風邪は苦行

人の幸福感は相対的なものである。
相対とは、何かと比較して測ることだ。

自分が幸せかどうかは、
何かと比較してしか判らない。
過去と比較するか、他人と比較するかだ。

絶対的な幸福感が
仏教の目指すところだが、
そこまでたどり着く者はなかなかいない。

だから幸福感を得るためには
相対的な幸福を体験するしかない。

三日も食べなかったら、
普通に食べることのできる幸せを感じるが、
毎日普通に食べたいたら、
食べることの幸せすら感じられない。
食べることの幸せを感じたいなら
時折、断食したほうがいい。

板の間に一日中正座させられたら、
椅子に腰掛けることがいかに幸せか分かる。
日常生活の幸せを感じたいなら、
時折、拘束された苦しい修行をしたほうがいい。

行脚の旅でも、登山でも、野宿でもいい。
不便で辛い体験なら何でもいい。

人は時折、計画的に苦行することで、
大きな幸せを感じることができるのだが、
自ら苦行を実行できない人もいる。
そういう人のために
天が用意してくれたのが風邪だ。

誰でも風邪をひけば、
日ごろの健康がいかに幸せだったか
身にしみて感じる。


【 田岡語録 著者 田岡將好 発行所 エイチエス株式会社 】より抜粋

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数日間、喉の調子が良くなく身体の節々が軋んだ。
改めて、健康であることの有り難さに気付かされる。
気にかけてくれる家族の有り難さに気付かされる。
食べることのできる幸せ、
一人で排泄できる幸せに気付かされる。