先日、つげ櫛の職人に会いに行く話をしました。その続きです。
これまでの話はこちら↓
購入するものを決めて、清算もして、最後にお手入れの方法を確認しました。
私がインターネットで調べたら、いくつかヒットした方法は概ねこんな手順でした。
1.好みのオイル(一般的には椿油が多い)に数時間浸ける
2.使い古しの歯ブラシなどで櫛の間に溜まった汚れを掻き出す
3.余分な油を拭き取り、油を馴染ませる(私は一晩置いていた)
「私が調べたらこんな感じでしたがらこれで合ってますか?」
全部言い終えるか終えないかで、奥様から笑い声が響きました。
「浸けたりなんかしたら1年もたずに壊れるわよ。実際、自分で試してみたら半年で欠けたわ」
つげにしろイスにしろ、とにかく硬い材質であるわけですが、どっぷり浸けたところでそう簡単に浸透しないし、
ヒタヒタに漬け込むとかえって歯が弱くなり、折れやすくなるらしいです。
手のひらに少しオイルを垂らして、それを櫛に馴染ませればそれでよいとおっしゃってました。
汚れてきたら、つまようじにオイルを含ませ、それで汚れを掻き出せばよいとのこと。
私が持ってるのと同じ椿油(大島椿の油)を使ってらして、そこだけは間違ってなかったのだとホッとしました(笑)
今まで一度にかなり使ってましたが、だいぶ節約できるんですから、これは助かります。
(大島椿の油はドラッグストアでも買えますが、恐らく良質であるが故にけして安価ではない)
「これは私が何年か使ったものだけど」と言って見せてくださった櫛は、丁寧にお手入れされてつやつやのあめ色に輝いていました。
まさに私の理想!!思わず「こっちください!」と言いたくなる素晴らしい色でした。
お邪魔してからおいとまするまでだいたい1時間程度でしたが、ご主人も奥様も本当に気さくで優しい方でした。
「こんなことも分からないの?」と言われてもおかしくないようなど素人の質問にも全て丁寧に答えてくださいましたし、
ご主人なんて私たちがじっくり選べるようにと娘の遊び相手までしてくださいました。
最初は場所見知りで固まっていた娘も、途中からご主人とのおままごと遊びに大喜びでした。
櫛は、丁寧に使えば20年ぐらい使えるそうです。
そう頻繁に買い換えるものではありませんから、なかなかお会いする機会もないでしょうが、またお会いしたいと思わせる素敵なお人柄の御夫婦でした。
ちなみに、早速使ってみました。
見るのと使うのとでは大違いで、買ったそれは確かに毎日ガシガシ使うにはちょっと小振りだなと感じました。
やっぱりプロの言うことは聞いとくもんだ。でも、ご神木でできたこれを買ったことには本当に大満足です。
既に、もう1つ欲しいなんて思ってることは内緒です(笑)
最後になりましたが、御夫婦から許可をいただいたので連絡先を載せておきます。
お名前:松山順一
ご住所:浜松市中区元目町123―1
電話番号:053―454―0702
以前も書きましたが、看板も立っていないご自宅兼工房です。
一度アポイントをとってからお伺いするのがベストです。
丁寧で素晴らしいお仕事を垣間見ることができるとても貴重な時間と、そうして生み出された素晴らしい作品を得ることができる素晴らしい経験をお約束します。