※ネタバレ満載です。
見どころは、とにかく人が死んでいくところ。それも、死ぬのは高校生。青春真っ盛り、未来ある若者たちが次々と命を落とす。マジ鬼畜。
主人公は高校教師。京都大学・ハーバード大学を経て(いずれも中退)大手投資銀行へ。輝かしい経歴を持つが、なぜか片田舎の高校へ赴任する。謎が多く、前歴の都立高校での事件に関わっているのではと、同僚の教師が疑いを持ち調べていくうちに……。
原作は貴志祐介。氏の出世作『黒い家』を読んだときには、怖ろしくて面白くて、しばらく氏の作品を追っていた。お気に入りは『天使の囀り』。蟲っぽさが最高にグロいい。
おそらく、原作は背景がずっと緻密に描かれており、主人公をはじめ一人ひとりが立体的でにおいまで感じられるだろう。現に映画でも、高校生の揺れ動く気持ちや背伸びをする様子、甘酸っぱい思いが丁寧に描写されている。それが、クライマックスの惨劇を、より強烈なものとしている。伏線もしっかりしている。見事だ。
もう何年も、書籍版を読もうと思っていたのだが、映画版を先に観てしまった。だが、悔いはない。映画を観て、書籍版はもっと面白いと確信した。もしかしたら、映画版の先も描かれているかもしれない(映画版は途中の可能性がある)。近いうちに読もう。
映画版で描かれているストーリーは、それほど目新しいとは感じなかった。まあ、上下巻あわせて850ページあまりの原作を、2時間程度に圧縮するのだから、おそらく画面映えするよう上澄みを掬ったのだろう。つまり、サイコキラーの部分だ。そういう意味では、悪くない作品だったと思う。
実際に手を下した場面は、娘がいじめられていると怒鳴り込む保護者にはじまり(放火による焼死)、女生徒との密会を目撃した生徒(ナイフでぶっすり)、主人公を怪しむ教師(他の乗客もいる電車内で首吊り)、疑惑を深めた生徒(ハンダゴテで体を蜂の巣)などなど実に手際よく実行している。
事前準備もぬかりない。生徒と関係を持った同僚を脅し武器を手に入れ、手なづけた女生徒から裏掲示板のIDとパスワードを聞き出し、学校中に盗聴器を仕掛け、妨害電波で携帯を不通にし、自分に疑いがかからないよう手はずを整える。高い知能と冷静さは、サイコキラーの大きな特徴だ。監督は三池崇史。全体的に三池っぽさは散見されるが、特に主人公の過去を紐解く場面はさすが。ゴアファンも納得するいい仕事。
伊藤英明、山田孝之、吹越満ら出演者もハマっている。
クライマックスは散弾銃の乱れ撃ち。クラスメイト40人が片っ端から撃ち殺される。まるで、新しく発売された銃の試し打ちのようだ。虫けらもここまではないわ、というほどバコバコと殺られる。爽快……ではない。相手が高校生だからだ。なんの罪もない高校生。明日開催の文化祭の準備で、徹夜していたところを襲われた。楽しい思い出になるはずだった一夜が、あっという間に人生最後の思い出になる。しかも計り知れないほどの恐怖とともに。何も知らず最初に殺されたバンドメンバーは、むしろ幸せだったのでは? と思えるほど。私は、彼らと年齢の近い子どもがいる。それもあってノリ切れなかった。ツラいわ。
あの、アーチェリー部の男の子、ヒーローになるんじゃなかったの? 三池監督(原作者?)、鬼畜です。
散弾銃で撃たれて吹き飛ぶ描写は、かなりツボ。ここでも監督、いい仕事。
深みは薄いが、ロックな和製スラッシャーを観たいなら、強くオススメできる本作。なんか疲れたなーという夜にぜひ。