紹介をしましたが、今回は…、
①「主人公に負けないキャラクターになったヒーロー」や、
②「ユージーン(フリン)の心境変化と表情変化の密接な結びつき」
といった内容の一部を紹介しましょう。
…っていうか①の半分も書けてませんが
※ かなり作品内容に触れています。作品閲覧前の人はどうぞご注意を…
この先の閲覧は、自己責任でお願いいたします。
まず、始めに…
①「主人公に負けないキャラクターになったヒーロー」の方から一つ。
この物語の「語り(ナレーション)」が、
フリン・ライダー(ユージーン)であるという事に着目しましょう。
「なんか関係するのか?」
大ありです
ディズニー作品は、「塔の上のラプンツェル」に限らず、様々な
長編アニメーションにおいて、
「語り(ナレーション)」で話が語られるものが多々あります。
ですが、これにはパターンがあり、大まかに…
「1. ナレーターが語る」
「2. 作中のキャラクターが語る」
が挙げられます。
ここで挙げる「1. ナレーターが語る」というのは、いわゆる「天の声」的な…
つまりは、キャラクター等ではなく、「お母さんが読み聞かせしてくれる」
のと同様に、「誰かの声」で語られる話の事です。
この「誰かの声」は、男性であったり、女性であったりし、
一律ではない事を付け加えましょう。
例として、「白雪姫」、「シンデレラ」、「眠れる森の美女」、「王様の剣」、
「コルドロン」、「美女と野獣」、「魔法にかけられて」等があります。
(ちょっとレアな作品込みですみません…)
続いて、「2. 作中のキャラクターが語る」という方は、
勿論、作品の中にいるキャラクターが語るという事です。
「塔の上のラプンツェル」は、こちらにあたります。
この作品を語るキャラクターは、ほぼサブキャラクターが多いのですが、
サブといっても重要なキャラクターや、印象に残るキャラクターが
ほとんどを占めます。
サブキャラが語る例として、
○ 「ピノキオ」のジミニークリケット。
↑ ピノキオの本の前で、ジミニーが挿入歌「星に願いを」を歌う所から、
作品は始まります。物語の登場人物である彼が、本の外から私達を
作品の世界に引き込んでくれます。
【言わずと知れたコオロギ。ピノキオの良心をかってでる。冒頭では素適な歌声を披露してます。物語の外{※1 いわゆる、本編冒頭に出てくる実写〔もしくは描かれた〕本のシーン等、物語の内容を説明するシーン(説明がしづらい表現方につき、意味不明な文章です…)に出ている事}から中に誘う様に語りは始まります。物語というより体験談としての語り方が特徴。語り進行は、ほぼ冒頭シーンのみ。】
○ 「ロビンフッド」のアラナデール。
↑ この本の右ページ、左上の鶏が噂の彼、アラナデールです。
↑ こんな風に、「Once apon a time,(※昔々の意)」Oの文字に乗ったりします(笑)
【吟遊詩人の鶏。歌や口笛が達者で、ロビン・フッドの物語本の挿絵から登場。自然に動き出し、軽快な歌で語りは始まります。やがて作品の登場人物として物語に絡みつつも、同時に語りを繰り広げる、語り部としては異色な存在。】
○ 「ノートルダムの鐘」のクロパン。
↑ 自らが動かす”パペット”と息のあった絶妙なトークで、
ノートルダム寺院の鐘衝きであるカジモドの話を始める、狂言回しクロパン。
【ジプシーの男。冒頭シーンでは、ノートルダム寺院の近くで、パペットと巧みな歌で、子ども達に主人公、カジモドの悲しい出生を語ります。上記、アラナデール同様、異色で不思議なキャラクター。出番はそう多くはありませんが、挿入歌「トプシー・ターヴィー」は、彼のハイライトシーンの一つ。】
○ 「ヘラクレス」のミューズ5人衆。
↑ 冒頭シーン、現代の美術館の展示品である「ギリシャの壺」に居る
ミューズ達。
↑ この個性的なミューズ達は、壷から抜け出し、冒頭以外にも様々なシーンで
自慢の美しいゴスペルを披露し、話を盛り上げていきます。
【ミューズは芸術の女神たち。美しいゴスペルを歌いながら、最高にスタイリッシュな英雄神話を語ってくれます。語り部が女性で、更に複数人という、かなり珍しいパターン。(上記の通り、語り部は男性が多い)】
珍しい例では、主役自ら語る場合も…
○ 「ラマになった王様」の主人公クスコ(ラマ)。
↑ これが「ラマ」になってしまった王様、クスコ。
彼は自分でこの状態を「負け犬」と称しました(笑)
↑ こっちが、王様時の「やりたい放題、ワガママ放題」状態のクスコ。
勿論、こっちの状態を彼は「勝者」と決定づけました(笑)
【超絶ワガママな南米の国の王様。”自分は被害者!”という勝手な理論で自分自信の”不幸な(?)”物語を語り始めます。途中で観客の閲覧妨害をしたりと、ハチャメチャな語り具合は、この作品を面白くするスパイスの一つ。】
この様に、作中キャラの語り(ナレーター)は作品を彩る上で、とても重要な役割であり、彼らの語りの巧みさによって、作品がより深く、より素晴らしくなるのです。
では、「塔の上のラプンツェル」に話を戻しましょう。
完成版では、フリン・ライダー(ユージーン)が語るところから始まります。
しかし、BD・DVDの特典映像にもありますが、元々のオープニングでは「白雪姫」や「シンデレラ」の様に、「1. ナレーターが語る」タイプの始まりを制作していたようです。いくつかパターンがありますが、この出だしを見ると、若干、「王様がゴーテルから強引に太陽の花を奪った」という印象が強く、これでは、善人側にも過失がある様に見えてしまいますし、淡々と語られるナレーションが、完成版と比べて劣る印象を受けました。
改めて、完成版を考えてみましょう。
森の奥深く、一本の木に貼られた「お尋ね者フリン・ライダー」の張り紙…から場面は始まり、クローズアップしていくと共に、語りがスタート。
「これは、俺がどうやって死んだかを描いた物語…。」
のっけから観客の度肝を抜くようなこの一言。
これを聞いた観客は「えっ!?」っとなり、
もうその瞬間に、この物語に興味が惹かれるわけです。その上、
「心配ないって!すっごく面白い話だし、それに、俺の話じゃないんだ。ラプンツェルっていう、女の子の話なんだ。」
という次のセリフがくる訳で。
このセリフも「昔々…」で語られる「童話」と違い、「友達の体験談」の様な感じで、
とても親近感が湧きます。
そうして、フリン・ライダー(ユージーン)による「親しみの湧く語り」…
ところどころのセリフを例に挙げると…
「重要人物だから」 「ほらね」 「気味悪いだろ?」
といった、彼独自の語りが展開していきます。
こうして、その語りを聞いていると
「なるほど、フリン・ライダーって、面白いキャラクターなんだな。」
と、自然に思うようになる訳なのです。
はい!すこぶる長くなってしまったので、今回は、ここまで!
次の”魅力☆”も、ユージーンをしつこく解析していきましょう!
それでは!
See You Next Time!