昨年亡くなった、藤圭子への沢木耕太郎の
ロングインタヴュー。
「流星ひとつ」 沢木耕太郎著
ただし、インタヴューはなんと33年前の事。
地の文は全くなく、すべて会話のみ。
自死という衝撃的な最期をとげた彼女がまだ20代の
引退直前に行われた。
その後、出版されることなく封印されていたものを
昨年発表。
スキャンダル的な事はさておいて、藤圭子という人の
とってもまっすぐで潔い生き方が際立つ言葉でいっぱい。
こんなに純粋な人では、芸能界みたいな所って
とっても生きにくかっただろうなという感想。
その為に引退したのに、その後の彼女の人生に
何があったのだろう。
自身も歌の天才であり、娘・宇多田ヒカルをも
生み出したというのに。
感覚の鋭い天才たちにとって、この世の中を
生きぬいてゆくのは至難の業なのか。
それでも、このインタヴューには輝くばかりの
前途を持ったまだまだ若い女の人の姿がある。
作者も書いているように、その美しい一瞬を
切り取ったかのよう。
当時は彼女の引退を利用するみたいに思って
出版をやめたとあったが、このタイミングで発表
するのって、その死を前提として残してあったような
暗示的なものも感じる。
「圭子の夢は夜ひらく」はいいねぇ~、「命預けます」も好きうまかったなぁ!