信仰を同じくする者同士の連帯と
規範が生まれます。
一方、日本は、
キリスト教社会ではありません。
だから、明治時代、
近代化するにあたって
「神」の役割が必要となります。
英米に対抗しうる近代国家を作るためです。
そのため、当時の日本政府は「神」の役割を天皇に求めました。
そうしてできたのが、国家神道です。
ところが太平洋戦争へ突入し、敗戦。
敗戦後、GHQにより、日本の新憲法が作られました。
その流れの中で、
戦時中には神であった天皇が
人間宣言をします。
ここに、日本人は、
権威を失いました。
ここから日本の急性アノミーは
始まったといいます。
これを予見してか、三島由紀夫は
天皇の人間宣言に抗議し、
市ヶ谷の自衛隊駐屯地で
割腹自殺をします。
天皇という権威をなくした日本国民は、
規範をなくしました。
その結果、
お金だけを追い求めるようになります。
なぜなら、お金は数値化できて
明確な指標になり得るからです。
以下に、同著から本文を引用します。
(引用開始)
損得勘定を超えたところからモラルが始まるのに、損得だけでは、子どもは父親を権威とは思わない。
そして、母親もまた父親と同じように「いい成績を取れば、いい生活ができる」としか言わない。かくして、子どもたちは両親を尊敬しなくなった。
(引用終了)
両親さえ尊敬しないのですから、
子どもにとってサービス提供者や生産者は
大切なお金を奪っていく
存在でしかありません。
子どもにとって、
お金はサービスと等価交換するものではなく
増える一方なのが嬉しいわけです。
お金が唯一絶対の指標ですから。
ここまでの話をまとめると、
子どもがお金を絶対視するようになった原因は、新憲法にある、というのが小室先生の主張です。
私の見解としては、
いったんこの仮説をもとに
思考を進めていこうと思います。
急性アノミーにある日本社会で、
私たちはどう子育てしていけばいいのか?
そのヒントが同著の中に、あります。
日本国憲法を殺したのは
日本国民である
という点です。
憲法に無関心な日本国民が
憲法の崩壊を招いたのです。
であるならば、まずは私たち親が
憲法を学ぶこと。
学んで、現状を知るのです。
私も、憲法問題は、
さらに掘り下げて考えていきたいと思います。