東日本巨大地震の津波、米西海岸にも
National Geographic News
March 14, 2011
3月11日に日本を襲った東北地方太平洋沖地震により発生した津波は太平洋岸の各地に波及
した。ハワイ州では浸水の被害が出たほか、米国本土でも北西部やカリフォルニア州の太平洋岸
に津波警報・注意報が発令された。
日本時間3月11日午後2時46分、マグニチュード8.9(USGS発表値)の巨大地震が日本で発生
した。東京の北東の海中を走り、太平洋プレートが北アメリカプレートに潜り込む日本海溝沿いが
震源となった。1900年以降、記録に残るものとしては5番目の大きさとなる巨大な地震だったと、
アメリカ地質調査所(USGS)は伝えている。
日本での地震発生から7時間後、津波の第1波がハワイに到達し、その高さはマウイ島やハワイ島
では最高で2~3メートルに達したと報じられている。AP 通信は、ハワイ島ケアラケクア湾沿いの
ホテルでロビーが浸水する被害があったと伝えたが、全体的に見れば被害は小規模なものに
とどまっている。
アメリカ本土では、津波は現地時間3月11日午前7時15分(日本時間12日午前0時15分)前後に、
まずオレゴン州北部の海岸に到達すると予測されていた。テレビ報道によると、実際に津波が最初
に到達したのは同州南部の海岸で、到達時刻は午前7時48分だった。
オレゴン州の海岸に到達した津波は比較的小さく、テレビを見る限り高さ90~120センチに
とどまった模様だ。日本で宮城県名取市を襲った津波とは違い、白い泡を吹く壁のような波が
押し寄せることはなかった。オレゴン州では、今回の津波は10~15分おきに寄せては引く、潮流
に近いものだった。
アメリカ西海岸で津波の影響が出たのはオレゴン州より南方のカリフォルニア州で、港湾や船舶
が被害を受けた。
カリフォルニア州北部の港町クレセントシティーでは、「港湾施設が被害を受けた」と、同市の
リッチ・エネア議員が地元の「タイムズスタンダード」紙に語っている。同紙の記事によれば市の
港が被害を受けたほか、35台の船舶が破損したという。
ただし、報道を見る限り、全体的にカリフォルニア州はおおむね津波の被害を逃れたと言える
ようだ。
イリノイ州エバンストンにあるノースウェスタン大学の地球物理学者セス・スタイン氏によれば、
今回の津波はアメリカでは比較的小規模に終わったものの、その高さは到達地点によって多少
異なっていたという。「この違いは、その地域の海底地形(の影響)によるものだ。港によって、
高い津波に見舞われたところと、低い津波で済んだところがある」。
例えば、一見浸水被害を受けやすいようにも思える遠浅の海岸の多くはゆるやかに傾斜しており、
これが陸地に押し寄せる津波の勢いをそらせ、弱めるため、逆に浸水被害を小さくする効果がある
と、オレゴン州立大学にあるアクティブテクトニクス海底マッピング研究所(Active Tectonics and
Seafloor Mapping Laboratory)に所属する地球物理学者クリス・ゴールドフィンガー氏は解説して
いる。メールで取材に応えた同氏によれば、逆に「周辺の海底地形によって、津波が増幅される
場所もある」という。
一方、スタイン氏は、より大きなスケールで見ると、日本からやってきた津波には「長距離移動に
伴う影響もある」と指摘し、「波が海底地形によって1カ所に集められる場合もある」と述べている。
(>>2以降に続く)
National Geographic News
March 14, 2011
3月11日に日本を襲った東北地方太平洋沖地震により発生した津波は太平洋岸の各地に波及
した。ハワイ州では浸水の被害が出たほか、米国本土でも北西部やカリフォルニア州の太平洋岸
に津波警報・注意報が発令された。
日本時間3月11日午後2時46分、マグニチュード8.9(USGS発表値)の巨大地震が日本で発生
した。東京の北東の海中を走り、太平洋プレートが北アメリカプレートに潜り込む日本海溝沿いが
震源となった。1900年以降、記録に残るものとしては5番目の大きさとなる巨大な地震だったと、
アメリカ地質調査所(USGS)は伝えている。
日本での地震発生から7時間後、津波の第1波がハワイに到達し、その高さはマウイ島やハワイ島
では最高で2~3メートルに達したと報じられている。AP 通信は、ハワイ島ケアラケクア湾沿いの
ホテルでロビーが浸水する被害があったと伝えたが、全体的に見れば被害は小規模なものに
とどまっている。
アメリカ本土では、津波は現地時間3月11日午前7時15分(日本時間12日午前0時15分)前後に、
まずオレゴン州北部の海岸に到達すると予測されていた。テレビ報道によると、実際に津波が最初
に到達したのは同州南部の海岸で、到達時刻は午前7時48分だった。
オレゴン州の海岸に到達した津波は比較的小さく、テレビを見る限り高さ90~120センチに
とどまった模様だ。日本で宮城県名取市を襲った津波とは違い、白い泡を吹く壁のような波が
押し寄せることはなかった。オレゴン州では、今回の津波は10~15分おきに寄せては引く、潮流
に近いものだった。
アメリカ西海岸で津波の影響が出たのはオレゴン州より南方のカリフォルニア州で、港湾や船舶
が被害を受けた。
カリフォルニア州北部の港町クレセントシティーでは、「港湾施設が被害を受けた」と、同市の
リッチ・エネア議員が地元の「タイムズスタンダード」紙に語っている。同紙の記事によれば市の
港が被害を受けたほか、35台の船舶が破損したという。
ただし、報道を見る限り、全体的にカリフォルニア州はおおむね津波の被害を逃れたと言える
ようだ。
イリノイ州エバンストンにあるノースウェスタン大学の地球物理学者セス・スタイン氏によれば、
今回の津波はアメリカでは比較的小規模に終わったものの、その高さは到達地点によって多少
異なっていたという。「この違いは、その地域の海底地形(の影響)によるものだ。港によって、
高い津波に見舞われたところと、低い津波で済んだところがある」。
例えば、一見浸水被害を受けやすいようにも思える遠浅の海岸の多くはゆるやかに傾斜しており、
これが陸地に押し寄せる津波の勢いをそらせ、弱めるため、逆に浸水被害を小さくする効果がある
と、オレゴン州立大学にあるアクティブテクトニクス海底マッピング研究所(Active Tectonics and
Seafloor Mapping Laboratory)に所属する地球物理学者クリス・ゴールドフィンガー氏は解説して
いる。メールで取材に応えた同氏によれば、逆に「周辺の海底地形によって、津波が増幅される
場所もある」という。
一方、スタイン氏は、より大きなスケールで見ると、日本からやってきた津波には「長距離移動に
伴う影響もある」と指摘し、「波が海底地形によって1カ所に集められる場合もある」と述べている。
(>>2以降に続く)