あいりは、3才。
元気いっぱい。
でも…
一つだけ、心配な事が…
それは…
カエルのようにふくらんだ、ママのお腹。
中に、赤ちゃんがいるんだって。
「健一君」っていうの。
みんな言うよ。
「あいりちゃん、おめでとう!おとうとができたのネ」って…
「おとうとって、そんなに、いいものなの?」
やがて…
無事、健一君が生まれ…
ママの入院中、
あいりは、おばあちゃんの家へ預けられました。
あいりは、頑張りました。
大嫌いな、ブロッコリーも食べました。
夜中、眠れなくても、お布団の中で、じっとしてました。
だって、ママとパパが、
「いい子にしててネ」って、言ったから。
けど…
本当は…
寂しくて…心細くて…
だって…
パパとママとあいりは、
これまで、いつも、一緒だったから。
ママは、無事、退院し…
また、いつも通りの生活が始まりました。
でも…
なんか変。
お客さんが来ると、
前は…
「あいりちゃん、大きくなったネ」って、
みんな、優しくしてくれたのに…
今は…
みんな、あいりの事に気がつかないみたい。
みんな、健ちゃんに夢中なの。
健ちゃんは…
ちっちゃくて、かわいい。
でも…
真っ赤な顔をして、いつも、泣いてばかり。
「あいり、いい子にしてたから、ご褒美だよ!」
パパが、プレゼントをくれた。
ワ~い!欲しかった、シルバニアのお家だ!
「ママ、見て!」
でも…
ママは、あいりに、気づかない。
健ちゃんを抱いて、優しく、微笑みかけている。
なんだか、シルバニアのお家が、色褪せて見える。
「ママと遊びたかったのに…」
「こんなのいらない!」
あいりは、
買ってもらったばかりの、シルバニアのお家を蹴りました。
「あいり!!」
ママが、怒鳴りました。
「どうせ、あいりなんか、かわいくないモン!」
あいりは、ワーッと泣いて、寝室へ駆け込みました。
「もう少し、あいりをかまってやりなよ!」
「だって、私、手一杯なのよ!」
パパとママが、喧嘩しています。
翌日…
ママは、熱を出してしまいました。
おでこにタオルをのせて、苦しそうです。
健ちゃんが泣いています。
いつものように、ママがすぐに来ないので、
健ちゃんの泣き方は、激しくなってきました。
顔が、赤から紫色になって…
今にも、息が止まりそうです。
どうしよう…健ちゃんが死んじゃう!
でも、大丈夫。
ママは、ふらふらしながらも、
健ちゃんの世話を始めました。
あいりは…
今度は…
ママが死んじゃうんじゃないかと心配です。
健ちゃんのオムツを取りに行ったり、
着替えを、洗濯カゴに入れたり、
一生懸命、手伝います。
健ちゃんが、すやすやと寝たので、
ママも、休みます。
あいりは、
疲れているママのために…
何か、自分にできる事を考えます。
「そうだ!」
あいりは、冷蔵庫を開けました。
そして、あいりのために買ってあるプリンを、ママにあげる事にしました。
たった一個しかないプリン。
あいりが何より好きなプリン。
だけど…
ママが、喜んでくれたら…
自分が食べるより、嬉しい!
「ママ、プリン、どうぞ!」
ママは…
一瞬で、あいりの気持ちを理解しました。
そして…
あいりを抱きしめました。
「あいりちゃん…大好きな気持ちは、減ったりしないんだよ。それどころか、たくさん、たくさん、どんどん、どんどん、増えて行くものなんだよ」
カチャ
音がしました。
パパが帰ってきました。
あいりは、
玄関へ走って行き、
パパに飛びつきます。
あいりは、
小さなもみじのような両手を、自分の胸にあてて…
「パパ、ほら、ここが、ぽっかぽかなんだよ!パパとママとあいりと健ちゃんと…いつでも、ぽっかぽかなんだよ!」
元気いっぱい。
でも…
一つだけ、心配な事が…
それは…
カエルのようにふくらんだ、ママのお腹。
中に、赤ちゃんがいるんだって。
「健一君」っていうの。
みんな言うよ。
「あいりちゃん、おめでとう!おとうとができたのネ」って…
「おとうとって、そんなに、いいものなの?」
やがて…
無事、健一君が生まれ…
ママの入院中、
あいりは、おばあちゃんの家へ預けられました。
あいりは、頑張りました。
大嫌いな、ブロッコリーも食べました。
夜中、眠れなくても、お布団の中で、じっとしてました。
だって、ママとパパが、
「いい子にしててネ」って、言ったから。
けど…
本当は…
寂しくて…心細くて…
だって…
パパとママとあいりは、
これまで、いつも、一緒だったから。
ママは、無事、退院し…
また、いつも通りの生活が始まりました。
でも…
なんか変。
お客さんが来ると、
前は…
「あいりちゃん、大きくなったネ」って、
みんな、優しくしてくれたのに…
今は…
みんな、あいりの事に気がつかないみたい。
みんな、健ちゃんに夢中なの。
健ちゃんは…
ちっちゃくて、かわいい。
でも…
真っ赤な顔をして、いつも、泣いてばかり。
「あいり、いい子にしてたから、ご褒美だよ!」
パパが、プレゼントをくれた。
ワ~い!欲しかった、シルバニアのお家だ!
「ママ、見て!」
でも…
ママは、あいりに、気づかない。
健ちゃんを抱いて、優しく、微笑みかけている。
なんだか、シルバニアのお家が、色褪せて見える。
「ママと遊びたかったのに…」
「こんなのいらない!」
あいりは、
買ってもらったばかりの、シルバニアのお家を蹴りました。
「あいり!!」
ママが、怒鳴りました。
「どうせ、あいりなんか、かわいくないモン!」
あいりは、ワーッと泣いて、寝室へ駆け込みました。
「もう少し、あいりをかまってやりなよ!」
「だって、私、手一杯なのよ!」
パパとママが、喧嘩しています。
翌日…
ママは、熱を出してしまいました。
おでこにタオルをのせて、苦しそうです。
健ちゃんが泣いています。
いつものように、ママがすぐに来ないので、
健ちゃんの泣き方は、激しくなってきました。
顔が、赤から紫色になって…
今にも、息が止まりそうです。
どうしよう…健ちゃんが死んじゃう!
でも、大丈夫。
ママは、ふらふらしながらも、
健ちゃんの世話を始めました。
あいりは…
今度は…
ママが死んじゃうんじゃないかと心配です。
健ちゃんのオムツを取りに行ったり、
着替えを、洗濯カゴに入れたり、
一生懸命、手伝います。
健ちゃんが、すやすやと寝たので、
ママも、休みます。
あいりは、
疲れているママのために…
何か、自分にできる事を考えます。
「そうだ!」
あいりは、冷蔵庫を開けました。
そして、あいりのために買ってあるプリンを、ママにあげる事にしました。
たった一個しかないプリン。
あいりが何より好きなプリン。
だけど…
ママが、喜んでくれたら…
自分が食べるより、嬉しい!
「ママ、プリン、どうぞ!」
ママは…
一瞬で、あいりの気持ちを理解しました。
そして…
あいりを抱きしめました。
「あいりちゃん…大好きな気持ちは、減ったりしないんだよ。それどころか、たくさん、たくさん、どんどん、どんどん、増えて行くものなんだよ」
カチャ
音がしました。
パパが帰ってきました。
あいりは、
玄関へ走って行き、
パパに飛びつきます。
あいりは、
小さなもみじのような両手を、自分の胸にあてて…
「パパ、ほら、ここが、ぽっかぽかなんだよ!パパとママとあいりと健ちゃんと…いつでも、ぽっかぽかなんだよ!」