「自閉症児」の母の気持ちは、わかっても…
「自閉症児」のきょうだいの気持ちは、わからない。

〇子、×男共に…
私が傷つく事を、おもんぱかってか…?
あまり、愚痴は言わなかった。

だいぶ、時が過ぎてから、
「あんな事があった」「こんな事もあった」
と聞いて…
「親だけでなく、きょうだいも大変だったんだ」
と、あらためて思った。


「障害者」のきょうだいがいると…
就職等で、あからさまな差別を受ける事はないにしても…
「結婚」が破談になった例は、まわりで、何人か知っている。

残酷なようだが…
私は、その事を、〇子が中学生の時に話した。

でも…
〇子は、意に介さなかった。
「△ちゃんの事で結婚をやめるような人、こっちからゴメンだ!」

×男は、喘息で体が弱かったため、私はいつも…
「勉強なんかしてないで、外で遊んでいらっしゃい!」
「勉強なんかしてないで、早く寝なさい!」
当然、学校の成績はふるわない。

そんな×男が、高校受験をひかえ、突然…
「オレ、ヤッパ、大学へ行こうと思う。どうせ行くなら、トップを目指す!母ちゃんの所でDNAが変異を起こしダメになった形跡はあるが…T大出身の先祖の血がオレにも流れているんだから、権利はある」
「ドッ、ド~したの?×ちゃん!」
「………」
沈黙の後、×男は言った。
「だって…△ちゃんのめんどうは、将来、オレがみるんでしょう?オレみたいな取り柄のないヤツは…勉強頑張って、いい会社に入るしか道がないじゃん」

きょうだいであっても…
それぞれが、別の人生
親亡き後の、△男の生活は「福祉制度」というサポートがある事を、もっと早く、×男に説明しておくべきだったと、申し訳なく思った。


△男の事だけでなく…
「私の闘病」…「経済面」…

〇子、×男には、過酷な家庭環境で…
申し訳なかったと思う。

でも…

屁理屈かもしれないけど…

「苦労こそが、君達の財産」
とも、思っている。

だって…

社会へ出れば…
理不尽な事、思い通りにならない事の連続だ。

「耐えて行く事」「乗り越えて行く事」こそが…
人を成長させ、目を開かせる。

親としてではなく、一人の人間として…
今も、もがき続けている身として…(笑)…
そう、思っている。

そして…

多くの人達は、誤解している。

「障害児」を抱えた家庭にも…
ごく普通の日常があり…
たくさんの「笑い」に満ちている。

「障害者は、まわりを不幸にする」
そんな言葉を吐く人こそ「不幸」をまわりに、撒き散らしている。

誰でも…
人生の始まりと終わりは「障害者」であり…
誰にでも…
必ず「死」が訪れる。

そうした「真実」から目をそむけている限り…
本当の「幸せ」は、見えてこないような気がする。








裕子