お兄ちゃんはお母さんが亡くなった悲しみを抱えながらも高校受験をし、無事に高校進学しました。


高校に入学し、ある日の昼休みにお弁当を食べてた隣の女の子達の中のひとりが

『何でうちのばばぁはきらいだって言ってるのにいつも同じものいれてくんだよ!

こんなまずいもん食えないわ腹立つ!

誰か食べてくんない』

と言った瞬間にお兄ちゃんは立ち上がり、

『お前はいつも朝早く起きて弁当作ってくれてるお母さんに対して感謝の一つもねえのかよっ、毎日毎日お母さんが作ってくれる事がどれだけありがたい事なのかわからないのかお前!!俺なんてなぁ..俺なんて...』言葉がそれ以上出なかった。


隣の女の子は突然の事で泣き出し、騒ぎを聞いた先生が駆けつけて突然怒り出し、怒鳴りつけたお兄ちゃんをしかりました。


怒り出した理由を先生は問いただしたけれどお兄ちゃんは何も言わなかったそうです。


お父さんに学校から連絡がいき、息子さんが情緒不安定になり突然隣の女の子を怒鳴りつけ泣かせてしまったので今日は帰らせますので迎えに来て下さいと連絡がいきました。


お父さんも突然の事にお兄ちゃんがどうしたのかわからないまま、不安を抱えながら学校に向かったそうです。


帰りの車で下を向きうつむいてるお兄ちゃんにお父さんは話かけました。


『今日の昼休みに嫌なことでもあったか?

話せるなら聞かせてほしいなぁ』

 

お兄ちゃんは声を振り絞りながら

『あいつのお母さんが作ってくれてる弁当を、まずいとか、誰か食べてくれとか。

お母さんが生きていてくれてるだけで幸せなのに。

俺なんてさぁ...』


隣でずっとお兄ちゃんは下を向きながら泣いていました。


母親が亡くなった時も妹を気遣いあまり涙を見せなかった息子がとなりで大粒の涙をながしている姿をみて、ずっと辛かったんだなぁ、さみしかったんだなぁ、無理して気丈に振る舞ってきたんだなってお父さんは息子の姿を見て感じたそうです。


お父さんはお兄ちゃんに

『今日さ、学校にお前迎えに行ったら担任の先生に父さん怒られたわ。

でもな、父さん理由がいまいちわからないから息子と話をしてから判断したいって先生に言って帰ってきたんだよ。

父さんは先生にあやまらなくてほんと良かったわ!

さすがお前は父さんと母さんの息子だなぁ。

父さんは安心したよ。

今日はなんか気分が良いからお前が好きなラーメンでも食べに行くかっ!』

と言って隣で泣いてる息子の頭を優しく撫でました。


お兄ちゃんは泣きながらも少し笑顔でうなずきお兄ちゃんがだいすきなラーメン屋にラーメンを食べに行ったそうです。


それからはその話はしなかったが、お父さんは心の中で、亡くなった奥さんにこんなに優しく人の心がわかる子にしてくれてありがとうなと感謝をしたと言っていました。


全力で子供達を守り、誰よりも子供達を信じるお父さんの愛情に聞いていた私も感動しながらこの話を聞かせていただいたのを覚えています。


お父さんは

『こんな親父なのにさぁ、子供達2人ともなんであんなに真面目で良い子に育ったかなぁ、不思議なもんだねぇ』

なんて笑いながら言ってたけど、そんなお父さんだからこそあんなに素晴らしい子供達に育ったんだって私は思います。


自慢の子供達の話を施術の時いつも幸せそうに話すお父さんが私は大好きです。


最後に、、、

先日娘さんの結婚式があったそうです。


結婚式でお母さんが亡くなってからお父さんがどれだけ子供達にお母さんの分まで愛情をかけて育ててくれたか、守ってくれたかを、感謝の気持ちをお父さんに伝えたそうです。


子供達の前で一度も涙を見せた事がなかったお父さんがはじめて子供達の前で号泣したそうです。


恥ずかしくて思い出したくないって照れていました。


お父さんの人柄が本当によくわかるエピソードでした。




もっともっとこのご家族の素晴らしい話はたくさんあるのですが、今回は私が感動した話を少し書かせて頂きました。


長文で失礼しましたが、最後まで読んで頂き本当にありがとうございました。