障がいの重かった私の息子は

 

危険の認識ができないので、絶えず見守りが必要でした。

 

発声はあっても発語がなかったので

 

会話を交わすことも叶いませんでした。

 

そんな息子だけれど

 

「笑顔」だけは誰にも負けない!!

 

笑顔が自慢の子でした。

 

 

母親の私がこう言うのも何ですけれど…

 

慈愛に満ちたと穏やかで大きなその笑顔は

 

まさしく観音様のようでもありました。

 

人を惹きつける

 

独特の不思議なオーラが漂っていたように思います。

 


 

 

自分の気のまま、思いのまま

 

自由に行動しているように見えていたけれど

 

トシちゃんは、ちゃんと自分の障がいのことがわかっていて

 

まわりの人たちにいつも気兼ねしながら行動していたこと

 

お母さんはわかっていたよ。

 

おおらかな見かけと違って、繊細な心のトシちゃん

 

障がいの重いあなたにとっては、

 

本当に生き辛くて、怖い世の中だったと思います。

 

 

 

私にとっても、障がいの子の育児は

 

悩んで、落ち込んで、泣きわめいて、恥をかいて…

 

一筋縄ではいかないことばかりでした。

 

でも、子育ては親育て

 

トシちゃんはそんな私を、親として、人として

 

成長させてくれたと思います。

 

そしてまた

 

トシちゃんは多くの人とのご縁を繋いでくれました。

 

本当にいろんなことを経験させてもらったり

 

教えてもらったりしたのは、むしろ私のほうです。

 

トシちゃん、ほんとにありがとうハート

 

 

 

 

何をするにも人の手助けが必要なトシちゃんのために

 

お母さんは100歳までも元気に生きてトシを守る!

 

そう心に誓っていました。

 

そして、歳をとりすぎて、

 

いつか自分で歩くことが出来なくなってしまったら

 

トシちゃんに車いすを押してもらうのがお母さんの夢でした。

 

力持ちのトシちゃんが車いすをズンズン押して

 

今度はお母さんがトシにいろんな場所に連れて行ってもらう!!

 

そんな日を迎えるのが夢でした。

 

 

 

だけどもう、その夢はず~っと夢のままです。

 

 

あなたがいない今

 

お母さんは、何を指針に生きていけばいいのかわかりません。

 

 

「これからは、今までやれなかったことをしてください」

 

ある人からの手紙にはそう書いてありましたが

 

今までやれなかったことって何なんだろう?

 

そんな事さえも何も思い浮かびません。

 

これから私は、どう生きていけばいいのか

 

それがわかりません。

 

 

 

トシちゃん

 

しあわせになるために産まれてきた

 

あなたはしあわせでしたか?

 

こんな頼りないお母さんでも

 

お母さんの子どもに生まれて、しあわせでしたか?