×男は…
昨年度、授業料を免除されていた。

わずか、月¥45000ばかりの授業料を払わないのは、心苦しいが…
仕送りできないので、本当に、ありがたかった。

が…
今年度、免除は、取り消された。
我が家の悲惨な…?家庭状況に変化はないので…
考えられる理由は、ただ一つ…
「成績が下がった」

大学から送られてきた、昨年度の成績を見ると…
わずか50人程の学部生の中で…
席次、下から数えた方が、はやいじゃネ~か!
マッ、仕方ない。
×男は、もともと頭がいいわけでもなく…
要領の悪い、コツコツ型だ。
「免除停止」は、痛いが…
初めての一人暮らしで、勉強以外のたくさんの事を学べたと思う。

そんな内容を…
心打たれる文章…?にして、×男に、ラインしたが…
「既読」の文字と「ドラえもんが笑顔で空を飛んでる」スタンプが、返ってきただけだった。


さて…

その授業料半年分の引き落としの通知が、我が家の方に来たので、×男に電話した。

「引き落としのハガキが来たよ」
「払っといて」
「ない!」
「ヤッパ…?」
(わかってるくせに…)

私は、話題を変えて…
「今、何してたの?」
「夕飯の片付け」
「今日の夕飯は何?」
「唐揚げ」
「コンビニで買ってきてチンしたの?」
「違うよ、アレは割高!肉買ってきて自分で揚げた」
「エ~ッ!×男が『揚げ物』?危険過ぎる!」
「何言ってんだ、母ちゃん、毎週の化学実験の方が、よっぽど危険だぞ…それより…唐揚げが、焦げてるのに中が生なんだ。母ちゃんは『2度揚げ』ってのしてたの?」
「イヤ、それは、油の温度が高すぎたんだよ。それから、肉は、小さめに切った方がいいよ」
(エッヘン!主婦歴34年の母ちゃんに、何でも聞いてよ!)

「で…勉強の方は、どうよ?」
「ウン『量子力学』ってのが、意味わからん」
「量子力学って何?」
「量子力学を簡単に説明すると…〇×△◎☆▽…」
「…???…」
「つまり、シュレディンガー方程式を使って…〇×△◎☆▽…」
「アッ!×男、9時過ぎると、通話料かかるから、もう、電話切るワ」

しかし…

電話を切った後、私の胸は、チクリと痛んだ。

「何事も、毛嫌いするのはよくない」
「母として、孤独な…?息子の心に寄り添う努力をすべきではないのか?」

で…

「シュレディンガー方程式」をネットでひいてみたよ。

△x△p≧h/2

何…?コレ





裕子